北京=原田逸策】中国税関総署が8日発表した11月の貿易統計(ドルベース)によると、対米国の貿易黒字が過去最高を更新した。前年同月比28%増の355億ドル(約4兆円)だった。米国からの輸入が前年同月より25%も減る一方、輸出は堅調だったため。貿易戦争による追加関税の影響が本格化してきた。
11月の米国からの輸入は前年同月比25%減の106億ドル。前年割れは3カ月連続 、減少幅も前月(2%減)から急拡大した。追加関税をかけた大豆や天然ガスが落ちこんだとみられる。一方、輸出は前年同月比10%増の462億ドル。8カ月連続で前年同月の水準を上回った。
米国は9月に2千億ドル分の中国製品に10%の追加関税をかけ、19年1月から25%に上げる方針だった、12月1日の米中首脳会談で関税引き上げは先送りされたが、11月時点では引き上げ前の駆け込み輸出が広がったようだ。。
輸出より輸入に追加関税の影響が濃いのは、輸入は中国共産党の意向に敏感な国有企業の比率が高いから。米国製品を敬遠している公算がある。
ただ、対米輸出の伸びは前月(13%)から鈍り、駆け込み輸出にも陰りが出始めた。すでに中国企業の米国からの新規受注は大幅に減り、来年は駆け込みの反動で対米輸出が落ちこみそうだ。
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