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子育て 生活をミニマルにする

『ミニマム子育て』より プロセス--さあ、はじめましょう ⇒ 未唯の子育てのヒントです。要約するとミニマルということ

私は、〈なにが大切か〉とくなにが実現可能か〉の二つに注目することにしています。まずは大切なことではなく、実現可能なことからです。もしこの実現可能なことを次々と成功させられたならば、あなたのやる気はぐっと大きくなって、本当に大切なことにも取りかかれるはずです。

目標への道筋を見つけるには、思い描いたビジョンと違っている箇所を見つけては捨てていく作業を繰り返す必要があります。家族は、それぞれの部屋でパソコンやテレビと暮らすのとは違います。子ども時代とは、記録的なスピードで世に出まわる商品や(これまでは大人だけにあった)ストレスを、なるだけ多く集めるようなレースではないのです。

生活をミニマルにすることは、今までのやり方を変えることです。それは家族が再生するためのスペースを与えてくれます。無駄を省いてゆくことこそ、明確さを招き入れてくれるのです。

さて、再び親たちは自分たちの理想の家庭像を描くことができました。

次のステップとしては、ミニマル化かどのように家族の方向性を変え、大きな変化、つまり理想と現実のギャップを埋める場を用意してくれるかを話し合います。ミニマルにすることが大型トラックに来てもらって、溜め込んだガラクタを次々に処分していくだけで済むのなら、それにこしたことはありませんが、そうもいきません。子どもたちは物が溢れ出るクローゼット以外にも、見えない物をたくさん背負い込んでいる可能性があるからです。

次章から順を追って詳しく説明していきますが、これにはごく簡単な、それぞれの領域に応じた捨てたり削ったりする作業があてはまります。

私と親たちは、〈環境〉〈リズム〉〈スケジュール〉〈大人の世界から子どもを守る〉の、四つの領域のミニマル化について話しあい、この四つのうち、どの領域がその家族にとって実行しやすいかを見ていきます。

おそるおそる、おもちゃを減らすことからはじめてみようと思う親たちがいる一方で、もっと難しい〈スケジュール〉や〈大人の世界から子どもを守る〉といった領域に飛び込んでいく親たちもいて、私を驚かせます。多くの場合、なにか大きなものへの直感的な一歩であれば、それは適切な目標設定と言えるでしょう。親たちは自分たちの目標と、家族が変わるためにどこから手をつければいいのか、本能的にわかっているのです。

マリーの両親は、生活環境から取りかかりましたが、じつはここが私の一番推奨するところです。マリーの両親のケースは、やりやすいところからはじめて、より大きな変化への道を拓くことを教えてくれるので、次に詳しく見ていきましょう。

私がマリーの両親とはじめて会ったのは、この朗らかで子不ルギッシュな女の子が幼稚園に通いはじめたばかりの五歳のときでした。

この時点で、何人ものベビーシッターがマリーのために雇われたものの、誰もが皆お手上げ状態でした。マリーは、いわゆる「手にあまる」子どもで、非常に活発で一ケ所にじっとしていられず、明らかに注意力が散漫でした。幼稚園に通う前にいた保育園には、通いはじめて数ケ月で、もう預かれないと言われてしまいました。

両親はとても感じの良い人たちで、娘のためならどんな苦労もいとわなく見えました。二人とも立派な仕事に就いており、それゆえ毎日が忙しく、三人揃っての面会時間を設けるのもひと苦労でした。やっとのことで面会を果たしたとき、この両親が、五歳にして波瀾万丈の経歴を持つ娘に大変心を痛め、また、親として失格の負い目を感じている様子がありありとしていました。

さっそく私たちはミニマル化作戦を立てました。

マリーの両親は家のなかの物理的な環境、特に子ども部屋のミニマル化からはじめることにしました。アメリカの子どものおもちゃの平均所有量が一五〇個だとしたら、マリーはどう見てもその倍は持っていました。本の数も相当なもので、本棚に入りきらないものは床にうず高く積まれ、そういった本の山や洋服、おもちゃの山を迂回して、数本のくねくねした通路がベッドヘと続いていました。

両親によると、ときおり、部屋を片付けるために考古学者よろしく発掘作業がおこなわれるようですが、この努力も数時間後にはむなしく、部屋は元の混沌へ戻ってしまうとのことでした。

箱、バスケット、トランク、クローゼット、あるいは積み上げられているものが小さかろうと大きかろうと、子どものおもちゃは我々、私と親たちの最初の焦点です。

まず、家中に散在しているおもちゃを子ども部屋へ集めて山にします。たいていの場合、この山は一見の価値ある大きさとなり、私の関わった親たちは皆、これほど大量のおもちゃを所有していたとは知らなかったと、驚きながらも認めます。

次に大きな黒いゴミ袋を手に、おもちゃの大量処分に取りかかります。私が勧めるやり方は、まず半分の量のおもちゃをゴミ袋に入れ(「そうそうそんな具合に、いいですよ」)、さらに残ったおもちゃの半量をゴミ袋に入れます。親たちには前々から捨てたくてしょうがなかったおもちゃがあって、喜び勇んでおもちゃの山へ飛び込んでいくでしょう。

たいていこういうおもちゃは、勝手に自己増殖しているかのようなプラスチックのおもちゃの類いで、ブーン、ウィーン、ウィーンと音を立てて旋回するもの、しゃべったり爆発音を立てたりするものです。つまり親たちは、おじいちゃんやおばあちゃん、独り者のおじさんがくれたおもちゃを探しているのです。
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