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OCR化した4冊

2018年02月10日(土) OCR化した4冊

『「未解」のアフリカ』

 なぜ奴隷が必要だったのか

  新大陸で必要とされた技術
  後の奴隷価格の高騰

 奴隷狩りの始まりと奴隷の位置付け

  奴隷狩りの始まり
  「積み荷」という奴隷の位置付け

 奴隷貿易のアフリカヘのインパクト

  コンゴ王アフォンソ1世の予言
  奴隷貿易の経済的インパクト

 奴隷の禁止

  なぜ奴隷制の禁止ではなく奴隷貿易の禁止だったのか
  奴隷制の廃止

 イスラム教の興りとアフリカヘの伝播

  アッラーとゴッドは同じ神
  イスラムの興りと地中海沿岸のイスラム化
  サブサハラ・アフリカのイスラム化と「知」の世界の誕生
  東アフリカ

 「民族国家」とは何か

  ウェストファリア条約が生んだ「民族国家」の呪縛
  ヨーロッパにおける「民族国家」の虚構

『イスラーム主義』

 もう一つの近代を構想する

  グローバル・ジハードの問題

   三重の苦難
   中東政治の主体的構成要素
   グローバル化したジハード主義
   「イスラームの過激化」か、「過激主義のイスラーム化」か
   「ぐれ」という普遍性
   普遍性と特殊性のねじれ

  ポスト・イスラーム主義

   ポスト・イスラーム主義とは何か
   国家中心的議論の限界
   「もう一つの近代」への道

  イスラームと民主主義

   本質主義的説明の陥穿
   自由主義と世俗主義の問題
   どのような民主主義を実践していくのか

  もう一つの近代は可能か

   他者の「悪魔化」、自己の「犠牲者化」
   アイデンティティ・ポリティクスの隘路
   創造的な営みを回復させるために

『マルクス 資本論の哲学』

 交換と贈与--コミューン主義のゆくえ

  「自由な人間の連合体」と「アソシエーション」

  『経済学・哲学草稿』の「私的所有」批判

  問題の転換--「交換」概念の問題性

  『ゴータ綱領批判』冒頭部について

  『ゴータ綱領批判』における「コミューン主義の第二段階」

  交換の原理を超えるもの--コミューン主義のゆくえ

『統計でみる日本』

 家族・世帯

  世帯数と世帯規模

   世帯数は5000万世帯を超える
   世帯規模は1世帯当たり2.33人
   世帯規模は東京で最小、山形で最大
   途上国と先進国間に世帯規模の格差

  一般世帯の家族類型

   家族の変容、単独世帯化が一層顕著に
   3世代世帯の減少、高齢者世帯の増加
   家族類型の国際比較:東アジアと欧米諸国

  世帯の男女構成とひとり親世帯の状況

   男女、年齢と配偶関係別に異なる世帯主率
   日本と欧米諸国の母子世帯はひとり親世帯の8~9割
   高齢者世帯の家族類型:夫婦のみ・単独世帯の増加

  配偶関係

   女性の死別・離別は男性を上回る
   晩婚化は一服したが、非婚化の増勢は続く
   世界の平均初婚年齢一男女ともに高いヨーロッパ諸国
   婚姻件数・婚姻率は微減

  離婚件数、離婚率

   離婚件数・離婚率が前年より減少
   県別離婚率は沖縄が最高、富山が最低
   世界の婚姻率と離婚率
   離婚は同居後5年未満が最大、熟年離婚は横ばい

  住居

   持ち家率は62.3%
   持ち家率は富山が最高、東京が最低
   1世帯当たり世帯人員は持ち家が最大
   世帯の家族類型により住居

 地域社会

  都道府県の人口規模と人口動態

   人口が500万以上は9都道府県
   2010~15年の5年間に増加したのは8都県
   沖縄県のみ自然増加、秋田県ほか46都道府県で自然減少

  都道府県の人口と世帯の構成

   人口の高齢化は進行
   単独世帯の割合が2010~15年で2.2%増加

  市町村の人口動向

   市町村数は、1999年の3、229から2016年10月には1、718に減少
   人口の多い市町村で減少、少ない市町村で増加
   2010~15年には82.5%の市町村で人口減少
   日本の人口重心は東南東方向へ移動

  都市の人口動向

   実質的な都市化は緩やかに進行
   昼夜間人口比率は大阪市が131.7%と最も高い

  国内人口移動

   1970年代以降、人口移動は低下傾向
   東京圏は転入超過が続く、大阪圏と名古屋圏の2015年は転出超過
   人口移動は30~34歳がピーク

 家計と暮らし

  消費水準、実収入、消費支出

   消費水準はバブル崩壊後低下傾向で推移
   2016年は実収入が2年連続実質増加、消費支出は3年連続の実質減少
   家計の収入構成では世帯主賞与の低下が続く

  消費支出の構成、非消費支出

   交通・通信への支出割合はさらに拡大して13.8%
   民営借家世帯の住居費は、消費支出の20.8%を占め最も多い
   非消費支出は名目0.1%の減少、実収入に占める割合は0.1%ポイント低下

  平均消費性向、貯蓄と負債

   2016年の平均消費性向は2年連続低下の72.2%
   貯蓄年収比は1.82倍、有価証券の割合は11.5%に上昇
   2016年の負債現在高の年収比は109.2%で過去最高

  消費者の購入におけるネットショッピングの拡大

   通信販売(インターネット)での利用割合が最も高いのは「航空運賃」
   2016年のネットショッピングによる購入額は2002年の約7.7倍
   ネットショッピングによる購入割合の第1位は神奈川県の1.58%

  近年の消費行動の特徴

   電子マネーの1世帯1か月間の利用金額は17、318円
   伸びが著しい高機能器具と情報通信系の教養娯楽耐久財の普及率
   年齢が低いほど携帯電話通信料への支出が多い単身世帯

