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三つ★ブラックエプロンを見に名古屋へ

.8「未来のカタチ」

 数学編の最後が「未来のカタチ」。存在の力、単なる配置ではない、色々な力を含めた力で新しい数学を元にした「未来」をどう作って行くのか。総合的なカタチを示す。

 他者の世界に私が残せるもの。関係ない世界だけど、これだけの環境を揃えてもらったことも一つの縁なんでしょう。残すものは残しましょう。気づいてもらいたいものです。数学編の最後の姿に。

三つ★ブラックエプロンを見に名古屋へ

 久しぶりに名古屋スタバへ。Iさんは忙しくしていた。寂しく帰ってきた。スタバの新しいプログラム(米国主導)って何かな?

 9時前に名古屋に着きました。12/26以来です。遠出です。いつも言っていた吉野家で「ご飯軽めの並卵」を食べてから、スタバへ出掛けた。Iさんが見当たらない。今日は居ると言っていたのに。レジに並んで、順番が来たところで姿を現した。

 レジの下にしゃがみ込んでいます。レジ係を通して、声を掛けました。「底に沈んでいました」「お待たせしました」「後でね」。完全に潮対応です。

 (エプロンの★)「三つ★をお見せしないと」「ピークが過ぎたら、お見せしようと」

 (今の状況は)「ポジションがちょっとずつ変わってきている」「レジは3つ使うのではなく、2つにしたりして、やり方を変えてきている」

 「アメリカから新しいモジュールの指示が降りてきて、人員配置が変わろうとしている」「スターバックスの様子も変わっていく」

 (シュルツもトランプに変わって、米国で苦労している)(グローバルとローカルが混ざり合うところに居るから大変だ)「混んできたので、戻ります」

 全然、河は合っていない。

数学的世界を描く

 存在の無、存在の力、未唯宇宙を全て動員して、数学的世界、端と核が同一になっている世界を描く。

循環がキー

 社会のキーは循環です。活性化を数学として見ます。経済は循環です。政治はハイアラキーです。ここを変えないと循環しない。下からのエネルギーが活性化しない。

 循環で思い出すのは、30年ぐらい前の感覚。自分の中のループと地球のループとがシンクロして、一つのループを構成した感覚。

OCR化した本の感想

 『逆風下の訪問・通所介護ビジネス』

  介護産業にICTの活用が必要であるが、増加する介護需要→採用難が続く介護人材→構造的に賃金を上げにくい介護産業という循環になり、人材的に使いこなせないということ。そのために、evernoteがあれば十分です。企業のエクセルと同様に、業務の条件にすればいい。すぐに慣れる。

 『女性に伝えたい未来が変わる働き方』

  家事・育児の無償労働の価値は年220万円というが、「家事」自体が非効率です。

  未唯宇宙からの提案として、シェア社会の第一の対象を家庭を考えたい。「家事・育児をコミュニティでシェアする社会」。詳細は未唯空間で展開する。

  ただ、「家事は愛情表現」というようなことはない。「家事」そのものをなくす社会が求められる。コックのように、得意な人がやることでシェアが成り立ち、非効率でなくなる。

  それが地域のコミュニティをベースにしたシェア社会です。シェア社会を先行しているのは「公共図書館」です。シェアを実現するのは企業ではなく、地域のコミュニティ。そこでの「知識と意識」の共同体が思いのシェア、知のシェアを生み出す。

 『環境デザインの授業』

  未唯空間でのキーワードの内、三つが当たっている。持続可能性(サファイア循環)、地域交通(新しいクルマ社会)、インフラストラクチャー(地域インフラ)。詳細は未唯空間で述べていく。

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持続可能性、クルマ社会、地域インフラ

『環境デザインの授業』より 人口縮減時代の豊かな低炭素社会をつくる ⇒ 未唯空間でのキーワードの内、三つが当たっている。持続可能性(サファイア循環)、地域交通(新しいクルマ社会)、インフラストラクチャー(地域インフラ)

持続可能性(サステナビリティ)

