決定では「関西電力が原発の周辺で行った断層の調査は、周辺のすべてで徹底的に行われたわけではないうえ、地震の最大の揺れを評価する方法はサンプルが少なく科学的に異論のない方法と考えることはできない」と指摘しました。そのうえで、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や津波対策、避難計画についても疑問が残る。住民の生命や財産が脅かされるおそれが高いにもかかわらず、関西電力は安全性の確保について説明を尽くしていない」として、3号機と4号機の運転の停止を命じる決定を出しました。
決定はさらに、「福島の事故の大きさに真摯に向き合って同じような事故を防ぐためには、原因の究明を徹底的に行うことが不可欠だが、この点についての会社の説明は不十分だ。もし会社などが原因究明を重視しないという姿勢であれば非常に不安を覚える」と指摘しました。
関西電力は、9日の決定の取り消しを求めて異議を申し立てる方針ですが、仮処分は直ちに効力が生じるため、稼働中の3号機の原子炉を速やかに止めなければならなくなりました。稼働中の原発の運転の停止を命じる仮処分の決定は初めてです。
高浜原発は、ことし1月に3号機が、先月に4号機が、新しい規制基準のもとで再稼働しましたが、4号機では、再稼働の3日後の先月29日に原子炉が自動停止するトラブルが起きています。また、高浜原発3号機と4号機を巡っては、福井地方裁判所が去年4月、再稼働を認めない仮処分の決定をしましたが、去年12月に福井地裁の別の裁判長がこの決定を取り消し、再稼働を認める判断をしています。
原子力発電所を運転させないよう求める裁判所への申し立ては5年前の原発事故をきっかけに全国で相次いでいて、稼働中の原発にストップを命じた今回の決定は、各地の今後の審理に影響を与えることも予想されます。