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OCR化した11冊

『イスラエル』

 バルフォア宣言から一世紀--「ユダヤ民族のための民族郷土」

  多くの難局を乗り越えてきたイスラエル
  ユダヤ人の気概と決意を駆り立てたエネルギー
  『ユダヤ人国家』刊行から百二十年の間に実現した夢
  イスラエルに移住したレバノン出身のイスラム教徒
  イスラエルは未完のドラマ

『アジアに生きるイスラーム』

 バンコクのイスラームコミュニティの空間と立地

  バンコクのイスラームコミュニティにおける3つの空間
  4種類のイスラームコミュニティ
  完全型のイスラームコミュニティ
  集落型のイスラームコミュニティ
  墓地型のイスラームコミュニティ
  完全型から単体型へ変容するイスラームコミュニティ
  変化に柔軟に対応するイスラームコミュニティ
  多様化するムスリムの職業
  コミュニティから見た柔軟性

『米中戦略関係』

 ツキジデスの罠

 米国大戦略の行方

  ・縮約論の浮上
  ・トランプ政権と縮約
  ・保護主義と単独主義
  ・大戦略の持続可能性

『グローバル資本主義の形成と現実』

 結論

『beyond 2020 LEGACY』

 御園座タワー

  周辺だけでなく名古屋全体の活性化も
  オンリーワンを形にする3つの柱
  わくわくするような都心居住の新しい価値と魅力

『ヨーロッパ経済とユーロ』

 北欧諸国

  概況
   デンマーク(DK)
   フィンランド(FI)
   スウェーデン(SE)
   ノルウェー(NO)
   アイスランド(IS)
   グリーンランド(GL)
   フェロー諸島

  北欧の天然資源

  福祉国家は持続可能か

  住宅ローンの増加

『おひとりさまの「シニア金融」』

 おひとりさまシニアの生活は不安がいっぱい

  独身女性(非婚シングル)

   キャリアウーマン
   マリッジ・フリー
   内縁の妻
   片付け上手

  独身男性(非婚シングル)
   独身オトコの不安
   還暦のパラサイト(ニート)・シングル
   どうにかなるさ

『ホロヴィッツ』

 ラフマニノフ

  ラフマニノフとの出会い
  ニューヨーク・デビュー
  ピアノ協奏曲第三番

『シャルマの未来予想』

 良い億万長者、悪い億万長者--お金持ちを見ればその国の将来が分かる

  不平等を巡る全面戦争
  成長なき再分配政策
  自己破壊的なポピュリズム
  不平等は罪悪か?
  不平等の拡大に一役買ったFRB
  大不況でも超富裕層の富は増える
  億万長者リストを読み解く
  インドの縁故資本主義
  焼け太りのロシア新興資本家
  米国の野蛮な資本主義
  旧東欧は贅沢に走らず、独善に陥らず
  日本ではまるで変人扱い
  億万長者のクオリティー
  新興国で台頭する「良い億万長者」
  億万長者の総数で中国が世界一
  強欲な億万長者が集うモスクワ
  大衆化から身を隠す億万長者
  富の源泉は「自力」か、「相続」か
  老人支配、同族支配への反発
  世襲財産が少ない中国とロシア
  なぜ悪い億万長者が問題なのか?
  不平等への反発を抑える
  国民的なヒーロー
  成長を妨げる不平等
  腐敗、不平等、地下経済の連鎖
  賄賂の抜け道
  億万長者を見れば国の将来が分かる

『ヤバい本業 伸びる副業』

 無料戦略は、決算書にこう映る LINE

 売上・利益は小さくても時価総額1兆円

  スマホユーザーの大半が利用する「LINE」
  海外にも広がるLINEの影響力
  最大の時価総額で注目された日米同時上場
  LINEの売上とは何か?
  大きな伸びを続けるLINEの秘密
   コミュニケーション
   コンテンツ
   その他

 ユーザーの〝手元に届く〟広告

  急速な上昇を続ける広告収入

   LINE広告
   ポータル広告

『進歩 人類の未来が明るい10の理由』

 暴力
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人類の未来が明るい10の理由 暴力

『進歩 人類の未来が明るい10の理由』より 暴力

ジョン・ミュラーによると、1984年5月15日に世界の大国は、ローマ帝国の時代以来最も長い期間にわたりお互いに平和を維持しおおせた。1956年のソ連による(ンガリー侵攻を除けば、この期間には世界の富裕国44カ国の間で戦争は起きていない。「これほどの軍備豊富で重要な国々が、お互いにその兵器を使わずにこれほどの時間を過ごしたことは、これまで歴史的に一度もない」