 持続可能性社会はもっともスケールの大きな概念である。

  ・地球温暖化をくいとめる低炭素社会

  ・資源枯渇から、地産地消、廃棄物も資源とする循環型社会

  ・バクテリアなど微生物の活動や新しい生物の誕生を保障する生物多様性社会

 これら3つの輪が、それぞれ健全に機能していることにより、はじめて持続可能性社会が成立するといわれる。

 気候変動に立ち向かう低炭素社会は、CO2などの温室効果ガスを削減して、2100年には2℃以下の温度上昇に抑えることが世界共通の目標となっている。

 先進国は2050年までに2010年頃の排出量より80%削減すべき(発展途上国も含めた世界全体では50%削減)というシナリオが最重要視されている。日本政府は具体的に2030年までに2013年度比で約26%の削減を目標としている。さらにその後2050年までに既築も含めたすべての建築を省エネ改修によってゼロカーボン化する計画だ。

 循環型社会は、都市としては、都市のすべてを資源として3R(リサイクル、リユース、リデュース)の方法で利用しつくすことを目標とし、最終的にはサーマルユース(熱供給利用)する。

 循環型社会を実現するには、建材などを再利用できるものにすることのほか、土や水、植物、空気といった自然素材による都市づくりを行うことが基本となる。

 生物多様性社会は、動植物の種類が多様であることに限らず、地球に育まれてきた生きものすべてにとってよりよい環境であることが保障される社会を意味している。

 人間がきれいな空気を呼吸するためには、光合成をする植物が必要だ。

 人間の体の中には、大腸菌などがいてくれないと、生きていけない。

 海や森の恵み、清浄な水、土の力、安定した気候、すべてが「生物多様性」の恩恵としてもたらされている。

 生命の多くは、人間の利害とは関係なく、この世界に生まれ、生存している。さらにこの生物多様性は、地球温暖化、循環型社会と絡んでおり、複雑な因果関係を示している。地球温暖化によって生態系の様相が変化し、温暖地域の細菌が北に移動し、新しい病気が流行することも予想されている。生態系の種は新陳代謝を繰り返し、かつ、新しい種も生み出すのだ。

 それらが保障される社会、それを持続可能性社会という。

地域交通の拡充

 住民の交通手段はどのような仕組みがよいか

 LRT(次世代路面電車)、コミュニティバス、福祉タクシーなど、地域の交通を考えるとき、道路そのものを考えることと同時に、交通方式、体制などを考えることが必要である。

 道路は人口縮減によって大きく変わる必要がある。車所有率が少なくなることが最近の統計で明らかになりつつあり、若者の車所有意欲の減退、カーシェアリングの普及などにより、将来の道路利用が少なくなることが予想される。

 そうすると、駅周辺の中心市街地には鉄道を利用する高齢者、若者が多く住み、車に依存しない、歩行者、自転車中心の町となるだろう。

 大きな道路は不要となり、ヒートアイアンドヘの対策も含めて緑や水の多い、自然型の都市空間が基本となる。

 一般道は利用車両の減少から、車線数は少なくてよくなり、その余地に自転車専用道や緑地の整備が可能となる。

 LRT新交通システムの整備は、かつての市電の復活にすぎない。軌道敷きの固定化による道路利用効率の悪さは否めず、むしろバス移動の仕組みについて再検討して、もっと充実させるべきだと大野秀敏氏は主張する。

 地方都市におけるバスシステムは、ほとんどが中心駅から放射状に往復している。しかし、駅は高校生の通学か通勤のための手段となっており、一般の市民の生活は市内を巡る形で成立している。

 自宅から、子どもの保育園、小学校、両親の福祉施設、生産のための農園や作用場、そして買い物のスーパーマーケット、文化的活動のための図書館、サークル活動の公民館、などへ行こうとしたとき、そのルートは必ずしも駅とはかかわらないネットワークである。実際の公共交通機関にこれらの具体的社会行動に沿ったサービスがないため、結果的に各家は3台もの自動車を保有せざるを得ないのだ。

 また、高齢者の事故が社会問題化しているが、独居老人が増えるにつれ、想定以上の課題が生まれてくるだろう。どのようにすればこのような状況に公共交通システムが対応できるのだろうか。

 大野秀敏氏の提案する、要所を回る8の字ルートやデマンドバス、エコマネーでコミュニティが高齢者を病院やスーパーに運んでくれる共助福祉支援の方法、地域商店街での宅配サービスや小さな交通など、なおいっそうこの方面の実践的研究を進めていく必要があるだろう。

