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腹肋骨に関してですが (恐竜くん)
2012-11-29 00:22:02
実は私自身、(特に日本語での)用語の表記には全くと言っていいほど頓着のないタイプでして…また、基本的には「既に浸透している用語」を無理に変えるのも好きではなかったりします。例えば「草食×→植物食○」とか「ティラノ×→ティランノ○」にすべき!といった見解にも、特に肯定も否定もせず…といったスタンスです。
ただ、一応疑問にお答えしますと、

> 昔の爬虫類学者が「これは肋骨ではないが、腹部にある肋骨みたいな骨という意味で、「腹肋骨」と訳すのが一番イメージしやすいだろう」と考えた結果、つけられた名称でしょう。

まずこの部分ですが、実際のところ「腹肋骨」はズバリ「Abdominal ribs(以後A. ribs)」を直訳したものであり、特に日本の学者さんが考案されたものではないと思われます。

一方、語源の「A. ribs」は、まさにtheropodさんの仰る「肋骨と相同ではないが、腹部にあり、内臓等を保護するという点で、形態と機能が肋骨と似ている骨」という意図でつけられたものと見て間違いないでしょう。

ここで問題なのは、上記のような条件にあてはまる「腹部の骨(状の構造)」が実に様々な形で、かなり広範囲の両生類・爬虫類に存在しているという点。そして、実際にそういった(本来は異なる)構造全般を指す用語として「A. ribs」が使われてきた、という点です。

つまり、ワニやムカシトカゲに見られる本来のGastralia以外にも、カエルやトカゲに見られる腹部の軟骨構造(*腹部にあるという点以外には何もGastraliaと共通点のない、全く異質な構造です)や、時にはSternal ribsさえも、全てひっくるめて「お腹にある骨っぽく見えるもの=A. ribs」とされてきたのです。

ですから、現在では語源の「A. ribs」自体が「使用を控えるべき用語」とされており、大袈裟に言えば「死語」になりつつあるのです。けして、「腹肋骨」という「訳語」が突然問題になったのではないという点を、ご理解いただければと思います。

先述の通り、私は基本的に日本語表記にはかなり適当と言いますか(笑)非常に大雑把なのですが、こういった経緯があるため、今回は念の為「ガストラリア」という表記に留めました。勿論この表記がベストと思っているわけではなく、ご指摘の通り、ちゃんと意味合いの伝わるような然るべき訳語が当てられるべきと思っております。

例えば、以前より平沢達矢氏がご提案されている「腹骨」などは、もし本当に採用されたら、実にシンプルでわかりやすくて良いのになぁ、と思っております。

まとまりのない長文になってしまい、すみません。
 
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