  高齢者世帯の暮らし

   高齢夫婦無職世帯の2016年の家計収支は1か月当たり5万4700円の赤字
   健康志向で「生鮮食品」、「発酵食品」の購入が多い高齢者世帯

  所得と貯蓄の分布

   貯蓄現在高の分布は年間収入の分布よりもはるかに広い
   貯蓄現在高分布の不平等度を示すジニ係数は、年間収入よりも大きい
   貯蓄現在高のジニ係数が上昇し、住宅・宅地資産を上回る

 生活一般

  住生活

   住宅の13.5%が空き家
   持ち家より借家のほうが生活関連施設に近い
   最近建設された住宅では高齢者等のための設備が充実

  租税公課

   消費税率の引き上げ
   高齢者世帯には所得再分配効果が大きい
   たばこ税と酒税

  交通事故

   交通事故死亡者数は減少
   交通事故死者の半分以上は高齢者
   高齢者の交通事故死は「歩行中」が半分近い

  火災・救急サービス

   火災発生件数は減少傾向
   出火原因は放火が最も多い
   救急搬送人員の半数は軽症傷病者

  生活と犯罪

   犯罪件数は2002年をピークに減少
   「振り込め詐欺」
   自殺者数は3万人を割る

  少年と犯罪

   刑法犯少年は減少
   特別法犯少年も減少に転じる
   少年が被害者となった刑法犯罪は13万件

  ごみ問題

   ごみの最終処分量は排出量の9.5%
   産業廃棄物の半分以上は再生利用
   3Rが進む

 健康・医療

  国民の健康

   年々肥満化する男性、年々スリム化する女性
   習慣的な喫煙者は20~50歳代までの男性の4割
   主要先進国の中では日本の平均寿命が最長

  病気

   人口の1%が入院患者、6%が外来患者
   糖尿病有病者は70歳以上で5人に1人
   死因の1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は肺炎

  医療サービス

   医師数は年々上昇し、病床数は1990年以降減少
   産科医、小児科医の不足
   人口千人当たりの医師数は欧米よりも少なく、病床数は顕著に多い

  医療費

   国民医療費総額は42.4兆円、GDPの8.0%
   65歳以上の高齢者1人当たり医療費は65歳未満の4倍
   公費と患者負担が増え、事業主と被保険者負担が減る傾向
   日本は高齢化の割には医療費が少ない

  高齢者の介護

   2015年度の介護総費用は9.5兆円
   介護サービス受給者の7割は女性
   特養入所待ち老人が約52万人

 社会保障・福祉

  社会保障給付費

   社会保障給付費は114.9兆円
   社会保険料の割合は50%

  公的年金

   公的年金加入者は6710万人、年金総額は55兆円
   高齢者世帯の所得は年金が7割
   国民の年金制度に対する不信

  子育て支援

   少子化と健全育成施策
   働き方と子育て支援

  社会福祉

   生活保護受給者の増加
   障害者は859万人
   各種福祉施設の数と在所者数

  社会保障改革

   2017年度予算の社会保障関係費は32兆円(一般歳出の56%)
   中福祉・中負担?
   国民と向き合う社会保障

 文化・芸術

  舞台芸術

   鑑賞は女高男低
   公演数は2005年まで、その後は横ばい
   鑑賞・公演ともに東京の一極集中

  文化施設

   美術館、歴史博物館が大幅に増える
   美術館の入館者数は増加
   動物園の入場者数は減少に歯止め
   文化施設数は横ばい

  出版

   発行部数は1998年以降減少、新刊点数も2014年以降減少
   社会科学・文学の割合が高い新刊書籍
   新聞の発行部数は2000年前後で頭打ち
   拡大を続ける電子書籍市場

  映画

   2000年代に入って入場者数は回復へ
   邦画が洋画を逆転
   映画とDVDの鑑賞は代替関係から、補完関係へ

  芸術家と文化・芸術関係就業者

   生活の余裕とともに著しい芸術家の増加
   パート・アルバイト比率の高い女性の音楽家
   音楽家を従業上の地位別にみると、雇人のない業主であるいわゆるフリーの音楽家の割合が最も高くなっている。正規職員の割合は男女でほとんど差はないが、パート・アルバイトの比率は女性の方が高くなっている。これは、女性の音楽家における個人教師の多さとも関連がある。

 余暇活動

  生活時間の配分

   1次活動、2次活動及び3次活動の時間の変化
   勤務間インターバルと通勤時間・睡眠時間

  生活時間の曜日効果

   曜日による総平均時間の比較
   趣味・娯楽とスポーツの時間帯別行動者率

  趣味・娯楽

   趣味・娯楽行動者率の推移
   種目別趣味・娯楽行動者率の推移
   遊園地、動植物園、水族館の行動者率と行動者数

  スポーツ

   スポーツ行動者率の推移
   種目別スポーツ行動者率の推移
   スポーツ観覧の推移

  ボランティア活動

   ボランティア活動・社会的参加活動の行動者率
   ボランティア活動の種類
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統計でみる日本 余暇活動

『統計でみる日本』より

生活時間の配分

 1次活動、2次活動及び3次活動の時間の変化

  「社会生活基本統計」にみられる1991年から206年にかけての行動の種類別生活時間の変化は以下のようにまとめられる。

  1次活動、すなわち、生理的に必要な活動の時間は、1991年から2016年にかけて、徐々に増加している。高齢者ほど身の回りの用事、食事に時間をかける傾向があり、高齢化の影響が認められる。

  2次活動、すなわち、社会生活を営む上での義務的な性格が強い活動の時間は下げ止まった。とくに、女性において、家事の時間が減る一方、仕事と通勤・通学の時間が増加した。これは、女性の労働力人口比率の上昇に見合った結果である。とはいえ、項目別には男女間で大きな相違がみられる。仕事と通勤・通学については男性の活動時間が長く、家事と買い物、育児については女性の活動時間が長い。

