tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

愛は奇跡(3)

2007-01-28 18:46:40 | 日記
ピピンがオードリーと出遭ったのは、1996年2月25日。当時34歳の彼が水深130mに挑戦するため、メキシコのサンルカス岬に行ったときのことである。彼はそこで、仕事を手広く広げようとしていた。彼は、イベントを牛耳るテレビ局のオーナーで、かつ、メキシコのマスメディアの権力者のEmilio Azcarragaから12万ドルのスポンサー資金を得ていた。当時、フリー・ダイビングはヨーロッパ以外ではあまり盛んではなかった。彼はそこで世界記録を打ち立てることによって、このスポーツを広げようとしていたのだ。
ある晩、マリーナのそばにある顔見知りばかりが集まるMargaritavillaと言うバーに、彼のクルーとともにやってきた。そこに見知らぬ魅力的な女性がいた。彼が話しかけたとき、彼女は完璧なスペイン語で答えた。
<名前はオードリーよ。いくつか、あなたに聞きたいことがあるんだけど・・・>
彼女はきれいな茶色の瞳で覗き込んだ。
<もちろん、いいよ。きみはレポーター?>
<いいえ、La Pazにある大学の学生よ。>
当時、彼女は21歳、メキシコの南バハカリフォルニア自治大学で海洋生物学を学ぶ学生だった。雑誌などでピピンの記事を読み、深海で水圧に対応する方法や、血液の移動(ブラッド・シフト)に興味を持ったのだった。オードリーは、彼女のバッグからペンとメモ用紙を取り出すと、潜水中のフリー・ダイバーに起こる身体的な変化についていくつかの質問を彼にした。肺がつぶれるほど水圧が高く、だから肺を守るため、手足などの血液が脳や体の中心などの重要な部位に移動する。肺自体はオレンジのサイズまで圧縮され、血液で満たされる。心臓は胸腔の片隅に強く押し付けられる。実際、どんな風に体がなっているとピピンは考えるのだろうかと。
彼女は、非常に良く勉強していた。そして、彼は、彼女のすべてを知りたくなった。その夜、彼らは恋に落ちた。ピピンはその著書の中で、自分自身を歯並びが悪く、頭を剃ったおしゃべりなマッチョのキューバ人、オードリーを心豊かでプラチナの髪の美しい女神と表している。
二人は出会ってから、たった 4日でオードリーの両親に結婚の許可をもらいに行く。が、しかし、彼女の両親の許しがとれない。その年の3月10日、ピピンは130mの記録を達成。そして、彼は、オードリーとマイアミで生活を始める。
2年後の1998年、カリブ海アルバ島で155mの記録を達成。そして、1999年8月、オードリーの両親の反対を押し切ってピピンはオードリーと結婚。2000年、162mの世界記録を樹立。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