インフラストラクチャー

 インフラの維持費用が削減される事態に備えよ

 都市のコンパクト化における基本的な課題は、削減される予算の振り分けに関して、市民のシビルミニマムの何を大事にし、何を削減してもよいかという問題である。

 日本の人口は2050年に約75%になると予測され、一人当たりのGDPが同じと想定すると、税金も予算も同じ比率になることが予想される。

 しかし高齢者率は50%になり、就業者数は40%になるので、年金や施設介護、訪問介護などの公的ケアの予算も少なくなり、十分な福祉、医療ができなくなることが予想される。

 減ってしまう自治体の予算を、どのように分けるのが適切な政策だろうか。

 人々の生活に結びっく医療費、福祉関連費用、教育の一人当たり経費は維持すべきと考え、すでにつくってしまった施設の維持費も守られなければならないとすれば、土木費が75%より少なくなることが考えられる。仮に土木費が75%になると想定して、既築の設備をどう維持するかは利害関係の発生する住民の間で議論しなければならない。

 万%の土木費の仕分けについては、いくつかの議論がありうる。橋やトンネルなどの地区外との連絡インフラはまず優先されるべきだ。

 地区内の道路舗装は、砂利道でも雨天時には多少水たまりができても我慢できる。あるいはコミュニティの人たちが自分で労働奉仕をして舗装をすることも可能だ。

 上水道も、生存のために井戸が利用できるところではサービス範囲を小さくしてもよいだろう。下水道はできるだけ小さい範囲の維持管理を公的に行い、その外側は個別の浄化槽などの設備で処理し、うわ水は蒸発か浸透する方法をとる。雨水は浸透を基本とするが、ゲリラ豪雨対策が問題だ。

 ゴミは各自でコンポストなどでたい肥化し、コミュニティごとに焼却炉を整備し、発電もするのがよいだろう。

 自分か住んでいる環境でどこまで維持管理費を少なくできるかを考えること。これがこれからの人口減少社会で市民相互に議論するべきことなのだ。

 また外国からの移住についても、「そんな生活と関係のない課題は、その時点で考えればよいことだ」と思っている人が一般的であるようだが、移住・移転の可能性についても、いまから市民の間で議論をはじめることが必要だと考えている。そして自然の里山で生活しつづけられることは保障したいと思う。
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思いのシェア、知のシェア

『女性に伝えたい未来が変わる働き方』より 変わる会社員 「シェア」が広げる可能性 ⇒ シェア社会を先行しているのは「公共図書館」。シェアを実現するのは企業ではなく、地域のコミュニティ。そこでの「知識と意識」の共同体。

いまや「シェア」は未来を示すキーワードの1つである。たとえば「シェアリングエコノミー」。米国シリコンバレーで生まれた言葉で、個人の持つ車や住まいといった遊休資産の貸し出しを仲介するサービスを指す。2008年に米国で始まった「エア・ビ・アンドビー」で、個人の住宅や物件を宿泊施設として登録して借りたい人とつなぐプラットフォームだ。2016年秋時点で190カ国で100万を超える宿が登録されているという。このほか、自家用車を使いタクシーのように配車サービスを行う「ウーバーテクノロジーズ」もまた急成長している。米国にやや遅れを取るものの、日本でもまたシェアビジネスが次々に立ち上がっている。

シェアエコノミーの拡大により、車や住宅など遊休資産を持つ人は、これにより副収入を得る可能性が高まるだろう。実際に米国のウーバーテクノロジーズの運転手は副業が多いといわれている。

これからの働き方、生き方を考える上でも、「シェア」は1つのキーワードとなる。その意味合いを、3つの視点で見ていきたい。

第一に、雇用が不安定化する中、「思いをシェア」する仲間をつくる重要性が増している。第二に「知のシェア」によりキャリアの可能性が膨らむ。第三に、広い意味での「ワークシェアリング」により働き方の選択肢を広げることである。

「思いのシェア」で安心できる仲間とつながる

 思いをシェアする、悩みをシェアする--。会社の外にそうした場があれば、職場で何があっても、大きな心の支えとなる。とりわけ、さまざまな壁を乗り越えないといけないヮーキングマザーにとっては、本音で話せる場を持つことは大切だ。

