tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

外国人観光客の増加で活況を呈する奈良県。県下各地では、美味しい飲食店も激増中です。ぜひあなたも「どっぷり奈良好き」人に!

鳥貴族の「低価格均一」ビジネスモデル

2009年12月15日 | グルメガイド
日本経済新聞朝刊(12/10付)に「低価格の居酒屋拡大」という見出しで、こんな記事が載っていた。《居酒屋チェーンは300円前後の低価格や均一価格で提供する店舗を拡大する。大庄は290円均一店など低価格店の出店を始めた。居酒屋「東方見聞録」を展開する三光マーケティングフーズは均一価格店を、年内に当初計画より6割近く多い約80店にする。会社員の収入が減る中、居酒屋の価格破壊は今後も激化しそうだ》。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20091210AT1D0909G09122009.html

Web版には出ていないが、紙面には「主な低価格・均一店」という表が載り、6か店のリストが出ている。その中に《鳥貴族 税抜き280円均一で提供》とあるのに目が止まった。


近鉄奈良店で12/11撮影(トップ写真とも)

株式会社鳥貴族が展開する焼鳥屋チェーン「鳥貴族」は先月、近鉄奈良店がオープンしたばかりなのだ(11/11開店。奈良県内で3か店目)。しかも場所は、私の勤務先の向かいである(小西通り・いせやビル2階)。開店当日と翌日は全品半額だったこともあって、長蛇の列ができていた。
早速、新聞掲載日の翌日(12/11)、会社のN先輩を誘って訪ねてみた。
※鳥貴族・大倉忠司社長のブログ
http://ameblo.jp/toriki-ookura/entry-10387340083.html

入店したのは、オープン直後の午後6時過ぎ。小雨が降っていたせいか、まだ店内はがらんとしている。杉の白木を多用した温かみのある内装で、落ち着いたイメージだ。焼鳥屋にありがちな、脂がべっとり染みついていたり、煙臭い雰囲気は全くない。
※鳥貴族・近鉄奈良店のサイト
http://www.torikizoku.co.jp/shops/detail/158

メニューは全品280円(税別)とは聞いていたが、驚いたのはドリンク類だ。発泡酒の「キリン淡麗」の大ジョッキが280円、ビールの「一番搾り」中ジョッキが280円。サントリー山崎10年(ロック、水割り、ソーダ割とも)が280円、日本酒(松竹梅)のカップ酒も麦焼酎の「それから」(90ml)も、280円。これは安い。例えば発泡酒の大ジョッキ(700ml)280円は、コンビニで発泡酒の350ml缶を2本買うのと同じ値段なのである。


鳥貴族のホームページより(計4点)

以前(6/16付)の日経新聞朝刊に《外食でも発泡酒で十分 広がる「そこそこ消費」》《外食する際にビールではなく発泡酒を選ぶ人が増えている。自宅は安い発泡酒、外ではビールでちょっとぜいたくというのが普通だったが、不況で懐に余裕がなくなってきたのが影響。”そこそこの生活”で満足する消費行動が根付きつつある。また、発泡酒よりもさらに安い第3のビールも登場しはじめた》という記事が載っていたが、お店の大ジョッキが280円なら、これに飛びつくことだろう。



で、肝心の焼鳥のお味はというと、これが美味しいのである。大和肉鶏や比内地鶏などの銘柄鶏を使った名店は別にして、街の焼鳥専門店と比べて全く遜色はない。それでいて、この値段(1皿2本で280円)なのである。大阪での客単価は2150円(東京では2050円)だそうだが、誰でもこの値段でお腹が一杯になるだろう。(例えば、焼鳥3皿6本+鶏唐揚+野菜サラダ+淡麗大ジョッキ+チューハイで税込み2058円なのだ!)



