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環境の言葉

『情報テクノロジー』より

海の深層大循環[global conveyor belt]
数百mより深い部分で起きている地球規模の海洋循環のこと。「熱塩循環」とも呼ぶ。海水はゆっくりと世界の海を移動しており、1000~5000年かけて地球を1周する。大西洋のグリーンランド沖が起点になる。ここでは塩分濃度の高い重い海水が、深層に沈み込んでいる。沈んだ海水は大西洋を南下し、南極に到達。南極にも海水が沈み込む場所があり、これらの深層流が合流して東に流れ、インド洋と太平洋に入る。そこで上昇して暖かい表層流になり、今度は大西洋を北上してグリーンランド沖に戻る。深層流が極地の冷たい海水を南に運び、表層流が南の暖かい海水を北米や欧州に運ぶことで、地球の気候は安定する。欧州が北緯60度でも暖かいのはこのためだ。しかし、地球温暖化によって深層大循環が弱まることが指摘されている。もし急に完全停止すれば、気温は場所によって10℃、北大西洋で4~5℃下がるとの予測もある。ただ、二酸化炭素濃度も増えるため、地球全体では温暖化の効果が上回るとされる。

エコイノベーション[eco-innovation]

 エコロジーとイノベーションを結び付けた造語。イノベーションは技術開発だけでなく、新しい社会システムや産業構造の実現も含んでいる。政府は2007年6月にイノペーション創出の長期戦略指針を発表、エコイノベーションにより世界を先導するための構想とメニューを取りまとめた。「大量生産・大量消費」「供給中心」から「環境重視」「受け手中心」への転換を図り、製品の製造からライフスタイルの転換まで守備範囲は広い。「エコイノペーションは環境重視に加えて人間も重視する考え方に立ち、持続的発展が可能な社会を目指す。より広い視点に立った新たな発想によるイノペーション。技術開発とともにビジネスモデルの見直しや社会システムの改革などを総合的に推進し、経済成長と環境保全とが両立する社会に転換する」としている。福田康夫首相(当時)は08年1月、低炭素社会に向けたエコイノペーションの実現を目指す「クールアース推進構想」を表明した。

コーズリレーテッド・マーケティング(CRM)[Cause Related Marketing]

 企業が製品の販売によって得た収益の一部をNGO(非政府組織)や国連機関、行政機関などに寄付するなど、CSR活動と製品の販売促進を抱き合わせたマーケティングの手法。「CRM」と略す。

 うことによって社会に貢献したという満足感が得られ、NGOや行政機関は活動資金を集めることができる。

 環境活動でCRMが注目を集めたきっかけは、ミネラルウオーター大手のボルヴィックが2005年にドイツで始めた「1L for 10L」というキャンペーンだ。

 ドイツ国内で販売するミネラルウオーター1リットルの売り上げの一部をエチオピアの水供給10リットル分の費用に充てる。 06年はフランスの販売利益でニジェールを、07年は日本の販売利益でマリ共和国を支援するなどして各国で展開し、売り上げ増につなげた。

 アサヒビールも、08~09年にビールの売り上げの一部を環境保護団体や自治体に寄付するキャンベーンを実施し、売り上げを拡大。王子ネピアは08年にトイレットペーパーの売り上げの一部をユニセフに寄付し、東ティモールに1000個のトイレを整備する事業を支援した。

 パナソニックは09年、省エネ型の「エコナビ」機能付き家電が1台売れるごとに1本の植樹を実行するキャンベーンを展開した。

 値下げ競争が激化している小売業界もCRMへの関心が高い。販売店が途上国支援キャンベーンをチラシや店頭で紹介するなど、消費者にアピールする動機付けになっている。

 CRMの肝は、消費者が納得できる大義であり、商品と寄付内容との関連性が重要だ。普段からCSR活動に取り組むことで、効果が高まるという指摘もある。販売促進の思惑が前面に出過ぎると消費者は興ざめするだろう。

 ユニセフは販売促進など安易なキャンペーンに乗らないためのガイドラインを作り、途上国支援事業という目的にかなうかどうかを線引きしている。
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