  3次活動、すなわち、各人の裁量で自由に行動する時間は、2011年まで増加傾向にあった。しかし、16年には男女ともわずかながら減少しか。項目別には、11年から16年にかけて男女ともテレビ・ラジオ・新聞・雑誌(以下、テレビ等)の活動時間が減少し、休養と趣味・娯楽の活動時間が増加した。交際・付き合いの活動時間は男女とも減少し続けた。

 勤務間インターバルと通勤時間・睡眠時間

  総務省は勤務間インターバル(以下、勤務間隔)に関する試算を公表した。勤務間隔とは、勤務終了から翌日の勤務開始までの時間を指す。通常の雇用者は、この間隔の中で、職場から帰宅し、睡眠を取って翌朝出勤する。それ以外の時間が平日の余暇に当たる。

  EUでは、法律によって、11時間が勤務間隔の最低限とされる。

  表12.1.2には、ホワイトカラーと分類できる4つの職業大分類別に、勤務間隔11時間未満の者の比率、勤務間隔の四分位点、最頻帯、平均通勤時間、平均睡眠時間を示す。それによると、専門的・技術的職業従事者は、短勤務間隔者の割合が高く、通勤時間も相対的に長い。結果的に、平均的な睡眠時間も短くなっている。

  表12.1.3は、専門的・技術的職業従事者の中で職業中分類別に勤務間隔に関連する統計を示す。教員は、短勤務間隔者が2割弱存在し、平均的な睡眠時間も最短になっている。保健医療従事者については、勤務間隔が8時間未満と極端に短い者の割合が高いことが指摘されている。

生活時間の曜日効果

 曜日による総平均時間の比較

  平日と土曜日・日曜日では、仕事や趣味・娯楽に費やす時間に大きな違いがある。男女とも、有業者の方が無業者よりも平日と土曜日・日曜日の時間差が大きい。とくに、男性において顕著な差がある。その一因は、女性は有業者のパート・アルバイト比率が男性よりも高く、男性の有業者の平日の自由時間が短いことにあると考えられる。

  平日に比べて日曜における時間が長くなる活動は、男性ではテレビ等、睡眠、趣味・娯楽の順であり、女性では睡眠、テレビ等、趣味・娯楽の順となる。平日に仕事や通勤・通学に費やされる時間が、休日には睡眠や3次活動に向けられる。就業状態が同じ場合、女性の睡眠時間は男性のそれよりも短く、かつ、平日と土曜日・日曜日の差が男性より小さい。

  3次活動のうち、テレビ等と休養は心身を休める活動と位置付けられる。男性有業者については、これらの行動が土曜日・日曜日に大きく増える。女性有業者についても同様の傾向が認められるけれども、平日との差は男性のそれほど大きくない。

  これに対し、自由時間を利用した活発な行動としては、趣味・娯楽やスポーツが挙げられる。とくに、男性有業者においては、これらの行動時間は土曜日・日曜日に大きく増えている。女性有業者については、趣味・娯楽の行動時間が土曜日・日曜日に増えるが、スポーツの行動時間には平日と土曜日・日曜日とで大きな変化がない。

 趣味・娯楽とスポーツの時間帯別行動者率

  趣味・娯楽やスポーツの時間帯別の行動者率(当該行動者の対人口比)を図12.2.1~4に示す。それによると、男女とも以下の傾向が読み取れる。趣味・娯楽については、朝食と昼食の間(11:00ごろ)と昼食と夕食の間 (15:00頃)、夕食後(22:00前)に行動者率のピークが見られる。最も高いピークは15:00ごろにある。さらに、深夜の時間帯(O:0前後)にも行動者率はO%とはならない。これら傾向は平日、土曜日、日曜日に共通して観察できる。

  次に、スポーツの行動者率については、朝食と昼食の問の10:00頃に最も高いピークがあり、昼食と夕食の間の土曜日、日曜日15:00前、平日は17:00前に、それよりも低いピークがある。趣味・娯楽と異なり、夕食後のピークが目立だない代わりに、朝食前にピークがあるように見える。おそらく、ウォーキングや軽い体操、ジョギングなどを朝食前の習慣とする人が一定数いるのであろう。深夜時間帯の行動者率はほぼO%である。

趣味・娯楽

 趣味・娯楽行動者率の推移

  趣味・娯楽の行動者率は、1986年から91年に一旦上昇し、その後は低下した。しかし、2006年から16年にかけて、継続的に上昇した。男女差は縮小傾向にあり、2016年には、男子行動者率87.2%、女子行動者率は86.4%となり、両者の差は1%ポイントに満たない。

 種目別趣味・娯楽行動者率の推移

  余暇に楽しむ趣味・娯楽の種類については男女差が見られる。

  男性の主な趣味・娯楽の行動者率を図12.3.2に示す(映画館での映画鑑賞を除く)。全体的に趣味・娯楽の行動者率は低下する傾向にある。ただし、種目別にみた趣味・娯楽の行動者率の低下幅は、スポーツよりも小さい。例外的に、テレビゲーム・パソコングームの行動者率は上昇傾向にあり、1986年の23%弱から2016年の40%強へと約20%ポイント上昇した。

  女性の主な種目別趣味・娯楽行動者率を図12.3.3に示す(映画鑑賞を除く)。2001年以降、低下傾向にあるものは、趣味としての読書、演芸・庭いじり・ガーデニング、カラオケ、和裁・洋裁である。逆に上昇しているのはテレビゲーム・パソコングームである。その他は、同水準で推移している。

 遊園地、動植物園、水族館の行動者率と行動者数

  遊園地、動植物園、水族館の利用は、趣味・娯楽と行楽の要素を持つ。家族連れによる利用も多い。図12.3.4によれば、男女とも、10~14歳の行動者率が高く、15~19歳でいったん低下し、40歳前まで再び上昇した後に、徐々に低下している。おそらく、小学生の頃は親と一緒に、結婚後は幼少の子供といっしょに訪れることが多いのであろう。

