Sceneries through the lenses

その場の気分でもやっと投稿していくブログ。内容はころころ変わります…(汗。

システムインテグレーション崩壊

2014-08-02 10:36:23 | 
今回は
「システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか? 」
です。

この本は全8章。
前段の3章まではSI業界があまり良い状態では無く、構造的不幸に陥っていると論じている。
それに対して、どのようなことを行うべきかなど、SI業界の進む道が4-8章にて述べられている。


この本が定義しているシステムインテグレーションは「工数積算を前提としたビジネス全般」としている。
準委任、請負、派遣などもこれに含まれているとしています。
要はIT人販ビジネスのことをシステムインテグレーションとしている。
この人販ビジネスはある意味 SI の主流と言えるんだが、
このモデルは先が見えていると。

根拠として、IT人材白書からデータが引用されていますが、
市場の傾向とITベンダーの考えていることにギャップなども上げられています。

このギャップは必然なのかもしれません。
というのも、人を突っ込んでおくというのはある種一番簡単なビジネスなので。

特定派遣で人をどこかから調達して横流しのようにどこかにぶち込んで、
教育・責任はぶち込んだ先で責任ということで中間マージンを貰って、
経営側は安全地点で団扇でも扇いでおけばよい…っと。

人販は人販で色々あるだろうが、自社ソリューションだとか品質管理だとかあーだこーだと
答えが出なかったり、出せなかったりするのなら、なおさらだろう。
これがIT土方を生み出す構造。素人同然の人間を大量に突っ込む方が工数が増えて、利益上がるしね。
# ただ、これがユーザー側の問題を解決するわけではないのだが…。

本には上記のような書き方はしていないが、SIというビジネスモデルが構造的に不幸だと語っている。
構造的不幸の原因は「ゴールの不一致」「相互不信」だと述べている。
細かいことは本を参照いただくとして、現状SIビジネスがあまり良い状況ではないことは
間違いないのだろう。


ITの世界で人の作業が価値であるという意見がそもそも…と思っている。
特に設定とかの定型業務系に関しては。コモディティの世界なので、
こんなの標準化されていて当たり前、それにより高品質で提供できて当然でしょ…と
言われても仕方がないものだと思ってる。現実は全くできてないことも多いんだが…(汗。

こういう言い方をしてしまうのはインフラ側の経験が長い人間だからかもしれない。
ただ、クラウドを含め、昨今のIT業界の流れはこの工数モデルは人販モデルのアンチテーゼとも
取れるのではないかと考えている。


ここまでは3章までの感想。
ここまでの内容は、同意することや考え方の1つとして参考になると思ったんだが、
後半は???という感じになってしまった。

4,5,6章では3章までで述べられてきたことに対して、
SIerはクラウド/OSSの活用/グローバル対応すべきという観点で論じられている。

3章までがビジネスモデルの話だったのに、急に部品の話になってしまっているので、話が合わない。
これらの道具を使って人販ビジネスモデルを維持するという選択肢をとってしまうと、
何も変わらない。どうビジネスモデルを変えるか…だと思うんだが…。

クラウドを活用して SIer から SaaSベンダーにって、結構な飛躍だと思うんだが…。
また、OSSを活用したからと言って人販が変わるとも思えないし。


7章はビジネス上の役割のシフト、アジャイル開発の活用に関して述べられている。

ビジネス上の役割シフトは「言われたものをもって来ました」という丁稚から
お客様のCIOの役割へ変わる必要があるということなんだが、
昔から言われてきた本来のソリューションビジネスモデルをしなさいと言ってるに過ぎない。
まぁ、なかなか実現できてないことが多いと思うし、どうしても分かりやすい製品説明のみに
終始している SIer なんかも多いのも事実だろう。

で、この 7章なんだが、本書には記載されていないのだが、
ソニックガーデンのビジネスモデルだと思っている。

本書にもソニックガーデンは1つの例として紹介されているのだが、この7章の事例ではなく、
受託開発に対する新しい課金モデル(サブスクリプションモデル)として紹介されている。

ソニックガーデンは「納品のない受託開発」というPRをしているため、
課金方式を変えただけと受け取っているのかもしれないが、
本質は7章をうまくビジネスモデルとして落とし込んだ事例と考えるほうが適切だと思う。