ミュラーは、戦争というのは政府が戦争は不可欠だと思ったとか、適切なタイミングで適切な形で攻撃すれば利益が得られるとか思ったせいで起きたと言う。いまや各国は、それが避けられると知っているし、ほとんどは戦争を起こせば損をすると考えている。核戦争の脅威で列強が戦争を避けたと考える人もいるが、もしそれが唯一の理由なら、世界は冷戦後にはずっと安全性が低くなっていたはずだ。でも実際にはその正反対だ。1980年代には、平均では毎年、国家による武力紛争が43回起きた。1991年と1992年は、それがピークで52回に達した。それから2000年代初頭には30程度に下がり、現在は少し増えて40回だ。

こうした数字は、最も重要な変化を隠してしまう。こうした紛争がずっと死傷者の少ないものとなったということだ。これは世界中が注目しているせいで、物理的に領土が広がっても、PR戦争で負けかねないからかもしれない。1950年代の平均的な国家間戦争では8万6000人が死に、1970年代にはそれが3万9000人だった。今日では3000人強だ。今日の内戦は、1960年代から1980年代の内戦での死傷者数の三分の一以下しか被害者が出ない。その一部は、国際的な安全保障アーキテクチャのおかげで、戦争のリスクがあれば紛争防止を重視し、紛争が起きたら和平構築を重視するものだ。

これを聞いて驚くかもしれない。というのもしばしば、文民被害者の数が増えているという話を目にするからだ。100年前の戦死者のうち民間人は10パーセントだったのに、いまはそれが90パーセントだという話が、国連機関などによりしばしば繰り返されている。この数字を検討した人間安全保障報告は、「これは何ら事実に基づいていない」と結論した。どうやら計算ミスや、根拠のない憶測や、戦死者と難民数との混同から生じたものらしい。データを見つけるのはとても難しいが、この報告によれば実際の数は戦死者数の30パーセントから60パーセントというところで、これがだんだん増えてきたという証拠はない。それどころか、かつては民間人の死は、避けられないとされたり、敵を脅かすためには不可欠だとすら思われたりしていた。いまや多くの政府、特に国民にじっと見張られている民主主義政府は、何とかしてそれを避けようとする。2004年から2010年にかけて、アフガニスタンでは民間人5300人が死んだ(ほとんどがタリバンに殺された)。ベトナム戦争では、少なくとも80万人の民間人が殺された。

似たようなことが大量虐殺についても起こっている。それが完全になくなったわけではないけれど、いまや圧倒的に糾弾されるものとなり、国連加盟国はすべて、それが起きたら止めようとすると約束している。かつてはあまりに頻発したので歴史家たちもほとんど気に留めなかった。アテナイによるメロスの破壊や、ローマによるカルタゴ人虐殺から始まる大量虐殺の歴史の中で、フランク・チョークとカート・ジョハンソンは、大量虐殺が「歴史のあらゆる時期に、世界のあらゆる地域で実行されていた」と書いている。でも当時の歴史家たちの文章からは必ずしもそれが見えてこない。

 帝国が消えて、都市が破壊されたのは知っているし、戦争の一部は結果として大量虐殺的なものだったのも知っている。でもそうした出来事に関連した人々の大半がどうなったかはわからない。かれらの運命は、とにかくまるで重要性を持っていなかった。たまに言及されるときですら、牛や羊などの家畜とひとくくりにされるのが通例だ。

被害者たちが自らの物語を語るようになったのは、ホロコーストの比類ない邪悪の後でのことで、ナチズム支持者たちはそれが起きたこと自体を否定する必要があると思った。それはある人々の工業的な破壊という独特な出来事であり、大量虐殺についての人々の見方を変えた。戦争中ですら、全面勝利の後で日本人をどうすべきかと尋ねられたアメリカ人たちの10~15パーセントは、皆殺しにしろと答えた。

各種のファシズムや共産主義の崩壊後もジェノサイドは何度か起きた。たとえば、1992~95年のボスニア、1994年のルワンダなどだ。でもこれは、全体としての減少傾向の中で突出した出来事でしかない。21世紀初頭は、過去100年の他のどの時期に比べても大量虐殺の少ない時期だった。一方的な暴力による年間死亡者数は、ルワンダでの大量虐殺を除いて考えても、1990年代から半減している。

