goo

トルコと対イラン関係と対イスラエル関係

『21世紀のドイツ』より

対イラン関係

 トルコのイランとの緊密な関係は、トルコに対する西洋諸国の批判にもかかわらず、今後も存続するだろうと考えられる。なぜならエルドアン首相はプラグマティストであると同時に、イランは重要なビジネス・パートナーだからである。さらにトルコは、イランをめぐる国際関係において、調停役以上の働きを果たそうとしている。

 特にイランの原子力計画問題においては、トルコは極めて中心的な役割を担っている。イランは現在トルコの調停役としての役割に満足しているようだが、彼らにとって核開発計画は「国家的名誉」である。それゆえ、彼らは現在の姿勢を今後も維持するだろうが、トルコはこれを世界が求める「友好的な核計画」に変化させるよう、イランを説得するべく大きな支援を行うことができる。このような点でイランも支援を必要としていることは、イランの見解からも明らかである。 トルコにとっても、ヨーロッパにとっても、そして西洋全般にとっても、イランの核問題は重要なイシューである。この問題についてトルコにさらにどのようなことが可能なのか、注視する必要があるだろう。

 トルコはイランと1639年以降国境の変動がなく、また近年は経済関係もより発展しつつあるため、調停役としては期待できる存在である。現在、イランはロシアに次いで、トルコにとって2番目の天然ガス供給国となっており、輸出入総額も約200億ドルまで増大している。そして、イランヘのエルドアン首相の2009年10月末の訪問と、続くダヴトオウル外相の11月半ばの訪問は、期待されていたイランヘの政治的・経済的支援を果たすのに役立った。

 イラン訪問の際、エルドアン首相はアフマディネジャド大統領と面会したが、そこで両者がビジネスをドルやユーロ、ポンドではなくトルコ・リラとイラン・リヤルで行うことで合意したことは、非常に興味深い。結果的にこういった試みが何かしらの意義をもつことになるのか判断は難しいが、このような取組みがあること自体が興味深いと言えよう。たとえば、現在約60ケ国で構成されるイスラーム諸国会議機構(Organization of the Islamic Confer-ence、01C)で、もし将来的にこれらの国々がひとつの通貨で理解し合えるようになるとすれば、世界の商業取引はまた違った様相を呈するかもしれない。

 また近年、イランは中東地域(特にイラク)において政治的影響力を増している。この点においては、イランはトルコにとってライバルであると言えよう。イランは地域大国であり、トルコと相容れない多くの利益をもっている。トルコは数年来イランにビザ取得義務を課していないが、最近、アルバニアやリビア、ヨルダン、シリアなどの国々がトルコ人に対するビザ取得の義務を廃止した。多くのヨーロッパ諸国ではビザ取得義務が残っていることと比較すると、これは非常に興味深い事実である。そこには当然、トルコはどちらの側に属すのか、という問いが現れる。つまり、トルコは西洋から離れてしまう可能性がある、という議論が生じるのである。

 イラン人も、トルコ人と並ぶプラグマティストである。イランは、石油・天然ガスを産出することもあり、戦略を第一に考える国である。また紅海にも面しており、トルコよりはるかに地政学的に有利な位置にある。しかし、トルコはEUと加盟交渉を行っており、民主主義に則した国家運営を行っている。その点において、多くのイスラーム諸国から見て、モデルとしてはイランよりも優れていると言えよう。

 トルコとイランはこの地域における競争相手である。しかしまた同時に、イランがトルコを利用しようとしていることにも、注意が必要であろう。

対イスラエル関係

 イスラーム諸国との関係がこのように肯定的に変化する一方で、トルコ・イスラエル関係は今や構造的危機にある。この危機的状況は、トルコでAKPが政権の座に就いている限り、時間が経つにつれ悪化すると考えられる。卜ルコは、イスラエル・シリア問における中立的仲裁役以上の役割を果たすことはできないだろうし、トルコにとって、そのような役割はもはや必要ではなくなっている。そして、エルドアン首相がイスラーム世界に敬意を表しているという点も重要である。

 しかし、トルコが「非友好国」としてイスラエルを見ているのかどうか、という点は非常に疑問である。イスラエルは米国の戦略的パートナーであり、またEUの、とりわけドイツの政治的パートナーであることも、看過することはできない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

