夏の間、近所に響く玄翁の音を避けて、もっぱら裏面の研磨をしていたダイニングテーブルでやんす。
ようやく、天板の表面の作業開始。70kgはある板をダイエットしていくんすよ。
木の地肌に触ると、この木の持つ迫力に圧倒され、敬愛の念すら感じるでやんす。
生まれて此の方、どこかの山の頂からそれぞれの時代の出来事を眺めてきたことでしょうね。
仰ぎ見る、梢の先の青い空。風に揺れる大きな葉。土手すべりを楽しみながら、「栃の実、見つけたーっ！」と響く黄色い声。
きっとこんな風景が繰り返されてきたんだろうと、木の断面を触りながら思いをはせるんす。
栃の木は、年輪は淡く、まるでオーロラのような光りの帯びが入るんすよ。それが、「杢」と呼ばれるものなんす。
中には、縮み杢とか、玉杢とかいろいろと呼ばれているものがあるんすけど、いつまで見ていても、あきることがないっす。
叩き鑿でおおざっぱに粗彫りしていきやす。この先、完成までどれだけの時間がかかるのですかね。あっしがこの世からいなくなっても、このテーブルは残るでやんす。