本書よりも後発だが、ソニックガーデンのビジネスモデルに関しては、
「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識”を変えるビジネスモデル
という本に記載されている。
そのため、7章の中身に関しては、本書よりもこちらの本を読んだほうがよいと思う。

実は私はソニックガーデンの本を先に読んでいた。
その後に本書を読んだので、本書の内容に違和感を覚えたのかもしれない。


で、残りの8章は組織の話なんだが、4-7章の内容が消化不良に陥ってしまったので、
あまり頭に入らなかった…。
ということで、自分の中では、本書は前半だけで十分なものであった。



ビジネスモデルを見える化する ピクト図解

2014-07-19 14:28:50 | 
ビジネスモデルを表記するためのピクト図解に関してまとめてある。
サンプルとして、いくつかの業種やビジネスモデルをピクト図解としてまとめてあり、
解説してあるので非常に参考になる。

http://3w1h.jp/picto

ピクト図解の基本は 3W1H 。
Who(誰が), Whom(誰に), What(何を), How much(いくらで売る)のみである。
# 一応、時間軸表現やまとめ表現など補足表現もあるが…。

ある程度の説明も Web であるのでそちらに譲る。

http://3w1h.jp/3w1h

モノとしては非常に単純に見えると思うが、この単純さが重要。
こういうツールはシンプルで使いやすいものが良い。
ブレインストーミングなど様々な場で簡単に使え、共通認識が得られるからだ。

ということで、テクニック・ツールとして頭に入れておくと、
事業企画などをやっている場合は役に立つのではないかと思う。
# 大体、利害関係者はこういう知識が無いので…。

こういうツールを使い、会話をすることにより、相手が思考停止に陥っていることが
わかったりする。
そんなことは無いだろうと思うかもしれないが、案外思考停止に陥っている人達は多い。
自分で考えたり、表現することが無く、用意されることが当然と考えている場合は特に。
# ごちゃごちゃ言う前に、これで役割を表現してこいと言いたくなる事がある。

まぁ、ビジネスモデルの議論など前向きなものに利用することがもっとも望ましいのだが…。

で、この本の本質はこのパターン(例題)が載っていることに尽きる。


===================

っと、感想はコレで終わってしまうのだが、少しだけピクト図解を書いてみる。


3W1Hルールに従う一番簡単なモデルが下記の通り。
メーカーと顧客(B2B)での商品販売を想定してみた。

メーカーから商品を販売して、対価としてカネを得ると。




これを問屋・商社モデルにしてみるとこんな感じ。
中間に問屋が居て、商品は問屋経由。
ここでは金額は具体的には書いていないが、メーカー→問屋、問屋→顧客で
価格が異なる。コレが中間マージンになるわけで。




次に IT っぽく、SIerモデルを考えてみよう。
SIerはメーカーから機器を購入して、顧客に販売するから次のようなモデルになる
(という人がいるかもしれない…)。

だけど、商品を流しているだけだから、要素が足りないよね。
SIerで話をしていて、ここで会話が終わってしまうようであれば、疑ったほうが良い。




多少省略気味に書いたけど、こんな感じが普通でしょう。
SIerがメーカーから仕入れるものとして「設定サービス」「保守サービス」という形にして、
顧客に提供するものが「構築サービス」「運用サービス」にしているのはわざとで、
中身が多少違うことを意図しています。

ただ、この場合だと単品販売なので、サービスが全く同じという場合もありえるだろう。
その場合、カネ的には純粋なSIerは中間マージンになってしまう。

セールス時のプリセールスという名のコンサルティングだったりとか、この流れに至る前に
価値がないといけないだろう。

セールス活動による情報提供等を\0-と表記して、この図に表現することもできるが、
複雑になるので省略している。興味がある人は考えてみるとよいかもしれない。
ピクト図解はそのためのツールだからだ。(図によって、上記の指摘ができているわけで)




っと、実際は SIer は単品ではなくてサーバー・ストレージ・ネットワークなど色々あわせて、
システムを構築して、納品だよね…というのを描いてみると下記になる。




たとえば、メーカーの垂直統合システムは…と考えてと、④に近いモデルを目指している製品であることが見えてくる。⑤のメーカーA,B,Cを全て同じメーカー名で表現してもよいかもしれない。
じゃぁ、垂直統合システムで全て足りるのか? と④、⑤の図を見て、違う要素が出てくるかもしれない。(というか、あるんだけどね、色々。)

VCEなんかは⑤のモデルの VCE = SIer になっているモデルであることがわかる。
ただし、 メーカーの提供するサーバー、ストレージ、ネットワークなどを部品として、
それを組み立ててシステムという製品とし販売しているという意味で SIer という表現を
メーカーと書き換えた方が適切なんだが…。


っと、ツール本とそれを使ってみたという例でしかないので、適当なんだけど、この辺で。



IT人材白書2014概要

2014-06-27 22:41:33 | 
本ではないけど、是非読んで欲しい1品。

http://www.ipa.go.jp/files/000038374.pdf

特にIT系で就職しようとしている人達に。(今年は手遅れかもしれないけどね。^^;)
とりあえず、分からない用語は調べておいたほうが良い。
就職に有利だからではない、IT業界の現実を理解するために…。( ´△`)アァー

P7 に語られている「IT人材個人」のように個人は進化を求められている。
「そんなもんです」とかいう、既存踏襲人間に学ぶものは無い。基本、奴隷業務が普通と思ってるから。

P9,P10を見てもらえれば分かると思う。
というのも、求められてるものと提供しようとしているものにギャップがあるから。

P26なんて絶望的な内容が書いてある。

残念ながら、これがIT業界であり、ITドカタとかITゼネコンとか言われながら、
Black業界と言われている所以かもしれない。

まぁ、これを良しとしない人は居て、色々な活動をしていたりするのだが、それは別の話。
残念ながらマイナーなんだよね。

っと、全く意見が無いけど、たまには過激なことを言ってみます。ww

キャズム

2014-06-07 22:21:58 | 
ビジネス本として、アメリカでは教育に使われてたりするらしい有名な本。
読んだのは結構前なんだけど、兎に角、読みにくかったという印象が強い。
非常に良い内容だけに惜しい。

キャズムはイノベイター理論の拡張として認識されている。
(イノベイター理論の本を読んでいないので、イノベイター、アーリーアダプターという区分けをしているだけ語られているのかどうかは分からないが…。)
キャズム理論はリンクの通り、アーリーマジョリティ(一般層)が製品を購入する(製品の普及の開始)とイノベーター・アーリーアダプター(物好き層)の購入には非常に大きなギャップがあり、このギャップを乗り越えられないと普及できないという理論である。

一般的にはそれだけで省略されていることが多く、キャズムの話が出た際、上記のことを言って、
ドヤ顔されることがほとんどである…。正直勘弁して欲しい。

キャズムの本質はこのキャズムを乗り越えるための方法論に関して1つの例を提示したことであり、
「キャズムが何か…」ってのは前座でしかないのである。
実際、本の章構成もそうなっている。

この本ではキャズムを乗り越える手法としてホールプロダクト(Whole Product)という概念が提示されている。
(この考え方は共感を覚えるものがある。)

ホールプロダクト、要は完成品。ただし、物理的なものだけではなく、必要なもの(たとえば、人による作業)も
含めて、完成品であるという。

たとえば、風呂のリフォームだったり、キッチンの場合、ただ部材だけではなく、
設置サービスもメニュー化されており、セットで完成品となっている。

ぶっちゃけ、普通に考えると自分で設計して、パーツを集めて、自分で組み立てるとか趣味とかじゃなければ、
大抵の人は勘弁して欲しいと考えるはずである。自分もそう思うことが多い(趣味の範疇は別だが。)
これが重要。全部自分で…という人は間違いなくイノベーターかアーリーアダプターだろう。

この手段をどのようにするかというのは色々な考えがある。部材を提供し、組み立てマニュアルのみ提供する。
これも1つの形であろう。ただし、これは組み立てて提供するよりも安価である必要があるが…。

ソリューションベンダーを名乗るには、部品ではなく、完成品を届ける(要は使える状態にする)
ことを自ら証明することが必須である。

ただ、危ういなと思うのだが、IT業界にはこの視点が非常に欠けている気がしている。
SIerなんて組み立てるのが仕事だし、組み立て経験を標準化して、組み立てたくない人に提供するのが使命だと
思うのだが、「言われたことを全部やります」とか、はっきりサービスを提示できないのに
「自分がいなければ、できないでしょ」みたいな、なんか勘違いしているのか?と思うことを良く聞く。

ビジネス上の事情だが、垂直統合製品を出し始めているメーカーの方がはるかに進んでいるというのが
悲しい。だから、SIer不要論が出てくるわけである。という自分もSIerに居ながら、SIを否定しているが…。


そして、もう1つ。これはキャズムの補足。
キャズムではホールプロダクトを届ける必要があると言っているが、これがどの層に対するホールプロダクト
であるかを強く意識する必要があると思っている。
これができない場合、価値は無い。

先のSIerなんかはこれを勘違いしていて、顧客とのギャップが非常に多く、駄目扱いされている。
SIerに求められていることは端的に言うと「システムとして動く状態にする」こと、なのに、
その部品の紹介と部品の納品しかできない。こんなのメーカーがやれば良いことである。
これが SIer だと名乗ってる奴らはメーカーのパラサイトに過ぎず、単なる無駄なコストだろう。
だから、ユーザーから厳しく当たられる、当然の結果だ。
ホールプロダクト化(メニュー化、標準化)できてないSIerは市場価値が無いのかもしれない。

また、既にメーカーがシステムとして提供を始めている状況において、
部品のみのメーカーは競争力がこれからどんどん落ちていくのかもしれない。
そういう観点から言うと、部品メーカー+SIerという組み合わせはシステム提供しているメーカーへの
対抗手段であり、しっかりタッグを組む必要があるだろう。


話は戻って、層の話。IT分野で言えば、IaaS, PaaS, SaaS と考えると早いかもしれない。
IaaS が欲しい人にとって、標準化・メニュー化された IaaS サービスはホールプロダクトと言える。
しかし、PaaS が欲しい人にとっては、この IaaS は部品でしかない。
IaaS に対して、ミドルウェア・構築・保守など提供して初めて、ホールプロダクトと言える。
SaaS も同様。

これを図で表記したものが下図である。



要はモノがあり、それを使えるようにするというホールプロダクト(A)がある。
ただ、ユーザーにとって、それで完成品でなければ、それは部品。
要求を満たすためにはもっと大きなホールプロダクト(B)が必要ということである。

ソリューションを考える上で、この考えがなければ、徐々に市場ニーズから離れていってしまうのではないかと
考えている。これは現在、事業企画をやっていて痛感している。


要はソリューションを求めている層に対して、ホールプロダクトが提供できなければ存在価値が無い。
それができない奴の解決方法が、「言われたことを全部やります」であり、これは人販であり、
奴隷である。まぁ、これも需要と供給があるので、1つのホールプロダクトと言えるかもしれないし、
それはそれで良いのかもしれない。

ただ、自分は勘弁して欲しい。
色々思うことはあるのだが、ホールプロダクトを変わりに作ってくれる人(SIer)がいるのであれば、
メーカーは気が楽な職種なのかもしれない。まぁ、製品を生み出すのは、別の意味で苦しいのだろうが。


事業企画、ソリューション企画、商品企画を考える上で、ホールプロダクト化するということは
完成品質基準を持つという品質管理そのものであると痛感している。
実際、自分の業務で一番力を入れるのは品質基準の入手、もしくは品質基準の確立である。

こういう品質管理は日本のお家芸だと思っているのだが、これがどんどん悪くなっているのかな…と感じる。
日本が世界に勝負できるのは、この品質管理だと、現時点での自分は確信している。


ということで第1回目でした。

なんとなく読書感想文

2014-06-07 22:16:27 | 
でも書こうかと思う気になってきました。いつまで続くかわからんけど。
というのも、最近仕事柄、色々本を読む機会が増えてます。
活字読むの嫌いなんですけどね。ww

目的は読んだ内容を自分の中で一度整理するため。

で、読んでいる本は「基本」が書いてある本。
応用本、体験本、部分しか書いてない本とかが多い気がする。
これらが役に立たないわけではないのだが、これらを活かす、
もしくは、取り込むためには基本が必要だという確信があるため。

ただ、こういう本を読めば読むほど、現実がひどいと思うことが多く…。
こういう話が通じる環境に身をおきたい。