 NPO法人「マドレボニータ」とNECは、「母となって働く、働きたい」女性が語り合う「NECワーキングマザーサロン」を2009年から開いている。2016年度は全国で80回ほど開催し、約100人のボランティアスタッフが運営するという。

 2016年8月、神奈川県・武蔵小杉の公共施設にある和室で、ワーキングマザーら8人が集まり、サロンが開かれた。車座になって語り合ったテーマは「母となって働く」。保険会社に勤める女性は、育児休業から戻ったばかりで、仕事に育児に奔走して余裕がないと訴えた。出産を機に専業主婦となった女性は、生後半年の息子を膝にのせて参加。「また仕事をしたい。でも、どう動いたらいいのか分からなくて……」というや、はらはらと涙を流した。

 誰かが明快なアドバイスをするわけではない。しかし、自分の思いを言葉にすることで、自分自身の本当の気持ちに気づいていく。自分は、本当はどのように働きたいのか、どう生きたいのかという心の声が聞こえてくる。また、ほかの人の言葉を聞くうちに、視野が広がり気持ちが楽になる。そんな場を共有することで、サロンをきっかけに自然発生的にワーキングマザーのネットワークが生まれている。

 ワーママに限らず、非正規で働く女性の間からも、同じ立場で働く女性と語り合い、つながることで、エネルギーが生まれるという声が聞かれた。職場の同僚にはいえないことを、社外の仲間に本音で語れるといい。誰かに受け止めてもらえるだけで心が軽くなる。そうした場や人のことを、脳科学者の茂木健一郎氏は心の「安全基地」と呼ぶ。たとえストレスを抱え込んでも、心の安全基地があれば何とか乗り切れるという。

 多様な働き方が広がるものの、必ずしも職場の理解、が得られるとは限らない環境では、思いをシェアする、壁を乗り越えるコツをシェアする、そんな心の安全基地があるといい。雇用が不安定化する中、職場、家庭のほかにもう1つ、安心して本音を吐露できる場があるといいだろう。

「知のシェア」で可能性を拓く

 シェアエコノミーの中で活用できる資産は、車や家など有形のものに限らない。知識やスキルといった無形の資産もまた、「シェア」しようという動きが広がっている。こうした「知のシェア」の流れの中で、キャリアの可能性が広がることも期待できる。

 「スポットコンサルティング」を提供する「ビザスク」では、専門知識を持つひ録アドバイザー2万人と、新規事業立ち上げや海外進出にあたり、社内にはない知見を求める企業とをつなぐマッチングを行う。登録者も利用企業も急増しており、利用企業数は、2016年8月は前年同月比で8倍近くまで伸びたという。利用企業は、トョタ自動車といった大手から中小企業までさまざまだ。

 背景には、「オープンイノベーション」の広がりがある。企業は新規事業に乗り出そうとするとき、社内に専門家がいないことに頭を抱える。かつてならコンサルタント会社に多額のコンサル料を払って調査立案を依頼するか、社内で何とか企画するしかなかったが、新たにオープンイノベーションという道を見出したのだ。ビザスクのような「知のシェア」のプラットフォームが提供されたことで、企業は社内に専門家がいない分野では社外に広く知見を求めるようになった。

 こうした動きは登録する側の個人にとっても、チャンスといえる。登録者の7割ほどは会社員で35歳から45歳の人が多いという。個人が手にするコンサルティング料は、1時間5000~5万円で、平均すると1万5000円ほど。多い人だと月10万円超を手にするが、これで生活ができるわけではない。副収入を得たいという理由もあるだろうが、「自分の市場価値を知りたい」というニーズも強いという。

 フェイスブック上の広告で同社は「あなたの知見の価値を発見してみませんか」と呼び掛ける。登録者の中心である40歳前後といえば、大手銀行のセカンドキャリア研修が始まる頃だ。当の本人たちが「たそがれ研修」と自嘲気味にいうように、昇進組からはずれた社員たちに今後のキャリアを自ら考えるように促すのが目的だ。これから20~30年、これまでの知識、経験を生かしていかなるキャリアプランを描いたらいいか模索を始めた会社員にとっては、「知見の価値の発見」という言葉は心に響くものだろう。