  男女・年齢階級別の行動者数については、ほとんどの年齢階級において女性の行動者数が多い。さらに、年間行動日数の分布を比較すると、10~29歳においては、女性の年間行動日数5日以上の行動者の割合が男性のそれよりも大きくなっている。

  男女とも、65~69歳の行動者数が前後の年齢階級のそれよりも多い。この年齢層は団塊の世代にあたり、今後の行動者数の変化が注目される。

スポーツ

 スポーツ行動者率の推移

  「社会生活基本統計・生活行動編」からスポーツの行動者率を時系列的にみると、2011年まで男女とも低下傾向で推移した。低下傾向は男性の方が顕著であった。しかし、16年には男女とも反転して、06年を上回った。種目別に11年と比べると、卓球やバドミントンの行動者率の上昇が大きかった。これは、16年のリオデジャネイロ五輪開催も上昇の一因と考えられる。

  2016年調査における都道府県別スポーツ行動者率を図12.4.2に示す。行動者率が全国のそれ(68.8%)より低い県が36ある。行動者率の高い3都県は、東京都(75.7%)、埼玉県(72.6%)、神奈川県(72.4%)、低い3県は、青森県(56.0%)、岩手県(60.6%)、秋田県(60.6%)となっている。

 種目別スポーツ行動者率の推移

  2011年から16年にかけて、スポーツ行動者率は上昇したけれども、個別には低下した種目もある。上昇の大きかっか5種目は、ウォーキング・軽い体操(35.7%から42.1%)、器具を使ったトレーニング(9.9%から14.9%)、ジョギング・マラソン(8.6%から11.2%)、卓球(3.9%から5.9%)、バドミントン(4.0%から5.7%)であった。逆に、低下の大きかった5種目は、サイクリング(8.4%から7.6%)、ソフトボール(2.9%から2.4%)、ゴルフ(8.3%から8.1%)、ボウリング(12.1%から11.9%)、剣道(0.6%から0.5%)であった。総じて、行動者率の上昇した種目数が多く、低下した種目も減少幅が小さかったので、スポーツ全体の行動者率が上昇した。

 スポーツ観覧の推移

  スポーツは観覧の対象でもある。スポーツ観覧(テレビなどによる観覧を除Oの行動者率は、男性で1986年(30%)から2011年(21.2%)にかけて10%ポイント程度低下し、女性では1986年(16.3%)から2011年(14.6%)の間、わずかな上下動はあるものの、ほとんど変化しなかった。しかし、2016年は男性25.2%、女性17.0%と男女とも反転し、06年の行動者率(男性24.7%、女性16.2%)を上回った。

  スポーツ観覧の代表としてプロ野球とJリーグの年間入場者数と1試合当たり入場者数を図12.4.4と図12.4.5にそれぞれ示す。16年のプロ野球入場者数は約2498万人で前年よりも約74万人の増加、Jリーグ入場者数は約550万人で前年よりも約5万人の増加となった。16年の1試合当たり平均入場者数はプロ野球が約29千人で前年よりも0.9千人の増加、Jリーグは約18千人で前年よりも200人弱の増加であった。

ボランティア活動

 ボランティア活動・社会的参加活動の行動者率

  総務省「社会生活基本統計」におけるボランティア活動・社会的参加活動(以下、ボランティア活動)は、報酬を目的とせず、自分の労力、技術、時間を提供して地域社会や個人・団体の福祉のために行う活動と定義される。2001年から16年までの男女別ボランティア活動行動者率を図12.5.1に示す。男性(10歳以上)の行動者率は2001年の27.0%から06年(25.1%)に低下した後は約25%、女性(同)も01年の30.6%から06年に27.2%と低下したけれども、その後は約27%で推移した。

  2016年における年齢別の行動者率を図12.5.2に示す。30歳まで行動者率が低下する傾向は男女に共通している。しかし、その後は男女に相違がみられる。男性は、概ね年齢が高くなるほどボランティア活動行動者率も高くなる。女性の行動者率は、45歳まで上昇し、その後は低下する。

 ボランティア活動の種類

  表12.5は、ボランティア活動の種類別行動者率を示す。ほとんどの種類は、低下ないしほとんど変化しなかった。例外的に、子供を対象とした活動は増加する傾向にある。災害に関係した活動については、3月に東日本大震災の発生した11年に行動者率が急上昇している。調査月が10月なので、震災の影響が認められる。

  2016年において行動者数の多かったボランティア活動の3種は、男性ではまちづくりのための活動、安全な生活のための活動、子供を対象とした活動となっている。女性では、子供を対象とした活動、まちづくりのための活動、高齢者を対象とした活動の順になる。

  娯楽・趣味やスポーツに比べると、ボランティア活動の行動者率は低い。しかし、行動者に注目すると、活動の頻度は高い。このことは、とくに女性に当てはまる。たとえば、子供を対象とした活動、高齢者を対象とした活動の双方で、年5日以上活動した者が行動者の過半をしめている。年間100日以上の行動者も相当数存在する。

  どのボランティア活動をみても、総じて、女性の行動者数が多く、頻度も高い。例外は、スポーツ・文化・芸術・学術に関係した活動である。行動者数と頻度ともに、男性が女性を上回っている。この項目には、少年野球や少年サッカーのコーチ役なども含まれている。習い事の頻度の目安となる週1回以上の行動者の割合が比較的高くなっていることから、この項目には、ボランティアとはいいながら、定期的な行事(練習)のサポートが多く含まれていると思われる。
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統計でみる日本 家族・世帯

『統計でみる日本』より

世帯数と世帯規模

 世帯数は5000万世帯を超える

  家族は社会を構成する最も基礎的な単位であるが、統計上、家族を直接把握することは難しいので、人口の最も基本的な調査単位である世帯の統計に基づいて、その実態が明らかにされる。世帯は一般世帯と施設等の世帯に分けられる。前者は2010年に5000万の大台を超え、15年は約5333万世帯となり、後者は約12万世帯を数える。一般世帯は1970年には約3030万世帯であったので、45年間に年率1.26%の増加を示し、同期間の人口増加率(0.43%)に比べ、かなり顕著な増勢にあったと言える。最近の一般世帯の増加率は、2010~15年に年率0.57%と低下している。

