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特別展「獣脚類 鳥に進化した肉食恐竜たち」(1)


大好物のご馳走ばかり並べられて、「箸休め」がない。肉料理が続く場合は、前菜やサラダやガーリックトーストもやはり必要である。そんな感じで、最後まで少しも気が抜けないので疲れた。鳥になってしまうとわりと興味を失うので、私がエキサイトしたのは主に前半ではあるが。。

最近は毎年、聖地巡礼しているが、今回はお盆休みに行ったので親子連れなどで混んでいた。館内のレストランは長蛇の列で「獣キャルビ丼」も食べられない。やむなく外のレストランでカレーを食べたが、こちらも相当混雑していた。こちらのショップにも山のような恐竜グッズがある。

今回のテーマは「肉食恐竜から鳥への進化」ではない。鳥への進化だけでなく、獣脚類全体の様々な局面に注目した特別展である。
 なぜこういう構成なのか推測すると、福井が所有する獣脚類化石の研究に役立つ標本を集めたということだろう。最近メガラプトル類とされているフクイラプトルの研究をさらに発展させるためには、ネオヴェナトルやメガラプトルと比較することが必要である。奇妙な基盤的マニラプトル類フクイベナートルの位置づけなどを解明するために、原始的なコエルロサウルス類にまでさかのぼって研究する必要があり、そのためにビセンテナリア、ズオロン、アオルンを持ってきた。そして北谷化石鳥の研究には、エオコンフキウソルニスをはじめ白亜紀前期の鳥類が必要になった。そういう感じではないか。



今回はヘレラサウルスやコエロフィシスに時間はかけられない。カルノタウルスは頭をやや下げて突進していた。なにげに見る機会がないのがアベリサウルス頭骨だが、復元したものなので、おそらくこの通りではないようだ(「アベリサウルス類のアロメトリー」の記事)。



ピアトニツキサウルスは基盤的テタヌラ類で、最近はピアトニツキサウルス科(ピアトニツキサウルス、コンドルラプトル、マーショサウルス)が提唱されている。確かに前肢はやや長めの気がする。このキャストは新しいバージョンだろうか。



メインディッシュの1つ、ネオヴェナトル。躍動的な良いポーズだが、一枚の写真に収めるにはどのアングルが良いか悩ましい。ネオヴェナトルは決して新しい恐竜ではなく、ずっと前から知られているが、イギリス国外に出たことがないために日本では一般に馴染みが薄いだろう。NHKの「イギリス恐竜図鑑」で初めて見た人もいるかもしれない。今回、ネオヴェナトル科を紹介するのが趣旨ではないとしても、メガラプトルとともに展示された意義は大きく、感慨深い。

ワイト島の復元骨格をスキャンしたデータを送信し、日本で3Dプリンターで製作したという所は、時代を感じさせる。ということは、ワイト島の復元骨格をそっくり移設したわけだから、昔の復元のままということになる。
 ネオヴェナトルは最初、アロサウルス科と考えられたので、欠けている部分はアロサウルスを参考にしているはずである。その後の研究の進展により、アロサウルス科→最も基盤的なカルカロドントサウルス類→最も基盤的なネオヴェナトル科とされてきた(過去の記事「ネオヴェナトル」)。



ネオヴェナトルの頭骨で見つかっているのは前方1/3 つまり吻の部分であり、眼窩や後頭部は見つかっていないので、アロサウルスそっくりに復元されている。涙骨の角状突起がここまで似ているかどうかはわからない。また眼窩の周り、つまり「目つき」もアロサウルスそっくりになっている。

少し下からあおる角度で見えているが、アロサウルスと同じように眼窩の上がオープン、つまり涙骨と後眼窩骨が離れているように作られている。進化したカルカロドントサウルス類では涙骨と後眼窩骨が閉じて、supraorbital shelf (眼窩の上の眉のような部分)を形成する。つまりギガノトサウルスやカルカロドントサウルスのような「目つき」になるわけである。白亜紀前期のコンカヴェナトルでも、後眼窩骨がひさし状に発達して、すでにカルカロドントサウルス類の「目つき」をしていることを考えると、ネオヴェナトルの段階でも、実は後眼窩骨がある程度発達していたかもしれない。ネオヴェナトルは少なくともカルカロドントサウリアであり、アロサウルスよりはカルカロドントサウルス類に近いわけである。



頭骨を傾けたポーズなので、真横から撮るには右側からか。前上顎骨の歯が5本なのはアロサウルスとネオヴェナトルだけで、最も近縁と考えられた。これは現在の系統関係では収斂とされる。それにしてもすばらしい顔ですね。



最近の知見を反映したらしいメガラプトル。今ひとつ狙いがわからない肉食恐竜とみえる。


つづく




コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (ひろ)
2018-08-19 15:37:49
福井の特別展レポ、お疲れ様です。
私は来週25~27日で行くので、予習に読んでおります。^^
特にネオヴェナトルとメガラプトルは楽しみです。続きも期待しております。
 
 
 
ありがとうございます (theropod)
2018-08-20 21:22:51
コメントありがとうございます。
混んでいたので、ひととおり見たのですが、なんとなく落ち着きませんでした。もう一回行くかどうか思案中です。山ほど獣脚類が見られます。
 
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