 ビザスクの端羽英子社長は、米国での生活経験をもとに「日本人にもっとアピール上手になってもらいたい」という思いで事業を始めたという。とりわけ日本人女性は謙虚で、「私になんか語れることはありません」と引っ込みがちで、傍で見て歯がゆくなるほどだという。「知のシェア」をするにも、本人が「これができます」と手を挙げないことには始まらない。

 「知のシェア」は、いまや国境を越えている。2001年に始まった「イノセンティブ」というWebサイトは、企業や政府、非営利団体などの組織が課題解決策を広く世界に募るためのプラットフオーム。2016年の時点で課題解決者の登録者数は200カ国にわたり37万人を超えている。ビザスクのサービスの国際版といってもいい。

 2025年の未来の働き方を描いて話題を呼んだ『ワーク・シフト』の中で、著者のリンダ・グラットン氏は、このイノセンティブを使った、ある「コ・クリエーションの未来」を描いている。ブラジルのリオデジャネイロに住む都市交通システムの専門家ミゲルが、イノセンティブでインドのある地方都市が交通渋滞の解消のために公共交通機関の利用を増やす策を募集しているメッセージを見つけた。それを見たミゲルは、かつて留学していたコペンハーゲン大学時代の友人はじめ各国の知人らに連絡を取り、テレビ会議などで提案書を練り上げていく。2025年を待たずとも、すでにいまあるネット環境でこうした「知のシェア」は十分に可能だろう。

 「知のシェア」を上手く使えるか否かで、仕事のチャンス、また収入の格差はますます広がっていきそうだ。一方で、子育てや介護のためにフルタイム勤務できずに会社を去った人にとっては再チャレンジの手がかりとなるだろう。
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家事・育児の無償労働の価値は年220万円

『女性に伝えたい未来が変わる働き方』より 家事・育児を手放せない人、任せられる人 「家事は愛情表現」って本当ですか? ⇒ 未唯宇宙からの提案として、シェア社会の第一の対象を家庭を考えたい。「家事・育児をコミュニティでシェアする社会」

「2011年は過去最高の年間約135兆5000億円に上り、名目国内総生産(GDP)の約3割に相当する」

さて、内閣府から発表されたこの数字は何を指しているだろう。

年135兆円超という大仰な金額で示されたのは、家事や育児・介護といった無償労働を金額に換算した額である。内閣府が5年ごとに行う推計によるもので、2011年はその8割を女性が占めていたという。その内訳を見ると、炊事が最も多い。

これをI人あたりに換算した数字を見てみよう。共働きの女性(有業有配偶)の無償労働は年1540時間で、金銭価値に換算すると223・4万円。専業主婦(無業有配偶)の場合は、年2199時間で304・1万円。一方、働いている既婚男性の無償労働は、年250時間で51・7万円である。女性は仕事を持っていても金銭価値に換算すると男性の4倍以上の無償労働をしていることが分かる。

こうした試算に違和感を覚える人もいるだろう。そもそも、家事や育児を「労働」と呼ぶこと自体がおかしい、「愛情表現」であるから金額には換算できないという意見もある。それも一理ある。しかし試算をすることで、無償労働を「見える化」して、これまで評価すらされなかった家事・育児や介護に光をあてて価値を認めることができる。

無償労働の金銭価値をどう読むかについては、時代によっても変化がある。1997年に初めて発表された当時、経済企画庁(現・内閣府)の男性幹部が「専業主婦の無償労働がこんなに価値があるとの結果が出て、主婦の方々に喜んでもらえるでしょう」と記者発表で挨拶をしたと、和光大学教授で、ジャーナリストの竹信三恵子氏は、著書『家事労働ハラスメント』で紹介している。この折の調査結果は、1991年時点で女性の無償労働は男性の5倍であり、専業主婦の無償労働の金銭価値は276万円と算出された。同時に働く女性の平均市場賃金は235万円とされたことを受けて、経済企画庁は「専業主婦の働きは、働く女性の労働よりも価値が高い」と意義づけて、大手新聞各紙も見出しでそう謳ったという。

経済企画庁も大手新聞も「完璧なミスリードだ」とする竹信氏の見解にまったく同感である。無償労働の価値づけが専業主婦礼賛に帰着したことから、90年代後半、無償労働の女性への偏りを問題とする視点はなかったことが見て取れる。

