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コミュニティワークの展開過程

『よくわかる社会福祉』より

1 実践の基本的な展開過程

 間接援助技術の1つであるコミュニティワークは、福祉サービスを必要とする人が地域で暮らしていくために、地域の社会資源を整備し、それらの資源の連携を図って、利用しやすくするように環境を整備する働きをもつ技術です。

 コミュニティワークの展開過程は、地域問題の発見を契機として、以下の段階で進行していきます。第1は準備段階です。これはアセスメントの段階であり、地域の問題、ニーズの発見が中心になります。第2は活動主体の組織化です。ここでは問題を解決するために地域住民や組織に働きかけて、活動の中心となる組織を形成します。第3は活動計画の策定です。これはプランニングに当たる過程で、活動目標を策定し、検討する過程です。第4は活動実施であり、計画を具体的に実施していきます。第5は評価の段階で、活動全般にわたって結果を検討します。

2 コミュニティワークの基本的方法

 展開過程に沿って実践を進行していくためには、各段階でさまざまな方法が用いられます。基本的方法として以下のものがあげられます。

  ①地域社会の診断方法(地域類型、歴史的背景などの特徴を把握)

  ②地域集団、組織の診断方法(住民による集団、組織についての現状を把握)

  ③ニーズ把握と分析方法(既存の資料、行政統計を利用したり、またさまざまな調査法を用いてニーズを把握)

  ④情報の収集,広報、動機づけ(社会資源についての情報を系統的に収集し、それらを地域の関係者に提供)

  ⑤「地域福祉活動計画」の策定方法(法律に基づく福祉計画、住民自身による福祉計画の策定)

  ⑥住民組織活動の支援方法(地域での住民組織、集団を支援し、また組織化づくりを援助)

  ⑦社会資源の開発、活用方法(問題解決に活用できるすべての資源を把握し、欠如する場合は新たな資源を開発)

  ⑧集団および組織・機関の連絡方法(地域の多様な組織の連絡調整方法を作る)

  ⑨記録と評価(活動記録を取ること、活動の評価を広く得る)

3 コミュニティワークの援助原則

 コミュニティワークを展開する場合に、援助者が基本的に心得るべき原則があります。ここでは代表的な3つの原則をあげます。

 第1は地域主体の原則です。コミュニティの問題を解決するのは、住民による組織、団体です。これらが主体となって、解決のためのさまざまな活動を行い、意思決定できるように導くことが大切です。

 第2は資源開発の原則です。コミュニティには次々と問題が生じます。これらに対して、ワーカーはコミュニティにある潜在的な資源を探し出すとともに、既存の資源の組み合わせを変えることで新しい資源を生み出すなど、常に資源の開発を心がける必要があります。

 第3は協働活動の原則です。こ1ミュニティの問題を解決するためには、さまざまな組織、機関などが1つの目標に向かって、役割分担をして協力していくことが必要です。コミュニティワークの過程は、協働的な関係で進められることが重要です。
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