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スマート・エコノミーの構築

『アイルランドを知るための70章』

「ギリシャを救うには、アイルランドも見本になるか」

アイルランド政府は、2008年12月、『アイルランドのスマート・エコノミーの構築--持続可能な経済再生のための枠組み』を発表した。経済再生に向けての中期的戦略文書だ。この文書では、財政の安定化、国内金融システムの健全化を図りつつ、バブル時代に下落した価格競争力を回復しながら、輸出主導型経済成長の強化を実現し、環境的にも持続可能な低炭素経済を達成する、といった経済再生のシナリオが描かれている。経済危機に対する短期的な対応策を提示する一方で、経済危機を克服した後を見据え、経済を長期的な成長軌道に乗せるための具体策を打ち出しているわけだ。そして、ここでカギとされているのが、イノベーションと企業活動の活性化である。

イノベーションは、政策分野としては、従来の科学技術政策、産業政策、教育・人材育成政策などを横断するもので、競争力の強化、新しい競争力の獲得をめざし、世界各国で熱心に取り組まれている。アイルランドでも、1990年代の終わり頃から力が注がれはじめ、その重要性は年々高まってきている。これは、政府の意向という面ももちろんあるが、2000年に欧州連合(EU)で採択されたリスボン戦略、2010年に発表されたヨーロッパ2020戦略(いずれも、EUの長期的な社会・経済開発戦略)が、EU内での研究開発への投資を、GDP(国内総生産)比で3パーセントにまで引き上げるというターゲットを定めており、これに引っ張られるという面もあるようだ。ちなみに、アイルランドの研究開発費対GDP比は、1.43パーセント(2008年、EU統計局による暫定値)となっている。

アイルランドの公共政策のなかでイノベーションの重要性が高まっている他の理由としては、外資系企業の誘致問題がある。雇用、輸出などの面からみて、外資系企業の存在がアイルランド経済にとって非常に重要であることはいうまでもない。しかし、海外直接投資の誘致合戦がグローバルレベルで強まるなか、アイルランドは、コスト面で、中国、インドなどの新興経済国に勝てなくなってきた。2009年1月に、IT系のデルが、リムリックのコンピュータ組立て工場(雇用者数1900人)を閉鎖し、生産ラインを低コスト国のポーランドに移したことは、記憶に新しい。最近では、IBMが、ダブリンのサーバー生産工場(雇用者数190名)を2011年3月までに閉鎖し、中国へ移転すると発表した。

イノベーション・ファンド・アイルランドの設立は、イスラエルで1993年に導入されたVC企業支援策「ヨズマ・プログラム」がモデルになっている。人口750万人弱のイスラエルは、アイルランドと同様、小国でありながらも世界屈指のハイテク産業立国恰、世界的にも有名なベンチャー企業を数多く生み出している。これを可能にしているのが、国内での高い技術力、高水準の研究開発、旺盛な起業家精神、そしてVC市場の存在といわれている。イスラエルのVC市場は、ヨズマ・プログラムの実施とともに本格的に確立され、以来、ベンチャー・ビジネスヘの投資を通して、同国の技術革新を牽引している。

イノベーション・ファンド・アイルランドヘの出資は、政府、アイルランドの公的年金基金、民間VCの三者が行う。これに付随して、国際的に活躍する外資系VC企業をアイルランドに誘致する計画も、スマート・エコノミー構想には組み込まれている。2010年10月には、民間VC企業の参加第1号が発表された。ヨズマ・プログラム同様、これを機に、国内でのVC市場拡大に弾みをつけたいところだ。

次に、産業別にスマート・エコノミー構想をみると、従来の産業政策でターゲットとされてきたバイオ・テクノロジー、医薬品、情報通信技術などに加え、グリーン・テクノロジー(環境関連技術)分野が強調されていることが目につく。グリーン・テクノロジーは、数年前から、アイルランドの科学・技術・イノベーション政策のなかに組み込まれてきた分野ではあるが、今回の経済再生戦略で、強調が一段と強まった印象だ。

グリーン・テクノロジー産業が重視される背景には、この分野自体がこれからの成長分野であること、温室効果ガス排出削減に対する国際的コミットメントからの必要性という面もあるが、于不ルギー供給の90パーセントが、化石燃料の輸入によりまかなわれているという国内事情もある。既存の子不ルギー使用・供給システムを効率化するとともに、風力発電、海洋子不ルギーなど、再生可能エネルギーの開発が必要となっており、この分野を産業として発展させていきたいという意向があるのだ。先にふれた従来のターゲット産業は、海外直接投資の誘致、高等教育機関での教育プログラムなどを、これらターゲット産業を中心にデザイン、実施することで、振興が図られてきた。グリーン・テクノロジー産業も、この成功体験に基づき、同様のアプローチにより発展がめざされるとのことだ。
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地域からのエ⊃ツーリズム

『地域資源を守っていかすエコツーリズム』より

「田舎をエコツーリズムにしていきたい」

エコツーリズムという地域の自然環境を利用した観光だけが,こうした資源戦略に秀逸な選択肢であるということではない。エコツーリズムのもつ基本的なしくみが,地域社会の再生にとって大きな意味をもつということが本書の主張である。