一方で、増加した一方的な暴力の一形態はテロで、特に宗教的な狙いで行われたテロ攻撃が増えた。世界テロリズム指数によると、テロ活動のために死んだ人々の数は2000年以来5倍にもなった。これはイラク、シリア、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアでのテロリスト急増によるもので、これはしばしば戦場に近い状況の結果として生じる。また過去数年では西欧での攻撃増大も見られた。それでもその死者数は、分離独立テロや共産主義テロ組織が活発だった1970年代のものに比べると、三分の二程度にとどまる。

テロは目を惹くし、劇的で恐ろしい。というか、テロはまさにそれを狙ったものだ。恐怖をかきたてるためのものなのだ。でも実際に死ぬ人の数はとても少ない。戦争や犯罪行為の規模とは桁がちがうし、交通事故の足下にも及ばない。2000年以来、OECD諸国では年平均400人ほどがテロで死に、そのほとんどはトルコとイスラエルでのものだ。風呂で溺死するヨーロッパ人のほうが多いし、階段から転げ落ちて死ぬ人はテロ死者数の10倍だ。

通説とは逆に、テロはイデオロギー的な目標達成手段としてはとても効率が悪い。それが長いこと効率的と思われてきたのは、暴力的な反植民地運動の成功のおかげだ。でも植民地主義への反対は、それが暴力的だろうと平和的だろうと成功してきた。暴力的な運動は一般に、大失敗しがちだ。政治科学者オードリー・クローニンは1968年以来活動してきたテロ集団を457件調べた。どれ一つとして国を征服できず、94パーセントはその活動目標を一つたりとも実現できていない。平均的なテロ組織はたった8年しか続かない。その理由は、民間人を攻撃するせいで、支持を得たいと思っている人から反発を受けてしまうからだ。「テロリストの暴力は、自らの中に嫌悪と反発の種を含んでいる。暴力は国際的な言語ではあるけれど、品位にだって国際的な訴求力があるのだ」

だからテロリストが勝てる唯一の方法は、被害者が過剰反応して市民の自由を破壊し、少数の行動についてある集団全体を糾弾する場合だけらしい。それをやると、まさにテロリストたちの求める紛争がかきたてられ、それでテロリストのリクルートもしやすくなり、戦闘も続けやすくなる。

平和は決して確実なものではない。人は脅かされたと感じると、闘争か逃走かという本能が起動してしまうし、つい武器に手を伸ばしたくもなる。1909年の著書『大いなる幻影』で、イギリスの社会民主派ノーマン・エンジェルは、工業国はもはや征服で便益を得られないという見事な主張を行った。その理由の一部は、各国の経済的な相互依存が高いからだという。その5年後に、相互に貿易しているだけでなく、君主たち--ジョージ5世王、カイゼル・ヴィルヘルム2世、二コライ2世皇帝--が従兄弟同士で交際もあった国々の間で、第一次世界大戦が勃発した。

多くの専門家は、中国が台頭して東アジアでの海洋覇権をめぐりアメリカと戦おうとするのではとか、領土回復政策を持つロシアが、ヨーロッパで失った領土を取り戻そうとして戦争を起こし、大戦争が生じるのではと懸念する。中東での紛争は列強同士の戦争につながるかもしれず、インドとパキスタンはどちらも核保有国で、お互いに戦争の脅しをかけあう。北朝鮮などのならず者国家のエリート層は、静かに滅びるくらいならこの世に地獄をもたらそうとするかもしれない。何よりも、核拡散のおかげで世界は常にリスクにさらされている。資金豊富なテロ組織が、なるべく多くの民間人を殺そうと頑張っているのはわかっている。そしてどこかの時点で、テロ組織が核兵器を手に入れないとも限らない。

でも全体としてのトレンドは強い。富と健康と小家族の増大で、みんな生命の価値を重視するようになり、これで人道的な態度や平和に対する強い関心が生じた。商業と貿易で各国は、ゼロサムゲームよりは相互に利益のある取引に興味を持つようになった。ここに、豊かな自由民主主義国に見られるまったく新しい現象を追加してもいいかもしれない。真の平和と呼んでもいいかもしれないものだ。こうした国々では、国民も指導者もお互いに再び戦争をするなどとは夢にも思いつかないのだ。これはフランスとドイツのようなかつての仇敵ですらそうだ。