それから時を経て、2011年の推計値が13年に発表された際には、さすがに安倍政権の女性活躍推進を意識してか、内閣府は次のようにコメントしたという。

「女性の社会進出が進み、家事や育児の一部を企業や保育所などに任せれば、産業が振興して経済成長につながる可能性がある」(2013年9月29日付『日経電子版』)

無償労働にこれだけの価値があるなら、家事・保育関連の産業振興の可能性があるというのだ。さらに数字から読み取るべきは、働く女性が職場での仕事に加えて家事・育児といった無償労働まで抱え込んでいるという問題であり、それを解決しない限り「仕事も子刻になっている。育ても」と旗を振られても「女性の社会進出」は進まないということだ。

20年以上も前に、落合恵美子氏は『21世紀家族へ』で、こう喝破している。

「労働力不足は会社だけにいえることではなく、家庭における労働、家事労働の労働力も不足している。いま最も深刻に労働力が不足している産業は何かといえば『家事産業』かもしれない」

さらにこう続ける。

「仕事で『過労死』という言葉があるが、人は家事労働でも死ぬ。80代の姑を介護していた60代の嫁が脳溢血で死ぬケースもよくある」というのだ。94年に出版された名著だが、日本で女性の社会進出が始まって10年も経たない頃から「家事労働」不足に警鐘を鳴らしていた。それから20年、家事労働の労働力不足はますます深ケア労働の社会化をどう進めるか

家事の担い手不足は本来なら家庭という私的領域の問題だが、「職住分離」したいま、職場が両立環境を整えなければ解決できない問題でもある。さらには、国の関与も必要である。職場や国にどんな取り組みが求められるのか。家事や育児・介護を家庭の外部に委ねるためには、どのような公的サービス、民間サービスが考えられるか。家事外部化、また両立支援につながる施策・サービスを図6にまとめてみた。

仕事と家庭の両立支援は、家事労働をする、家族をケアする権利を社会的に保障するための施策ともいえる。労働基準法、育児・介護休業法といった法制度が基盤となり、各企業は職場で育児や介護をしながらも仕事を続けることができる両立環境を整えたり、長時間労働の是正やフレキシブルワークの導入に取り組んだりする。

また、家事・育児・介護サービスには、公的なものと民間によるものに分かれる。公的なものでいえば、保育所や介護施設の整備、介護保険などがある。民間も保育・介護サービスのほか、公的サービスにはないベビーシッター、家事代行サービスを提供する。これらは、ケアを家庭の外に出すものとして「ケアの社会化」とも呼ばれる。

大阪市立大学名誉教授の竹中恵美子氏は著書『家事労働論』の中で、先進国で見られるケアの社会化には3つの方法があると指摘する。第一に家庭の内に閉じ込められていたケアを外部化して社会的サービス(公共的、共同的、企業化を含む)へ開放する。第二に仕事と同時にケアする権利を社会的に保障する。第三に妻あるいは配偶者の責任とされてきた無償労働を、社会的・経済的に評価して社会保障制度の中に組み入れるというものだ。 第一は、図6に示した「家事・育児・介護サービス」、第二は「仕事と家庭の両立支援」、第三は、その中の介護保険の制度などがあたるだろう。

こうしたケアの社会化は先進国で進んでいるが、どこを中心とするかは、各国によって異なる。北米は民間サービスが中心、北欧や一部大陸欧州では公的支援が充実、東アジアや南欧などでは移民をはじめ外国人家事労働者が主な担い手となっている。北米もまた家事労働の多くを移民が支えている。

どの施策を採っても、メリットとデメリットがある。民間サービスは社会保障費の膨張を避けられるが、所得格差により利用できる人とできない人に分かれる。質の担保も問題になる。一方、大半を公的サービスで賄うには社会保障費が膨らむため、国民の合意形成が必要になる。