 世帯規模は1世帯当たり2.33人

  一般世帯の世帯規模は、1960年の4.14人から2015年に2.33人へと大幅な縮小が続いている。世帯の小規模化の傾向は、出生率の低下による1夫婦当たりの子供の数の減少によるところが大きいが、1970年代以降は、核家族化の影響が大きいと思われる。80年以降は核家族化の鈍化がみられるものの、単独世帯の増加が顕著となり、世帯規模の縮小を促進したとみられる。また世帯人員別世帯分布をみても、1人、2人世帯の割合の上昇と4人以上世帯の割合の低下が、世帯規模の縮小をもたらしている。

 世帯規模は東京で最小、山形で最大

  2015年の世帯規模について都道府県別にみると、世帯規模が小さいのは、東京が最小で1.99人、次いで北海道(2.13人)、鹿児島(2.20人)などである。一方、世帯規模が大きいのは、山形が最大で2.78人、次いで福井(2.75人)、佐賀(2.67人)などである。都道府県間の世帯規模の格差は、最大と最小で0.79人に上るが、その背景として、出生、死亡や移動はもとより、世帯の家族類型の差異も影響している。

 途上国と先進国間に世帯規模の格差

  世界各国の世帯規模も、出生率の低下傾向を反映し、総じて小規模化の傾向にある。世帯規模は、タンザニア(4.8人)やインド(4.8人)が4人を超え、イタリア収8人)、シンガポール(3.5人)、中国(3.1人)が3人台である。

  一方、世帯規模が3人を下回るのは先進諸国に多く、スペインが2.7人、アメリカが2.6人、イギリスが2.4人、ドイツは超低出生率を反映し2.0人と非常に小さい。

一般世帯の家族類型

 家族の変容、単独世帯化が一層顕著に

  世帯の家族類型別構成は、親族世帯、非親族世帯(世帯主と親族関係がない者が同居する世帯)と単独世帯に分けられる。親族世帯の割合が1970年から2015年に79%から65%へ低下する一方、単独世帯の割合は20%から35%へと、顕著な上昇傾向がみられる。親族世帯のうち、核家族世帯の家族類型をみると、夫婦と子供から成る世帯が同期間に41%から27%へ著しい低下を示す一方、夫婦のみ世帯が10%から20%へ2倍に上昇し、ひとり親と子供から成る世帯も6%から9%へ3%ポイントの上昇がみられ、最近の家族構成の変容が窺われる。

 3世代世帯の減少、高齢者世帯の増加

  一般世帯について、核家族世帯、単独世帯とその他世帯に分類した家族類型別割合をみると、核家族世帯は、1980年に60%でピークに達した後、2015年には56%に低下し、一方、単独世帯は前述のとおり、上昇の一途をたどっている。その他世帯には核家族以外の世帯と非親族世帯が含まれるが、その割合は年々低下し、15年には9%と過去最低となった。単独世帯の増加や3世代世帯の減少がその他世帯の減少に寄与している。

  子供のいる世帯の割合は、1970年の65%から2015年に41%と、24%ポイントの著しい低下を示している。3世代世帯の割合は、1970年の16%から2015年には6%となり、急速に低下している。高齢夫婦世帯は、2000年から15年の15年間に、366万世帯から608万世帯に増加し、その割合は8%から11%へ上昇している。高齢単身者世帯も、同期間に303万世帯から593万世帯へ2.0倍に増加し、その割合も7%から11%へ上昇している。世帯別にみても、高齢化の進展が急速であることがわかる。

 家族類型の国際比較:東アジアと欧米諸国

  外国の核家族世帯は、日本同様、夫婦と子供から成る世帯、ひとり親世帯と夫婦のみの世帯(夫婦には同棲も含む)から構成される。核家族世帯の割合は、スウェーデン、ロシアが50%と低く、日本、アメリカ、ドイツが50%台後半、イギリス、韓国が60%台前半、オーストラリア、フランスが65%前後と比較的高く、シンガポールが76%と最も高い。

  一方、単独世帯の割合は、スウェーデンが49%と最も高く、ドイツ、日本、イギリス、フランスが30%以上、アメリカ、ロシア、オーストラリア、韓国は20%台、シンガポールは12%と最も低い。日本は地理、宗教・文化の面では東アジアに属するが、世界の家族構成の比較から、欧米諸国型に近い家族構成であることがわかる。

世帯の男女構成とひとり親世帯の状況

 男女、年齢と配偶関係別に異なる世帯主率

  一般世帯主率について男女・年齢別にみると、男性の世帯主率が全年齢で女性より高くなっている。男性は20歳代以降世帯主率が高まり、70歳代前半まで上昇するのに対し、女性は20歳代には20%台、40歳代前半までは10%台、45歳からは20%以上を維持し、80歳代は40%を超えている。

  一般世帯主率を配偶関係別にみると、有配偶男性は各年齢階級で90%前後と高いが、女性はほとんどの年齢で5%以下と低く、有配偶女性の世帯主が非常に少ない。未婚の場合には、男女間で世帯主率の差は少ないが、男性の方がやや多い傾向にある。死別の場合には、40歳代後半まで女性の世帯主率が男性より高い率を示すが、50歳代を過ぎると男性の世帯主率が女性を上回っている。

 日本と欧米諸国の母子世帯はひとり親世帯の8~9割

  欧米のひとり親世帯の割合は、全世帯(親族世帯と単独世帯の和)の10%前後であるが、日本は2%を占めるに過ぎない。ひとり親世帯の割合が欧米諸国で低い国はスウェーデン、ドイツ(7%)、高い国はカナダ、イギリス (11%)である。次いで、ひとり親世帯について男女別にみると、すべての国で母子世帯がほぼ80%以上を占め、圧倒的に大きな割合である。とりわけ、日本の母子世帯の割合は90%と高く、ロシア(89%)、イギリス(86%)が続いている。他方、スウェーデンが75%と低く、アメリカ(78%)、カナダ(79%)が続いている。