イランとイスラエルの対抗勢力になるのは、トルコ

『激動予測』より

 イランに対抗する力をもち、長期的に地域大国になりうる国は、トルコをおいてほかにない。そしてトルコはアメリカがどのような行動をとろうと、今後一〇年以内にこの地位を手に入れるはずだ。トルコは現在、経済規模では世界第一七位に相当する、中東最大の経済大国である。その軍隊は地域最強を誇り、ロシアと、おそらくイギリスを除けば、ヨーロッパ最強と思われる。イスラム国の例に漏れず、現在国内は世俗勢力とイスラム原理主義勢力に分裂している。とはいえこの争いは、イスラム世界の他地域で起きているできごとに比べれば、ずっと節度がある。

 アラビア半島をイランが支配することを、トルコは望まない。なぜならトルコ自身、ロシアヘの石油依存を軽減する手段として、半島の石油に食指を動かしているからだ。それにトルコは、イランが自らよりも強力になることを望まない。また、イランのクルド人はそれほど多くないが、トルコは南東部に多数のクルド人人口を抱え、イランにこの勢力を利用されるおそれがある。これまで地域や世界のさまざまな大国が、クルド人勢力を支援して、イラクやトルコ、イランに圧力や混乱を与えようとしてきた。これはお決まりの手口であり、トルコはいつの時代もこの弱みに苦しめられてきた。

 次のI〇年に、イランはトルコに対処するため、莫大な資源をふり向けなくてはならなくなる。他方アラブ世界は、シーア派のイランヘの対抗勢力を探すことになる。アラブ世界には、オスマン帝国時代のトルコ勢力に支配された苦い歴史があるものの、スンニ派のトルコが、最善の候補となる。

 次のI〇年のアメリカの課題は、トルコがアメリカの利益に敵対しないように、またイランとトルコが同盟を組んでアラブ世界を支配、分割しないように、万全を期すことだ。トルコとイランがアメリカを恐れれば恐れるほど、この可能性が高まる。イランは、アメリカとの和解によって短期的には軟化するが、これが便宜上の同盟であって、長期にわたる友好関係でないことは、百も承知だ。アメリカとより長期的に手を結ぶ用意があるのは、トルコだ。トルコはアメリカにとって、ほかの場所でも利用価値が高い。たとえばバルカン半島やコーカサスなどで、ロシアの野望を食い止める役割を果たしてくれる。

 アメリカがイランとの合意の基本条件を守るかぎり、イランはトルコの脅威であり続ける。卜ルコは何をたくらもうと、自らを防衛する必要があり、そのためにはアラビア半島のイランの勢力と、半島北部のイラク、シリア、レバノンなどのアラブ諸国の勢力を削がなくてはならない。これにはイランを抑えるだけでなく、南方の石油に手を伸ばすという狙いもある。トルコはアラビア半島の石油を必要としており、これを利用して利益を得たいと考えている。

 トルコとイランが次のI〇年にしのぎを削るなか、イスラエルとパキスタンは、地域のパワーづフンスに懸念を抱くようになる。やがてトルコは、イランには抑えきれなくなる。経済成長著しいトルコは、イランより先進的な軍隊を維持することができる。より重要な点として、イランが地理的に限られた範囲にしか勢力を拡大できないのに対し、トルコはコーカサス、バルカン半島、中央アジア、そしてゆくゆくは地中海と北アフリカにまで勢力を伸ばすことができる。つまりイランには手の届かない機会や同盟国が、トルコには開かれているのだ。イランは古代の昔から強力な海軍国だったことはないし、港の立地を考えれば、今後もそうなることはない。それにひきかえトルコは、これまでたびたび地中海の支配を握っており、いつか再び支配するだろう。トルコは今後一〇年以内に、この地域で隆盛し始める。トルコが主役の∵人でない二I世紀など考えられないが、次のI〇年はその布石だということを忘れないでほしい。トルコは国内紛争にけりをつけ、経済を一層発展させなくてはならない。またトルコは引き続き慎重な外交政策をとるだろう。紛争に身を投じることはなく、したがって地域に影響をおよぼしはしても、地域を定義することはない。アメリカは長期的視野に立ち、トルコの発展を阻害するような圧力をかけるべきでない。

