tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ノモンハン事件

2018-09-01 03:22:35 | 日記

フルンボイル平原の南を流れるハルハ河あたりの地理を説明してたプジェーは、「ハルハ河戦争」について触れた。日本では「ノモンハン事件」といわれる国境紛争だ。1939(昭和14)年にの満州国とモンゴル人民共和国の紛争。

ハルハ河からモンゴル・ソ連側主張の国境線までは、草原と砂漠だ。土地利用は遊牧のみであり、国境管理はほぼ不可能で、付近の遊牧民は自由に国境を越えていた。

日本は戦車火砲の力の差が甚だしく敗戦に近い結果に終わった。日本軍の死傷者は18,000名。一方、ソ連軍・モンゴル軍の合計27,000名、内、モンゴル軍死傷者990名。

日本では、陸軍始まって以来の大敗戦、国軍未曽有の不祥事ということで、厳しい情報統制が行われた。
日本軍首脳部は、この事件の痛撃でソ連軍の実力を侮りがたいものとして評価し、アメリカ・イギリスとの対決を覚悟して南方に進出すべきとする南進論に力を与え、結果として太平洋戦争へと繋がることになる。

作家司馬遼太郎は、ノモンハン事件を主題にして日本を太平洋戦争に導いた陸軍参謀本部を書こうと膨大な資料を集め、関係者にも取材を重ねたが、結局、ノモンハンを題材にした小説を書かなかった。

関東軍の暴走。そして統括する東京の陸軍参謀本部は無謀な戦いを止めずに追認。兵士たちを無駄に死に追いやった責任者たちはついに大東亜戦争まで突き進み、すべてが終わる。

日本人は何故このような愚かな戦争に向かったのか。プジェーの話を聞いて、忘れかけていた胸の中の苦いものが込み上げてきた。時を経てもなお、戦争は多くの人を不幸にする。