 高齢者世帯の家族類型:夫婦のみ・単独世帯の増加

  65歳以上の高齢者世帯の状況についてみると、2015年の高齢者人口3347万人のうち、一般世帯に属する人口は94、O%、施設等の世帯に所属する人口は6.0%である。一般世帯のうち、核家族世帯が1935万人で(65歳以上人口の57.8%)、そのうち夫婦のみの世帯は1167万人(同34.9%)で核家族世帯の6割を占めている。単独世帯は593万人(同17.7%)、3世代世帯は397万人(同11.9%)であった。3世代世帯の割合は、2000年の25.4%から15年に11.9%へと著しい低下を示したのに対し、単独世帯は13.8%から17.7%へ上昇し、3世代世帯を上回るようになった。

  施設等の世帯に所属する人口は、2000年から15年に4.7%から6.0%へ上昇している。そのうち老人ホームなど社会施設の入所者は、2.2%から4.7%へ2倍以上上昇している。15年の高齢者世帯の状況について、性比により比較すると、65歳以上人口が76に対し、単独世帯は48、社会施設入所者は33と、男女の世帯構造に明白な差異がみられる。

配偶関係

 女性の死別・離別は男性を上回る

  15歳以上人口の配偶関係別構成は男女により大きく異なる。2015年に有配偶人口は女性が男性を15万人上回るが、未婚人口は男性が341万人上回り、女性の1.3倍である。一方、死別・離別人口は女性が男性の3.0倍である。配偶関係別の構成比をみると、15年に未婚率は男性が32%、女性は23%、また有配偶率は男性が61%、女性が56%で、いずれも男性が女性を上回る。一方、死別・離別率は男性が7%、女性が20%で女性が男性より高い傾向がみられる。配偶関係別の構成比は2000年と比較し、男女ともに未婚率、有配偶率はやや低下し、死別率、離別率は上昇している。

 晩婚化は一服したが、非婚化の増勢は続く

  男性の平均初婚年齢は、2015年に30.7歳となり、10年に比べて0.5歳低下しか。女性も同様に、15年に29.4歳となり、10年に比べて0.3歳低下した。男女ともに晩婚化か進んでいたが、この10~15年において、男女とも晩婚化は進まなかった。また、男女間の初婚年齢の格差は、1970年の2.8歳から2015年に1.3歳となり、縮小している

  非婚化の指標である生涯未婚率は、戦争による男性人口の喪失の影響などから1970年には男性が1.7%、女性は3.3%で女性の方が高かったが、90年から逆転し、2015年には男性が23.4%、女性は14.1%となり、生涯にわたって結婚しない男女が増える非婚化傾向が進展している。

 世界の平均初婚年齢一男女ともに高いヨーロッパ諸国

  平均初婚年齢についてみると、男性が女性より高い傾向が各国とも共通してみられる。タンザニアを始めとする途上国の初婚年齢は男性が26歳以下、女性が22歳以下と低い。他方、スウェーデン、イタリア、スペイン、ドイッなど先進諸国は、アメリカを除き男女ともにほぼ30歳以上と晩婚で、低出生率の要因となっている。先進諸国の初婚年齢の男女差は2歳前後で、日本を含め縮小している。北欧、西欧諸国では同棲の増加が顕著となっており、初婚年齢の算出に少なからず影響していると推測される。

 婚姻件数・婚姻率は微減

  婚姻件数は、1970年に100万組を超え、72年には110万組を記録し、婚姻率(人口千対)は10.0以上で、婚姻ブームを呈した。その後、婚姻件数・率ともに低下傾向を示したが、2000年、01年には1970年代前半に出生した団塊ジュニアの婚姻が増えたため、婚姻件数は80万組に上った。以降は概ね低下傾向が続き、2016年には婚姻件数が62万組、婚姻率も5.0と過去最低となった。

離婚件数、離婚率

 離婚件数・離婚率が前年より減少

  離婚件数は、2016年に21.7万組、離婚率(人口千対)は1.73で、件数、率ともに前年より減少となった。長期的にみると、離婚件数は1960年の7万組から2002年に29万組へ4倍増となった後、年々減少している。離婚率も1960年(0.74)以降上昇傾向を持続し、2002年に23と過去最高を記録したが、以降は概ね低下傾向にある。

 県別離婚率は沖縄が最高、富山が最低

  2016年の全国の離婚件数21.7万組のうち、最多が東京の2.3万組、次いで大阪の1.7万組、神奈川の1.6万組に対し、最少は鳥取の937組、次いで島根の949組、福井の1、119組であった。離婚率でみると、全国が1.73であるのに対し、離婚率の高い上位3府県は、沖縄(2.59)、宮崎(2.02)、大阪(1.99)で、下位4県は、富山(1.30)、新潟(1.31)、山形(1.37)、秋田(L38)、である。沖縄の離婚率は、富山のほぼ2倍である。

 世界の婚姻率と離婚率

  世界各国の婚姻率についてみると、イランが9.3で高く、ロシア(8.5)、アメリカ(6.8)、韓国(5.9)と続き、日本等その他諸国を上回る。

  一方、離婚率は、ロシアが4.5と際立って高く、アメリカ、チェコも2.5以上と高い。他方、メキシコは1.0と極めて低く、国民の90%がカトリック教徒という宗教的要因も影響しているようである。日本の離婚率(1.7)の婚姻率 (5.0)に対する割合34%に対して、スペインは60%を超える。他方、イランとメキシコは20%台と低く、宗教、文化等社会的要因との関連が大きいと推測される。