地域は,地域だけで独立して存在できるのはなく,グローバリゼーションのなかで,また地域間の社会経済的な相互依存のなかで存在している。そのため,地域資源は地域内循環だけで維持できるわけではなく,めまぐるしい人びとの移動や変化のなかで,常に外部との「交換」によって維持されている。このことを本書の主張に従って考えてみれば,地域内の多くのことが地域外との良好な関係のなかで維持されていることに気付く。地域資源や生み出したサービスを地域外に提供し,そこから得られたものを再び地域資源に投資する循環のなかで地域は維持できているのだ。それがまさにエコツーリズムである。

このようなエコツーリズムと同じ地域外との「交換」のしくみが,実は地域には多く存在する。それは地場野菜と呼ばれる農作物を例に考えれば明快にわかる。地域が誇りをもって生産した地場野菜は,一見地域だけで維持可能であるように思えるが,地域内の消費者ですべて消費できるわけではなく,地域外の消費者とのやりとりや交換が常に必要になる。

そして,地域のあらゆる資源が地域にとっての戦略対象となり,地域社会や自然環境を維持しながら,地域外との関係も持続させるという「持続可能な地域資源戦略」が必要とされている。エコツーリズムがもつ可能性はそこにある。そのためエコツーリズムのもつ基本的なしくみ,地域資源の価値を高めながら有効に活用して,地域内外の関係者の利益を実現することは,地域の限られた資源を維持していくための基本戦略にもなりうる。

グローバリゼーションのなかにあっても,地域文化や民俗などの地域独自のものが世界の多くの地域で関心を集めてきたことは,地域主導でありたいという地域の思いの表れであった。しかし,その主張が優れた手法と経済的なしくみをもって実現できたことは少なかった。それに対して,「開かれた地域主導」によって地域資源の保全と活用,そして地域経済や社会の充実をめざすエコツーリズムは,優れた選択肢であろう。

その実現のためには,本書でくり返し重要性を指摘してきた地域内外を結びつけ,関係を豊かにするしくみである「中間システム」が大きな意味をもつ。地域外との互恵的関係が,自らの地域の持続可能性を決めていくからだ。つまり地域の資源戦略とは地域外との関係の持ち方である。その点で,消費地からではなく,あくまで資源をもつ側である地域が主体的に地域外との互恵的な関係を構築する,つまり「地域からのエコツーリズム」を実現することが,地域の関係者にとっても,地域外の関係者にとっても,ともに重要なのである。
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県に何をしてもらうか

市民への情報

 市民側が本気で考えられるものを専門家は渡しているかどうか。マスメディアとか企業の利益のために話されているものが世論ではない。

 「エコ生活しています」パナソニックのCMです。これは余分なことです。そのための情報を市民に渡しているかです。

2030年の姿

 全ての電気自動車と太陽熱発電になったとしても、それが我々の未来の姿ですか。2030年の姿を描けというのであれば、その部分です。いちばん簡単なシナリオはそこです。言う通りに動けばいい。それが我々の望む姿なのか

 販売店にとって、理想の姿はなんなのか。当然、色々な変化が来ます。自分たちだけではどうにもならない。社会的な変化、歴史的な変化に対して、そういう類に対して、自分たちが何を確保しておけばいいのか。それを示すのが提案です。

県に何をやってもらうのか

 別に県が何をやってくれということではない。彼らがやれるのは支援することだけです。支援する対象をどう作るのかというものを作っていくことです。折角、環境問題があり、クライシスがあるのに、それを活かさなければ、滅亡です。

 日本人はイザという時に動けるというけど、過去の歴史で何があったのか。さほどないです。なんか、流されてきただけです。日露戦争の時のラジオでの世論に流されて、政治を誤ってきた。確固たるモノはありません。イザとなった時ほど、動けないものです。戦いに行って、死ぬだけです。その結果、どうなるかは、当人には関係ないです。

市民主体の民主主義

 社会編で分かってきたのは、変えることです。新しい民主主義、市民主体の民主主義にゆっくり、変えることです。準備が揃った所から変えていけばいい。市民主体というのは、今までのような売ることという単位ではすまなくなってきた。

コミュニティという単位

 かと言って、使うといっても、個人単位では、どのように使っているか見えてこない状況が分からない。企業も行政もうごけない。だから、市民との間に一つの単位を作ります。それはバーチャルでお金は掛けない。

 コンパクトシティのように、物理的に動かすのではない。バーチャルの限界になった時に、物理的に動かします。そんな社会です。それが2030年の姿でしょう。

 その単位がコミュニティです。それを循環させるのがサファイア循環です。それらのツールは揃っています。

奥さんは無事に帰国

 奥さんは無事に帰ってきた。空港でケータイが使えるのであれば、連絡してくるでしょう。何の連絡もありませんでした。

 何もなかったから、メールしたら、「疲れた!」と返ってきました。ニューアーク(小さな空港)⇒アンカレッジ⇒台北⇒中部では疲れるよね。ニューヨークで国連総会があったから、テロに巻き込まれるかと心配していた。

 「ボストン」「カナダ」のスタバのマグカップとハーバード色のノートが土産でした。これで十分です。
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