では、日本はこれに分類するなら、どのタイプでケアの社会化を図っているのか。実はどれともいえない。待機児童問題で明らかなように公的サービスは不足しており、民間サービスヘの規制もある。外国人家事労働者の受け入れも本格的に門戸を開いていない。高齢化でケア労働の担い手が今後ますます不足すると見られる中、それをどう解決するか、方針も定まっていない。北米や北欧のいいところを取り入れて日本独自の方法を打ち出せばいいのだが、いずれも中途半端なままである。2016年に子どもを保育所に入れることができなかった母親が「保育所落ちた、日本死ね」とブログに書いて話題になり国会でも議論の俎上に上がったが、ケア労働の外部化をいかに進めるか、根本からの国民的議論が必要だ。
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介護産業にICTの活用が必要

『逆風下の訪問・通所介護ビジネス』より 介護現場におけるICTの利活用 増加する介護需要→採用難が続く介護人材→構造的に賃金を上げにくい介護産業

ICTの活用が必要

 収入が思うように増えないなかで、介護事業者が利益を確保しようとすれば、コストダウンや生産性の向上が欠かせない。そうすれば介護職員の賃金を引き上げる財源を確保することもできる。また、採用難が続くとすれば、業務を効率化して介護職員の負担をできるだけ小さくし、採用した人材の定着を図っていくことも欠かせない。もちろん、作業の効率にばかり注力して介護の品質が下がってしまったのでは、利用者離れを招いて経営が立ち行かなくなってしまう。効率化と品質の向上を同時に図っていく必要がある。

 こうした問題の解決に役立つのがコンピュータやインターネットといったICT(情報通信技術)の活用である。たとえば製造業では、生産性を向上させるためにさまざまな工作機械やロボットを導入したり、受発注作業や設計・エンジニアリング、在庫管理など多くの業務にコンピュータやインターネットを活用したりしている。

 介護業界でも、介護保険の請求は原則としてインターネット経由で行わなければならないので、パソコンをもっていない事業所は存在しないといってよい。しかし、介護の現場にいる人たちの多くが、介護業界ではICTの利用が遅れていると口をそろえる。

 たとえば、訪問介護やデイサービスを行う事業者は、ケアマネ(ケアマネジャー)と頻繁に連絡をとるが、その多くが電話とファクスで行われている。東京都大田区で訪問介護を営む㈱カラーズの田尻久美子社長は、2011年に起業する前はソフトウェアの会社で働いていたこともあって、最初は「ファクス文化に驚いた」という。毎月30~40人のケアマネとたくさんの書類をやりとりしなければならないが、電子メールを使おうとしてもファクスで送受信してくれという人ばかりだったのである。

 ケアマネなど外部とのやりとりに限らず、事業所内の連絡や引き継ぎを口頭や手書きの文書、付瀋やメモ用紙で行っている事業所も少なくない。これでは時間がかかるし、言い間違いや引き継ぎの漏れといったケアレスミスも起きやすい。

記録と伝達は介護の要

 介護業界でICTの利用が遅れている理由について介護事業者のコンサルティングを行っている㈱ビジテラス(東京都品川区)の本田新也社長は、「介護従事者は日々の業務に忙殺されていることとICTへの苦手意識から、一時的に業務量が増えるICTの導入を受け入れられない。また対人サービスである介護は、標準化やマニュアル化になじまないと拒否感を示す介護職員やヘルパーも多い」と言う。確かに、介護を受ける人たちの症状は多様であり、意思も感情もあるのだから、ものづくりのようにはいかないだろう。しかし、実は介護の仕事とICTは相性がよい。

 介護職員の仕事は、入浴や食事のケアをするだけではない。だれに、いつ、どのようなサービスを、どれだけ提供するのかを計画・実行し、その結果どうなったかを記録し、さらに結果を事業所内はもちろん、ケアマネなど他の事業所や利用者の家族にも伝達しなければならない。

 訪問介護を例にとると、ケアマネが利用者と面談し、作成したケアプランを訪問介護事業者に送付する。訪問介護事業者では、ケアプランをふまえてサービス提供責任者(サ責)が利用者と面談し、利用者の健康状態や生活状態、家族状況等を把握し、アセスメント(課題分析)を行う。このアセスメントに基づいて、サ責は訪問介護計画を作成する。