 離婚は同居後5年未満が最大、熟年離婚は横ばい

  夫婦の同居期間別に離婚の分布をみると、最も多いのが同居後5年未満の離婚で、1970年には51.8%と離婚の半分以上を占めていたが、2016年には34%に低下している。とくに、同居後1年未満の離婚は1970年には15%を占めたが、2016年には7%に半減している。1970年には、同居期間が長期化するにつれ離婚は減少していたが、2000年以降は、同居後20年以上の熟年離婚(50歳代以上の夫婦の離婚)が、10~15年未満や15~20年未満の離婚を上回るようになっている。2016年は同居後5年未満が最も多く(34%)、次いで5~10年未満(22%)、20年以上(19%)、10~15年未満(15%)、15~20年未満(11%)の順である。平均同居期間は、1970年に6.8年だったが、2000年には10.3年と10年を超え、2016年は11.3年と概ね伸びる傾向を示している。

住居

 持ち家率は62.3%

  2015年国勢調査によれば、一般世帯数5333万世帯のうち、住宅に住む一般世帯数は5246万世帯、住宅以外(寄宿舎・寮・病院・学校・旅館・会社・工場・事務所)に住む一般世帯数は87万世帯である。住宅に住む一般世帯数を住宅の所有関係別にみると、持ち家が3269万世帯(住宅に住む一般世帯数の62.3%)、次いで民営の借家が1511万世帯(同28.8%)、続いて、公営の借家(3.9%)、給与住宅(2.5%)、都市再生機構・公社の借家汪6%)、間借り(0.9%)の順である。1990年以降、民営の借家の割合は上昇したが、公営の借家や給与住宅の割合は低下している。持ち家の割合(持ち家率)は、90年の61.2%から低下、上昇を繰り返し、2015年には62.3%に上昇した。

 持ち家率は富山が最高、東京が最低

  2015年の住宅に住む一般世帯の持ち家率を都道府県別にみると、東京が47.7%と最も低く、続いて、沖縄、福岡、大阪、北海道などである。これに対して、富山が78.1%と最も高く、以下、秋田、福井、山形、新潟などが高い。持ち家率の最高と最低では30.4%ポイントの差があり、非大都市圏の県で持ち家率が高い傾向がみられる。

 1世帯当たり世帯人員は持ち家が最大

  住宅に住む一般世帯の1世帯当たり世帯人員は、2000年から15年の15年間に2.51人から2.35人に減少した。住宅の所有関係別にみても、すべての住宅において減少している。15年における住宅の所有関係別にみた世帯人員は、持ち家が2.70人と最も多く、民営の借家が1.69人と最も少ない。このような住宅の所有関係にみた世帯人員の差は、住宅の広さも関連しているとみられる。

 世帯の家族類型により住居

  2015年の住宅に住む一般世帯数を住宅の建て方別にみると、一戸建が2895万世帯(住宅に住む一般世帯数の55.2%)と最も多く、次いで共同住宅が2241万世帯(同42.7%)、長屋建が102万世帯(同1.9%)となっている。

  これを世帯の家族類型別にみると、単独世帯については、共同住宅が67.2%と最も高く、一戸建は30.1%である。これに対して、3世代世帯は、一戸建が93.1%と圧倒的に高い。核家族世帯の一戸建の割合は65.3%で、そのうち、夫婦のみの世帯の一戸建の割合が66.7%で最も高い。長屋建は、いずれの家族類型においても3%以下と低い。
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交換の原理を超えるもの--コミューン主義のゆくえ

『マルクス 資本論の哲学』より 交換と贈与--コミューン主義のゆくえ

『経済学・哲学草稿』の「私的所有」批判

 よく知られているとおり、これに対して、スミスをはじめとする古典派経済学の達成をわがものとしはじめたばかりのころ、若きマルクスは資本制と私的所有を超える次元にかんして、抽象的なしかたではありますけれども、それなりに魅力的なかたちで、哲学的にも興味ぶかい論点を織りまぜながら手稿を書きつづっていました。

 たとえばかつて『経済学・哲学草稿』「第三草稿」と呼ばれた手稿群があります。そのなかでマルクスは「私的所有」とは、人間がみずからに対して疎遠なかたちで対象的となった形態であり、私的所有を廃棄することは、人間的な本質とその生命とを感性的に獲得しなおすことであるけれども、そのさいの獲得はたんに「占有する」あるいは{所有する」というだけの意味でとらえられてはならない、といった趣旨のことがらを述べたあとに、つぎのように説いています。岩波文庫(城塚登・田中吉六訳)の訳文によりながら、すこしだけ字句をかえながら引用しておきます。

 人間はかれの全面的な本質を全面的なしかたで、したがって一箇の全体的人間として、じぶんのものとする。世界に対する人間的諸関係のどれもみな、すなわち見る、聞く、嗅ぐ、あじわう、感ずる、思考する、直観する、感受する、意欲する、活動する、愛すること、要するに人間の個性のすべての諸器官は、その形態のうえで直接に共同体的諸器官として存在する器官とおなじように、それらの対象的なかかわりにあっては、あるいは対象に対するそれらのかかわりにおいては、対象の獲得である。人間的な現実性の獲得、対象に対するそれらの諸器官のかかわりは、人間的現実性の確証なのである。すなわち、人間的な活動と人間的な受苦なのであって、それも、受苦とは人間的にとらえられるならば、人間の一箇の自己享受だからなのである。

 手にすること、ひとりのものとし、使用し、また濫用すること、すなわち私的に所有することだけが「じぶんのものとする」ことではない。世界を見、その音を聞き、感じ、しかも他者とともにそうすること、他者とともに世界にはたらきかけて、世界を受苦においても能動的にも享受することもまた、世界をともに持つこと、わかち合うことである、とする所論はたしかにある種の豊かなイメージを喚起するものでしょう。その豊かさをいま感じとることができないとすれば、それは--マルクスがつづけて書いているように--「私的所有が私たちをあまりに愚かにし、一面的にもしてしまった」からかもしれません。