 中東の複雑な問題への解決策として、アメリカ大統領はイランとの一時的な和解を選択しなくてはならない。このような和解を通じて、イランは求めるものを手に入れ、アメリカは撤退する余裕ができる。それにこの和解は、スンニ派原理主義勢力への敵意を共有する関係の土台にもなる。いいかえれば、アラビア半島をイランの勢力圏に入れる一方で、イランの直接的な支配を抑え、またとくにサウジアラビアをはじめとするその他の諸国を、きわめて不利な立場に置くのだ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

エジプトの政治変動と革命防衛隊

『イラン革命防衛隊』より

 エジプトで民主化要求運動が起きると、革命防衛隊出身のアリー・ラリジャニ国会議長は、中東イスラム諸国の政府関係者としては初めてチュニジアとエジプトの民主化要求運動を支持するという発言を行った。ラリジャニ国会議長によれば、これらの国の運動が独裁的な政府に驚きを与えるとともに、国境を越えてこの潮流が広がっていく可能性があるという。

 さらに革命防衛隊最高司令官であるホセイン・サラーミミー元帥は、「エジプトはアラブ世界の中心にあり、エジプトにおける政変と政治・社会革命は他の多くのイスラム諸国に広がっていく可能性がある。エジプトはイスラエルの裏庭となり、アメリカのアフリカ政策に戦略的に加担してきたが、イラン革命のイデオロギーとエジプトの民主化運動には近似性がある」と述べた。

 また、テヘランの金曜礼拝の指導者であるアーヤットラー・アフマド・ハタミはエジプトの政変が宗教と民主主義に基づく「イスラム的中東」の誕生をもたらすものであるという考えを示した。イラン外務省は、エジプトのムスリムの運動は正義を実現しようとするものであり、エジプト国民はムバラク政権にムスリムの要求を受け入れ、「イスラムの覚醒を促すべきだ」という声明を発表した。

 中東においてイランの政治的ライバルであったエジプトの動揺はイランの影響力を増すことになり、すでにイラクやレバノンのヒズボラと強い結びつきのある革命防衛隊の活動をいっそう活発にする可能性がある。

 ムバラク時代の一九九〇年代、エジプトでは政府と過激派の暴力の応酬が行われた。その混乱の中で、一〇〇〇以上の人命が失われた。政府は過激派への抑圧を強め、二万余りのイスラム主義者を理由もなく拘留し、また拷問も繰り返した。軍事法廷がつくられ、出版の自由が制限され、モスクを統制する法律も制定された。さらに、職業組合からイスラム主義者が選挙に立候補することも制限された。

 ムバラク政権は、過激派や野党勢力を抑圧することを狙い、暴力的な組織を取り締まること以外に、大学や労働組合、また職業組合に影響力のあるムスリム同胞団の弱体化も図るようになった。二〇〇七年の憲法改正によって、宗教に基づく政党の活動が禁止され、ムスリム同胞団の活動は事実上非合法化された。

 こうしたムバラク政権の方針が功を奏したともいえ、エジプトでのイスラム急進派の活動は明らかに弱まった。急進派が弱体化したと判断すると、ムバラク政権はイスラム組織に属し、拘留されていた人々を数千人釈放した。政府の抑圧もあって、エジプト国内においてイスラム急進派の活動は急速に衰退したが、しかしその中には国内の活動を諦めて、アフガニスタンなどに「ジハード」の舞台を求めていった人々もいた。故オサマ・ビンラディン容疑者の片腕と見られるエジプト人のアイマン・ザワヒリもその一人である。ザワヒリなど外国で活動するエジプトのイスラム急進派は、エジプト政府との「停戦」を拒絶し、世界的なジハードを視野に入れるようになっていく。

 国内においてイスラム過激派の活動をうまく抑制したムバラク政権であるが、失業などの社会問題を改善することができず、また政治的自由も国民から剥奪したままだった。正義や平等に訴えるイスラム主義の運動が人々の間で求心力をもったとしても不思議ではない状況にある。