どうやら民主主義国同士は、滅多にお互いに戦争をしたりはしないようだ。それは有権者が滅多に戦争などを求めず、指導者は滅多にそれで政治的に利益を得られないせいもあるし、また民主主義のルールに基づく国内交渉プロセスが外部化されているせいもあるだろう。政治科学者のブルース・ラセットとジョン・オニールは、この民主的平和理論が少なくとも1900年以降の時期についてはとても強いと分析している。列強は民主主義であっても他の国よりは戦争をしやすいとはいえ、それでも民主主義国同士はほとんど戦争をしない。ラセットとオニールはこの理論を拡張し、重要なのは実は民主的な平和ではなく、自由な平和ではないかと論じる。というのも自由貿易と経済的相互依存のほうが、民主主義より大きな影響を持つからだ。民主的平和は、両国が民主主義でないと起こらないけれど、貿易と商業の影響は、開放市場経済を持つのが片方だけでも見られる。オーストリアの経済学者ルートヴィヒこノォン・ミーゼスが述べたように、仕立屋がパン屋に戦争をしかけたら、その後は自分でパンを焼かなくてはならなくなる。

もちろん自由民主国同士の間にも紛争はある。でもかつてとのちがいはその解決方法だ。カナダのエレスミア島とグリーンランド北部との間のケネディ海峡にある小さな無人島のハンス島は、カナダとデンマークの両国が領有権を主張している。そして両国の軍隊は、それぞれときどきその島を訪れる。デンマーク軍がこの島にくると、デンマークのシュナップスのボトルを置いてゆく。そしてカナダ軍が訪れるときには、カナディアンクラブウィスキーのボトルを置いて、「カナダヘようこそ」という看板を立ててゆくのだ。
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LINE 売上・利益は小さくても時価総額1兆円

『ヤバい本業 伸びる副業』より 無料戦略は、決算書にこう映る LINE

スマホユーザーの大半が利用する「LINE」

 インターネットサービスの世界では、ューザーは無料でサービスを利用することができるのにもかかわらず、高い収益をあげている企業が多く見られます。

 検索のグーグル(YouTubeも傘下、上場会社名はアルファベット)、SNSのフェイスブック(インスタグラムも傘下)やツイッターなどが代表例です。これらの企業やサービスは原則、ユーザーには課金せず、企業からの広告収入を収益源としていることはある程度知られるようになってきました。こうしたビジネスモデルは日本の民間放送(テレビ・ラジオ)と同じです。

 一方で、企業からの広告収入に加えて、ューザーにも課金することによって収入源を複線化させている企業も見られます。

 この章ではLINEとクックパッドの2社をとりあげ、ダブル収入源を持つインターネットサービス企業のビジネスモデルすなわち「稼ぐ仕組み」を解き明かしていきます。

 LINEは2000年に前身の会社設立後、2011年6月に対話アプリ「LINE」がリリースされ、2013年4月に現在のLINEに社名を変更しています。

 歴史は浅いですが2017年12月時点の月間アクティブユーザー数は日本国内で人口の57%に相当する7300万人に達しています。日本のスマートフォン個人保有率は56・8%(総務省2017年版「情報通信白書」)なので、スマートフォンユーザーの大半がLINEを利用していることになります。

 LINEが公開している「LINEアカウント2018年1月~2018年3月媒体資料」によれば、国内ユーザーのうち84%は毎日利用していること、性別では女性53・3%、男性46・7%と女性がやや多く、年齢別には15~19歳が10・3%、20代20・7%、30代22・7%、40代22・5%、50歳以上23・8%と各年齢層に満遍なく利用されていることなどが示されています(2017年7月の調査)。

 多くの企業には、これだけ多数のューザーが日常的に使うLINE上で自社商品・サービスの広告を流したいという強いインセンティブが生じることになります。

海外にも広がるLINEの影響力

 日本だけでなく台湾、タイ、インドネシアなど海外にもューザーを広げています(これらエリアで月間アクティブユーザー数9500万人、人口比は27%)。

最大の時価総額で注目された日米同時上場

 LINEは2016年7月に日米同時に上場を果たし、この年に上場した企業の中では最大の時価総額の大型上場として注目されました(上場した2016年7月15日の終値で9124億円、東証一部で119位)。なお同社の上場は日米同時という点でも、また上場後も株の約80%を韓国検索最大手のNAVERが持ち続けている(すなわちLINEはNAVERの子会社)という点でも注目されました。

