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北の核を阻止させる五つの選択肢

本より、OCR

第一の選択肢は、「何もしない」ことである。北朝鮮の核と共存することである。どうせ、北朝鮮に核を放棄させることはできない。北朝鮮が必死で開発したものを手放して丸裸になるはずがない。周囲からいろんな努力をして、圧力をかけたり、援助を与えたりすることは、所詮無駄である、という見方である。

 それに、核兵器は使えない兵器である。金正日の目的は現体制の存続である。そのための援助は、結局日本から来る。そうすると、日本を攻撃することはありえない。核による脅迫は放っておげばよい。また万々一使っても、その場合は、アメリカの大量報復か待っている。したがって、北の核は怖くない。放っておき、封じ込めておけばよい。これか第一の選択肢である。

第二の制裁の強化である。二〇〇六年七月のミサイル発射実験に対する国連安保理決議の成立には、私自身関係したので、少々言いにくいが、外交評論家の岡崎久彦氏も述べるように、日本外交の鮮やかな成功であった。さらに四月の核実験に対しては、明確かつ広範な経済制裁を含む決議が成立した。

 こうした決議は、一定の効果を持つだろう。国際社会か連携して行動する指針としての国連決議か成立したことは意義深い。国際法は完全な法ではないので、すべての国が完全にこれを履行するとは思えないか、制裁の意思のある国は制裁をやりやすく、北朝鮮に無関心な国も、北朝鮮に好意的な国(そういう国はあまりないかもしれないか)も、北朝鮮とは貿易をしにくくなる。外交とは、このような小さな努力の積み重ねである。

第三の選択肢は関与である。北朝鮮と話し合い、何かを与えることである。これはまったく不愉快な政策である。しかし、日本の政策のプライオリティが北の非核化であり、そのために効果があるとすれば、考えることか重要である。

 その焦点は、北朝鮮から見れば、体制の保障である。私のように日本政治外交史を専門にしていると、ポツダム宣言の受諾を思い出す。日本を降伏させるために有効な方法は、「国体護持」であった。日本側がもっともこだわったのがこれであった。アメリカの日本通は、これか有効であることを知っていた。しかし、アメリカはなかなかこのカードを切らなかった。御前会議においても「国体護持」か認められているかが、議論の焦点になった。

第四の選択肢は、外科手術的爆撃である。こういうことを主張する人は、アメリカでは少なくない。しかし、もし空爆をすれば、北朝鮮は体面上からも沈黙はできず、ソウルを攻撃することになる。ソウルは国境線にきわめて近いので、二〇〇〇万人を超える大ソウルの人口は、大きな打撃を受ける。だから、こういうことは不可能だというのが、大方の見方であろう。他方で、もしアメリカが外科手術的爆撃を行い、これに対して北か反撃すれば、今度はアメリカか大規模な北朝鮮攻撃に踏み切り、北朝鮮は壊滅、崩壊する、したがって、北は反撃できないという見方もある。こういう見方に立てば、外科手術的爆撃は有効な選択肢ということになる。

 ただ、北が報復、反撃しないだろうというのは、かなり危険な予測である。すでに述べたとおり、北が「合理的」に反応するとは限らない。韓国はこれに強く反対するだろうし、日本にも深刻な影響が及ぶ。日本はこれに耐えられるだろうか。アメリカか、中東に手を縛られている間に、そういうことかできるだろうか。かなり難しいといわざるをえない。

第五の選択肢は、日本の核武装である。中国は北朝鮮の核を不快に思っているが、絶対に受け入れられないほどでないのではないだろうか。中国が北の核を認めないのは、それか引き金となって日本が核武装しないか、不安かあるからではないだろうか。

 多くの中国人は、他国による核の傘など、完全には信用できないと考える。日本人がアメリカの核の傘に絶対の信頼を置いているはずかない、いずれ状況か許せば、核武装する可能性かあると考えている。北朝鮮の核は、日本の核の引き金にるからこそ、避げるべきだと考えるのである。

・・・個人的には。韓国がが責任を持って、決めることです。
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