 次に、サ責は訪問スケジュールを組み、利用者ごとに介護指示書を作成して、担当するヘルパーに渡す。ヘルパーは仕事が終わると、訪問先でいつ、何をしたのか、どのような要望があったかなどをサービス実施記録票に記入する。サ責はこの記録票を支援経過表にまとめる。また、サ責は利用者の様子や介護の問題点等をまとめたモニタリング表と、提供したサービスを明記したサービス提供表を作成してケアマネに送付する。最後に、介護保険者(市町村)に介護給付費請求明細書・請求書を送る。なお、ケアマネからは給付管理票が保険者に送られ、事業者からの請求内容と一致しているか確認が行われる。

 このように介護事業では、何か仕事をするたびに書類の作成が求められる。書類は、利用者ごと、ケアマネごとに作成するので、記録と伝達にかかる時間と手間は、小規模な事業所であってもかなりの量になる。書類の作成に追われて残業が続いたり、肝心の介護に十分な時間を割けなかったりといった問題が起きることも少なくない。これらの問題を放置すれば職員の離職要因になる。

 この記録と伝達は、介護サービスそのものではないが介護の品質を左右する重要な要素である。たとえば、あるヘルパーが介護記録に「今日、掃除が終わった後、Aさんは笑顔を見せてくれた」と書いたとしよう。もし、Aさんがいつも笑顔を見せてくれる人なら、この記録には大して意味がない。だが、ふだんは笑わない人であるならば、ちょっとした事件である。なぜ笑ってくれたのかを探れば、次の介護でも生かせる。介護では利用者の変化に気づくことが重要であるが、血圧や体温などバイタルと同じで、ふだんから記録しておくことで、はじめて変化を察知できる。正確な記録があれば新人ヘルパーでも、利用者の変化に気づくことができる。

 また、訪問介護のヘルパーや非常勤の介護職員は勤務できる日にちや時間が決まっているから、一人の利川者を同じ職員がずっと担当するのは難しい。そのため、一般に介護は数人のチームによって行われる。

 仮に、あるヘルパーが利用者や家族から次はこうしてくれと頼まれたとする。そのヘルパーが次の担当者に引き継ぐのを忘れてしまえば、それは利用者や家族の満足度を下げることになる。苦情になったり、ときには他の事業者に変えられたりすることもある。利用者のクレームはケアマネにも伝わるから、ケアマネからの信頼も失い、利用者を紹介してくれなくなるかもしれない。

 このように記録と伝達という業務を効率化することは介護職員の負担を減らすだけではなく、介護の品質向上と利用者の確保に欠かせないのである。訪問介護や小規模多機能型居宅介護を営むだけではなく、介護人材の育成にも取り組む㈱ケアワーク弥生(東京都文京区)の飯塚裕久さんも、「これからの在宅介護サービスの質は、何かあったときのレスポンスの速さで決まる。個人のスキルより、ヘルパーからの発信の正確さが重要だ」と語る。記録と伝達を正確に、素早く行うにはICTの活用が最適である。
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豊田市図書館の19冊

209.71『夢遊病者たち 1』第一次世界大戦はいかにして始まったか

209.71『夢遊病者たち 2』第一次世界大戦はいかにして始まったか

366.38『女性に伝えたい 未来が変わる働き方』新しい生き方のヒントが見つかる。二極化時代の新提案

525.1『環境デザインの授業』環境に配慮した建築デザイン、街づくりの手法がマルわかり

527.5『なぜ、「子供部屋」をつくるのか』集中力/思考力は個室でこそ磨かれる

369.38『難民を知るための基礎知識』政治と人権の葛藤を超えて

304『問題は英国ではない、EUなのだ』21世紀の新・国家論

699.68『青年の主張』まなざしのメディア史

C21.3『カーシェアリングの時代がやってきた!』「タイムズカープラス」の魅力を徹底検証

024.06『ローカルブックストアである--福岡ブックスキューブリック』

940.26『教養としてのゲーテ入門』「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで

331『選択しないという選択』--ビッグデータで変わる「自由」のかたち

041『日本発の「世界」思想』哲学/公共/外交

234.07『<和解>のリアルポリティクス』ドイツ人とユダヤ人

302.1『JAPAN CLASS』毎度毎度ぶっ飛んでるな!

748『読売報道写真集2017』

210.02『日本年号史大事典』

010.8『情報サービス演習』地域社会と人びとを支援する公共サービスの実践

293.88『世界遺産の都へ「ラトビア」の魅力100』
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