 2017年冬商戦に話題を集めたAIスピーカーにはアマゾン(アマソンエコー)、グーグル(グーグルホーム)などと並んでLINEもクローバを投入しました。他にも2017年12月にはシェア自転車事業への参入、2018年1月には資産運用事業への参入、仮想通貨事業を行う子会社の設立を発表……と事業分野を拡大するニュースが続いています。これらの動きはいずれも国内だけで7300万人ものユーザー基盤を活用して、さらにビジネス拡大を図ることが狙いと考えられます。

 今では多くの人の日常生活に不可欠なインフラになっているLINEですが、日頃LINEを使って家族や友人と連絡をとり合い、無料で利用できる電話やゲームなどは使っても、LINE自体の利用ではお金を使ったことがないという人は多いと思われます。

 大半のサービスは無料で利用できるLINEが、どうして現在では時価総額1兆円規模の上場企業として評価されているのか、決算データを通じて、そのビジネスモデル(収益の稼ぎ方)を解き明かしていきます。

LINEの売上とは何か?

 図表Aには2014年12月期以降の4年間の主要な経営指標を掲載しています。

 2017年12月期の売上は1671億円、営業利益(率)は250億円(15・O%)です。売上、営業利益の絶対額はさほど大きいとはいえません。大半の時価総額1兆円クラスの企業に比べると売上も利益も規模が小さいのがLINEの特徴です。

 LINEでは事業セグメントは「LINEビジネス・ポータル事業」の単一としています。

 しかし主要なサービスごとの売上を「コミュニケーション及びコンテンツ」「広告」の2つの大区分、さらに5つの小区分で開示しているので、これを見ることによってLINEがどのようなサービスでどれだけ稼いでいるか、またその変化がわかります。

 なお開示されているのは売上だけです。サービス別の利益は開示されていません。

大きな伸びを続けるLINEの秘密

 3つに区分される「コミュニケーション及びコンテンツ」

 「コミュニケーション及びコンテンツ」はューザーに課金されるサービスを示します。

 2017年12月期の売上は906億円で売上構成比は54・2%と過半を占めますが、構成比は2014年12月期の72・9%から69・8%→61・1%→54・2%と年々低下傾向にあります。

 「コミュニケーション及びコンテンツ」はさらに以下の3つの小区分に分かれます。

①コミュニケーション

 LINEの象徴ともいえるスタンプ(キャラクターの表情・アクションのスタンプで感情表現ができる)、着せかえ(キャラクターのテーマで画面背景テーマを変える)などへの課金収入です。

 LINE公式キャラクター(クマのブラウン、ウサギのコニーなど)のスタンプや着せかえは無料で提供されますが、他社キャラクター(ハローキティ、リラックマなど)、クリエイターズスタンプ(ウサギの「うさまる」など)などは課金対象となります。

 「コミュニケーション」の2017年12月期までの売上は206億円→287億円→292億円→302億円と、伸びは鈍化しつつあります。

②コンテンツ

 LINEDAMEをはじめLINEマンガ、LINEMUSICなどの課金収入が対応します。

 主力となるゲームではLINEのキャラクターが登場する「LINEバブル」「LINEレンジャー」などに加え、「LINE:ディズェーツムツム」など他社コンテンツもあります。

 ゲームはすべて無料でダウンロードしてプレイすることができますが、ゲームを有利に進めるためのアイテムが有料になっているのは、多くのインターネットゲームと同様です。

 2017年12月期までの「コンテンツ」の売上は404億円→492億円→447億円→401億円となっており、2015年12月期をピークに減少傾向にあります。

③その他

 LINEFRIENDS(ブラウン、コニーなどLINEキャラクターのグッズ販売。東京・原宿と福岡に店舗あり)、LINEモバイル(2016年9月にサービスを開始したMVNO〈仮想移動体通信事業者〉事業)、LINEpay(モバイル決済サービスアプリ)などからの収入が該当します。

 「その他」の2017年12月期までの売上は17億円→59億円→119億円→202億円と大きな伸びを続けています。

 なお2018年1月にLINEモバイルを運営する子会社にソフトバンクが51%出資(LINEの出資比率は49%に)することが発表されました。これにより今後、LINEモバイル事業運営会社はLINEの連結子会社から持分法適用会社になるため、LINEモバイルに関わる収益はLINEの連結業績にダイレクトには反映されなくなります(子会社、持分法適用会社については用語解説4参照)。
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