 二〇〇八年に始まる世界同時不況はエジプトをも経済的重圧の下に置いた。失業者は増加し、世界的な食料価格の高騰は貧困層を直撃した。政府は財政健全化のために補助金を減らしたが、そのこともまた物価の高騰を招き、市民生活への打撃となった。財政緊縮のために、政府は教育予算も削減したが、その結果、私立学校に子弟を送れない中間層や中下層の青少年の教育の質は低下していった。また教師の賃金も安いために、学校が始まる前に授業を行い、生徒たちから謝金を受け取る教師も現れた。こうした中で、イスラム主義組織のムスリム同胞団は十分な教育を受けられない階層に対して無償で教育を施した。この弱者を救済する姿勢もまたイスラムの原理の具現化であり、人々のこころを引きつけることになったのはいうまでもない。

 エジプトでは貧富の格差も明らかな形で広がり、豪邸に住み、砂漠に隣接する、芝生が贅沢に整備されたゴルフ場に出かける富裕な人々がいる一方で、カイロでは五〇万の人々が「死の街」と呼ばれる墓地に隣接するスラム街に住んでいる。エジプト全土では一〇〇〇万余りの人々が貧困ラインより下の生活を余儀なくされ、彼らの識字率は低く、幼児死亡率は高い。清潔な水道水を利用することもできずに疾病が広がり、栄養状態は極端に悪い。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

木曜日の岡崎図書館は新刊書が少ない

未唯へ

 ポケットがない服の時はネックにしておきます。ダニーデン大学のネックにする気にはなれない。3.11だけ、下げていた。クライストチャーチの地震の影響で、ツアーから外れて、行った街です。

 日曜日に比べると、豊田市→岡崎の道が混んでいる。豊田市の駐車場も「満車」です。日曜日と大違いです。

お客様状況把握

 売ることだけを考えていては、お客様状況は把握できない。

 300人のお客様に限定した、お客様状況を掴んで行動するやり方はできるはずです。ライブラリが生きてきます。

 情報交換会のような、お遊戯をしていてはダメです。そんな時間は与えられていない。早急に体制が必要です。

老人ホームの母

 老人ホームに持っていくお菓子をセブン-イレブンで買ったけど、あまり、ピッとしない。車を運転しながら、食べ始めたら、なくなりそうです。

 老人ホームの母親は相変わらず、異なる方向を見ています。持っていったお菓子も一つしか食べていない。残りのベビーシューを置いておきました。

岡崎図書館の駐車場時間

 岡崎図書館に9時に行って、8冊、借りてきた。オーガニックの店待ちで二冊読んでしまった。家に帰るまでの小田実以外は終わってしまった。今回は不作ですね。従来の日曜日に比べると、本が少ない。特に7月分がないですね。その7月分をほとんど借りてしまった。

 岡崎図書館の駐車場時間を3時間から2時間に変えるみたいです。理由は公共交通期間の活用ということ。決めた人は本の重さを知らない人です。ここへ来て、ほっとするだけでもいいじゃないですか。折角、図書館友の会があるのに機能していない。イベントを代行するだけでは意味がない。2時間と3時間は大違いです。図書館をベースにして、3時間でいいです。岡崎は滞在型図書館を狙わないといけない。

岡崎図書館で借りてきた8冊。めぼしいものはない。明日の豊田市図書館に期待しましょう。

 375.8『新しいみんなの公民』こんな教科書で学びたい 平成24年度使用開始教科書の市販本

 302.3『生者の国』デンマークに学ぶ全員参加の社会 フォルケホイスコーレに関することもまとまっていない。

 024.1『再販/グーグル問題と流対協』出版人に聞く  出版人の書く本は、自己満足が多い。業界だけで騒いでいるだけ。だから、本がすたるのです。

 312.3『21世紀のドイツ』政治・経済・社会からみた過去・現在・未来  なぜか、トルコと近隣社会の関係をOCR化。ドイツの未来は書かれていなかった。

 331『なぜ政府は信頼できないのか』寓話で学ぶ経済の仕組み 米国経済が頭からつんのめり。

 674『デジタルサイネージ入門』世界の先進事例に学ぶビジネス成功の条件 単なる業界の説明の割に三千円もしている。

 918.6『「共生」への原理』

 210.6『日露戦争の裏側〝第二の開国〟』日本列島に上陸したロシア軍捕虜七万人
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )