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<インターネット>の次に来るもの コグニファイング(認知化していく)

『<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則』より グーグルはマーケティングを変える!

以下に挙げるのは、一見思いもよらない分野の認知化による強化の例だ。

 コグニファイした音楽--ビデオゲームやバーチャル世界用に、アルゴリズムを使ってリアルタイムで楽曲を生成する。あなたの行動に連動して音楽が変化する。AIが各プレーヤー用に何百時間分もの音楽を作曲してくれる。

 コグニファイした洗濯--服が洗濯機にどのように洗ってほしいかを指示する。スマートになった服たちによって、毎回そのときの洗い物に合わせた指示が出され、洗濯時間も最適化される。

 コグニファイしたマーケティング--個々の読者や視聴者が広告にどれだけ注目したかの総量を、その個人の社会的影響力(どれだけの人にフォローされ、その人たち自身がどれだけ影響力があるか)と掛け合わせ、1ドル当たりの注目度や影響力を最適化する。何百万人規模で行なわれるので、AIに適した仕事だ。

 コグニファイした不動産--「この物件を気に入った人はこういう物件にも興味があります」とAIによって表示して、売り手と買い手のマッチングをしてくれる。個人の実情に合わせて、融資計画なども提供してくれる。

 コグニファイした看護--患者にセンサーを付け、生体情報を24時間監視することで個人に合わせた治療ができ、日々その精度を高めて最適化してくれる。

 コグニファイした建設--プロジェクト管理プログラムが、設計の変更に加えて天気予報や港湾の交通渋滞、為替変動や事故までをきちんと計算に入れて動いてくれる。

 コグニファイした倫理--自動運転車は、その行動の優先順位についてのガイドラインが必要だ。例えば歩行者の安全はドライバーのそれより優先されるかもしれない。プログラム言語に従って真に自律的な動きをするものは何であれ、スマートな倫理プログラムも必要となる。

 コグニファイしたオモチャ--オモチャがよりペットに近づく。スマートなペットのようなオモチャは子どもの関心が非常に高く、ファービー人形なんて原始的に見えるようになる。会話できるオモチャはさらに愛されるだろう。人形は本当に受け入れられる最初のロボットになるだろう。

 コグニファイしたスポーツ--スマートセンサーとAIが微妙な動きや接触を感知することで、スポーツゲームの審判や採点に新たな方法を実現できる。また、アスリートの毎秒の動きから抽出された非常に精度の高い統計データを活用すれば、最強の夢のチームができるだろう。

 コグニファイした編み物--どんなものかは分からないが、いずれは!

われわれの世界をコグニフアイすることはものすごいことであり、それはいままさに起こっているのだ。

2002年頃に私はグーグルの社内パーティーに出席していた。同社は新規株式公開をする前で、当時は検索だけに特化した小さな会社だった。そこでグーグルの聡明な創業者ラリー・ペイジと話した。「ラリー、いまだによく分からないんだ。検索サービスの会社は山ほどあるよね。無料のウェブ検索サービスだって? どうしてそんな気になったんだい?」。私のこの想像力が欠如した質問こそが、予測すること--特に未来に対して--がいかに難しいかを物語る確固たる証拠だ。だが弁解させてもらえるなら、当時のグーグルはまだ広告オークションで実収入を生み出してもおらず、ユーチューブなど多くの企業買収を行なうはるか前の話だった。私もその検索サービスの熱心なユーザーだったが、いずれは消えていくのではと考えていた大多数の一人だった。ペイジの返事はいまでも忘れられない。「僕らが本当に作っているのは、AIなんだよ」と彼は答えたのだ。

私はここ数年、グーグルがディープマインド以外にもAIやロボット企業を13社も買っているのを見て、このやり取りのことを考えてきた。一見すると、グーグルはその収入の80%を検索サービスから得ているので、検索機能の充実のためにAI企業の買収を強化しているように思われるかもしれない。しかし私は逆だと思う。AIを使って検索機能を改良しているのではなく、検索機能を使ってAIを改良しているのだ。あなたが毎回、検索語を入力し、その結果出てきたリンクをクジックしたり、リンクをウェブ上で新たに作ったりするのは、グーグルのAIのトレーニングをしていることになる。あなたが「イースターのうさぎ」の画像検索をして、結果一覧の中から最もそれらしい画像をクリックすると、あなたはAIにイースターのうさぎとはどういう姿なのかを教えていることになる。グーグルが毎日受けている30億回の検索要求の一つひとつがディープラーニングの先生役となってAIに繰り返し教えているのだ。今後10年、このままAIのプログラムが改良され続け、データが何千倍にも増えてコンピューターで利用できるリソースが100倍になれば、グーグルは誰にも負けないAIを持つことになる。2015年秋の四半期決算報告会で、グーグルのCEOサンダー・ピチャイは、AIは「われわれがしてきたことすべてを再考して変容させる、中心的な方法論になるだろう……それを検索だろうがユーチューブだろうがグーグルプレイだろうが、すべてのプロダクトに適用していく」と述べている。私の予想では、2026年までにグーグルの主力プロダクトは検索ではなくAIになるはずだ。
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