tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ピーナッツ

2015-12-14 22:25:03 | 日記

カフェでお茶を飲みながらチャールズ M・シュルツ(ピーナッツ)の本とか見ていると、よく声をかけられる。
「スヌーピーが好きなんですね」

いい年こいて「スヌーピーが好き」とカミングアウトするわけにもいかず、いつも返事に困ってしまう。
決まって声をかけてくるのはかわいい女性。
彼女たちもスヌーピーの大ファンなのだ。

・・・実のところ、暇になるとチャールズ M・シュルツのソフトカバーをかばんから取り出して眺めているのは、「定型ポーズを通して、平面上のデザインから登場人物を記号・図式化」する手法を学ぶためだ。
彼は、登場人物たちと同じ目の高さから見たところを描いている。
したがって、読者もまた、上から登場人物たちを見おろすような大人の視点を取ることなしに、すっと そのまま絵の中に入っていける。

「 ・・・ 『ピーナッツ 』の中には、私がしょっちゅう使う基本的なポーズがいくつもありますが、すべてそれなりのはっきりした理由があるのです。 ・・・それは描かれている人物が誰で、いま何をしているかが 読者にすぐさま分かるようにすることが肝心だ ということです。変に凝ったカメラアングルを使ったり、ひとコマごとに人物のポーズをいろいろ変えたり、そういうことを私が一切しない ゆえんです」
(チャールズ・M.シュルツ/松岡和子 訳 “ ピーナッツ・ジュビリー ”角川書店より)

例えば、シュローダーがピアノを弾いている時の右半身からの構図。
読者が、これはシュローダーだとひと目で見て取り、例のちっぽけなオモチャのピアノに向かっている彼の姿を見て親しみを感じるほうが、ずっと大事だとシュルツは言う。シュルツ氏によって意図的に選択・固定された、こだわりのアングルであったということだ。

たとえば、「犬小屋の屋根でいつも同じ方向に寝るスヌーピー 」
「ピッチャー・マウンドに立つ、敗戦投手のチャーリー・ブラウン 」
「精神分析スタンドで チャーリー・ブラウンに診断をくだすルーシー 」
「安心毛布を抱えて指をしゃぶるライナス 」、etc・・・
これらはいずれもシュルツ氏の意図どおり、「イメージをある程度固定化することで、個々のキャラクターを読者が受け入れ易くなる」ということに役立っている。
つまり、定番のポーズ。
一枚の絵で、シュルツ氏は登場するキャラクターの背景にあるさまざまなドラマも見せている。
そしてそれは優れた映画のシーンにもある。
たとえば、小津安二郎の映画にもシーンの中に基本となる構図があり、それらの組み合わせが種々の展開にとつながっている。
ロー・ポジションでとること、カメラを固定してショット内の構図を変えないこと、人物を相似形に画面内に配置すること、クローズ・アップを用いず、きまったサイズのみでとることなど。。

・・・最近のかっこいい写真とはまったく違う構図。。
奇抜なカメラアングルにこだわらず、構図の王道を行く。写真でこんな世界感を目指してみたい。


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