問題の転換--「交換」概念の問題性

 若きマルクスのテクストは、一方でそのイメージの豊饒さでひとびとを引きつけ、他方ではその哲学的な魅力をつうじて、なお私たちに訴えかけるところがあります。それでもわたくしとしてはやはり、『経済学・哲学草稿』に代表される立論はのちにマルクス自身によって乗りこえられていったものと考えます。

 とはいえここで、いわゆる疎外論の自己批判といったことがらについて、あらためて確認したいわけではありません。本書でこれまで辿ってきた論点とのかかわりでいえば、問題はべつのところにあるのです。

 いわゆる『経済学・哲学草稿』「第三草稿」から、もうひとつ引用しておきましょう。以下に引く部分については、編集上の問題がありそうですけれども、そうした点については、いまは措いておきます。岩波文庫版の一八六頁以下のテクストを引照します。

 人間を人間として、また世界に対する人間の関係を人間的関係として前提してみよう。そうすると、きみは愛をただ愛とだけ、信頼をただ信頼とだけ、その他おなじように交換できるのだ。きみが芸術を楽しみたいと欲するならば、きみは芸術的教養を積んだ人間でなければならない。きみが他の人間に影響を行使したいと欲するなら、きみはじっさいに他の人間を励まし、前進させるような態度でかれらにはたらきかける人間でなければならない。人間に対する--また自然に対する--きみのいっさいのかかわりは、きみの現実的な、個性的な生命のある特定の発現であって、しかもきみの意志の対象に相応している発現でなければならない。もしもきみが相手の愛を生みださなければ、もしもきみが愛しつつある人間としての、きみの生命の発現をつうじて、じぶんを愛されている人間としないなら、そのとききみの愛は無力であり、ひとつの不幸である。

 引用文の末尾の、「そのとききみの愛は無力であり、ひとつの不幸である」という表現は、とりわけある種のひとびとに好まれ、「きみは愛をただ愛とだけ」交換できるという言いまわしとならんで、くりかえし言及されてきました。若きマルクスの思考のうちに、ひろい意味でのロマン主義のとおい残響を聴きとることができる、代表的なテクストだからでしょう。

 問題は、とはいえ、ほかでもない「交換」ということばにあります。『草稿』に代表される立場が、やがてマルクス本人によって否定される必要があったのは、この交換という発想自体に、乗りこえられるべき限界があったからではないでしょうか。

交換の原理を超えるもの--コミューン主義のゆくえ

 ことは、いわゆる第一段階と第二段階との原理的な相違を、どの水準で考えるかにかかわります。もういちど確認しておきましょう。第一段階では、さまざまな控除後に労働量に応じた配分を受けとるというかたちで平等な分配が構想されていました。マルクス自身が確認もしていたように、その段階を支配しているのは理想的な商品交換を規制するのとおなじ原理、交換の原理だったわけです。くわえてまた、その原理の背景にあるものはひとことでいえば、近代市民的な原則、権利の原則でした。その意味でコミューン主義の第一段階には、色こく資本制そのものの母斑がみとめられることになります。

 第一段階にあっても、とはいえ、交換の原理は部分的に超えられています。分配以前の控除を必要とする制約条件のうちに、労働能力の分布そのものの不平等が数えあげられていたからです。平等な権利なるものの前提には、権利の不平等がふくまれていることが指摘され、その点が第一段階から第二段階への移行を原理的な次元では促していたわけです。

 第二段階、「各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!」を掲げる局面にいたると、権利という発想そのものが乗りこえられなければなりません。なぜでしょうか。権利とはかならず排除をふくむ、力に対抗する力にはかならないからです。あるいは、特定の資格を承認された者たちに賦与される、一定ていど排他的な力こそが権利であるからです。ここでは平均以上の労働能力こそ、それに当たることになるでしょう。第二段階、このよhソ高次の局面では権利ではなく、必要もしくは欠落が原則となります。つまりフィクションとしての権利ではなく、ポテンシャルとしての力でもなく、現に存在し、避けがたく存在しつづける必要だけが分配の原則となる。とすれば、それはもはや正確な意味では、あるいは平等が問われるような分配ではありません。原理となるものもまた、交換ではありません。原理として前提されているのはむしろ贈与、他者との関係と他者の存在そのものを無条件的に肯定する贈与です。(ここでは十分には説明できないこの件については、別稿「〈権利〉と〈平等〉をめぐる断章」、野家啓一編『ヒトと人のあいだ』(ヒトの科学6)所収をご一覧ください)。

 あらためて考えなおしてみれば、「各人はその能力に応じて、各人にはその必要に応じて!」ほど、とりわけその後半の「各人にはその必要に応じて」という宣言ほど正しいこと、あえていえば正義にかなったことがらが、ほかに存在するでしょうか。なぜ正当なのか。その否定を考えてみればわかります。後半の準則を原理的に否認することは、一定の他者たちが欠落すら充たしえない状態を承認するはこびとなるからです。コミューン主義の目ざすところが、この正しさの総体的な実現にあるかぎりでは、その命脈が尽きはてたとは、とうてい考えることができないように思います。この正当性を思考の水準で裏うちしてゆくためには、交換を超える次元、つまり贈与の原理そのものをあらためて考えてゆく必要があるはずです。

 私たちの生そのものが贈与に支えられて可能となっている以上--自然それ自体からの無償の贈与、先行する世代からの無数の贈与、ともに生きている他者たちからの不断の贈与を受けとらずに紡がれてゆく生など、およそありうるでしょうか--、贈与の事実そのものについては、その存在を疑う余地がありません。贈与の原理はたほうまたその困難のゆえに--贈与が純粋な贈与であるかぎりヽその存在すら気づかれてはならないのかもしれません--、現在の思考の課題ともなっているところです。この間の消息をめぐりさらに思考をかさねてゆくことは、本書とはべつの課題をおのずとかたちづくることになるでしょう。
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