内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)

2011-11-20 | Weblog
ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火             (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か         (その3に掲載)
 4、国会は与野党対決の場か協議・調整の場か
 抜本的な行・財政の簡素化には、予算案と共に関連法案の国会での審議、採択が不可欠である。参議院で与党が過半数を制していないいわゆる衆・参ねじれ状態にあるので、与野党が国会で対立していては国政は円滑に進まない。復旧・復興や当面の円高対策、その財源を捻出するための財政の節減・簡素化など、速やかな対策実施が必要な時に、国会が与野党対立の場となっていては被災者や救済を必要としている人々が置き去りにされる恐れがある。
 他方復興庁のあり方については、野党自民党は関係省庁をより強く纏められるよう権限の強化を求めているのに対し、与党民主党も弾力的に協議に応じる姿勢を示すなど、国会の場での協議、調整に前向きな姿勢を示している。従来も表面上与野党対立を演出しつつ、背後で若干の取引が行われていたが、予算案などは修正に応じられたことが無い。国会には、各種の与野党間協議の場や衆・参両院の協議会など与野党間、衆・参両院間の意見の相違を調整、協議する場がある。意見の相違は相違として、国家、国民の利益のために意見調整することが出来ないのであろうか。
 EUの今回の対応は不十分との評もあるが、ユーロ・グループ17か国が、EU金融危機を回避すべく、それぞれ主権国家として国家利益を背負って首脳が連日連夜利害を調整し、ギリシャ救済策を纏め上げた粘り強い努力は賞賛に値する。国会での与野党協議による調整は、同じ日本国民の利益のためであり、その意志さえあれば可能であろう。国会が与野党の対立、対決の場から、与野党間、衆・参両院間の意見の調整の場にすることが望まれる。
 日本の国会が今日のような対立の場となったのは、野党が政府・与党提案に常に反対し、反対党と言われ、健全な国民政党に成長出来ず、自民党の半世紀以上に亘る長期政権を許したことにもよる。政府予算案が戦後、印字による印刷で作成、提案され、それを修正するためには印字を組み替えて印刷し直すために膨大な人手と時間を要することから、当時の大蔵省が一字なりとも修正させないとの技術的な理由も手伝ったが、今日では技術的には短時間で加筆、修正、組み換えが可能である。野党議員も与党議員と等しく国民により選ばれ、国民の一部の利益、関心を代弁するものであるので、主要野党の意見をすべて排除することは適当では無く、主要与野党がより多くの国民の利益を増進するよう、国会での協議、調整機能を高めて行くことが望まれる。
 国民の4割以上は無党派であり、主要政党のいずれが政権に就くかは第一義的な関心ではない。国家、国民の利益のために具体的に何をしてくれるかであり、その国民の関心や利益を調整できるのは、国民から信託されている国会でしかない。行政組織は設置法で権限が相互に明確に保護されていることもあり、そのような国家、国民の利益を調整する役割はなかなか出来ない。それは国会であり、国会で指名された政権が担っているのであろう。
 同時に衆議院の解散権は首相にある一方、野党も不信任等で解散を迫ることは出来るが、与野党議員とも4年間の任期で国民より国政を信託されている。任期中にみだりに解散をすることは国民の投票、信託を軽視する結果となるので、原則として4年間の任期になるべく近い形で、少なくても3年以上は議員が活動出来るように慣習を構築して行くことが、安定的な民主主義政治を構築して行く上で望ましい。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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