鳥貴族では、炭火ではなく電気のロースターで焼くので、焼き時間が短縮できるし、火の管理もラクだ。こうした効率化で、お客の回転数は1日2.5~3回と、一般的な居酒屋より2~5割回転が速い。近鉄奈良店は路面店でなくビルの2階にあるが、これも賃料の安さを考慮したのだろう。

食べているうちに、店内が賑やかになってきた。7時を過ぎると、ほぼ満席になった。店を覗いて、諦めて引き返す若者グループもいる。このお店では、店員さんがやたら元気で威勢が良いので、ゆっくり話をしながら杯を傾けるのには向かない。これも、回転率向上に貢献しているのだろう。



雑誌「日経レストラン」(09年8月号)に、社長へのインタビュー記事が載っていた(当時の社名は、イターナルサービス株式会社)。大倉 忠司(おおくら ただし)社長のプロフィールは《1960年大阪府生まれ。高校卒業後、飲食店経営を目指して辻調理師学校(現・辻調理師専門学校)に入学。卒業後、リーガロイヤルホテルに入社、2 年間ウエイターを務める。82年退社して焼き鳥店に勤務し店舗拡大に尽力。85年独立して「鳥貴族」オープン、91年からFC展開。05年に東京進出し全国展開を目指す。09年7月末現在、139店舗(うち直営63店舗)、社員数143人、直営年商45億円》。
http://nr.nikkeibp.co.jp/report/torikizoku/index.html

《1号店は日商5万円という厳しいスタート。1年経っても売り上げは伸びなかった。そこで思い切ってドリンクも含めた全商品を250円均一にすることにした。「普通の飲食店は、料理の価格を下げて、代わりにドリンクで儲けますよね。うちはドリンクを下げることで差別化しようと考えました。ドリンクは原価率が高いから安くするのはたやすいことではないが、きっとお客さんは増える。薄利多売で頑張ればいい」》。


近鉄奈良店で10.3.17(追加)撮影(計4点)

《均一価格を導入すると、徐々に客数が増え、売上高も少しずつ伸びていった。90年代に入って280円均一(税抜き)に値上げをしたが、以来、約20年間この価格を守り通していることが今日の躍進につながっている》《食材は国産の生の鶏肉を使い、毎日各店内で串打ちする。一般的な焼き鳥は1本約30gだが、看板の「貴族焼」はその3倍の90gを2本で280円》。貴族焼以外の焼鳥は1本60g。中心客層は20~30代の若者層だ。

社長の言葉。「そもそも飲食業を始めるときに、景気にも流行にも左右されず、全国展開できるものは何かと考えて、一番市場の大きい大衆層をターゲットに『鳥貴族』を作ったんです。若者と女性客の取り込みを狙って、従来の焼き鳥屋らしくない店を作ろうと思いました。それで、いわゆる赤提灯・赤い看板ではなく、黄色い看板にしたり、店名も焼き鳥屋っぽくない名前にしたりと“お客さんを貴族のようにもてなす店”という意味を込めて付けました」「居酒屋と比べてメニュー数が少ないから厨房はコンパクトで、スタッフ教育の時間も短縮できる。料理の提供時間は短く、お客さんの回転は早く、仕入れのロスは少ない。だから全品均一の低価格でも利益が出る」。



《店舗数がどんなに増えても、セントラルキッチンは導入しない。「冷凍物は使わず、新鮮な生肉にこだわるために店内で串打ちするんです。たれも自家製です。焼き鳥しかない店だから、居酒屋の焼き鳥には絶対に負けられない」。バブル期に9坪の店で創業して以来今日まで、時代は変化し店舗数は飛躍的に増えたが、大倉の経営理念はぶれない》。



《大倉は上場も視野に入れ、2016年中には関西、関東、東海の3商圏で1000店舗を目指す。「創業者は1業態しか成功させられない。『鳥貴族』の基本は僕が素人のときに、地元の炉端焼き店の230円均一に感動したのがきっかけです。お客さんは素人なんだから、経営者も素人時代の感動を基にした発想が大事。僕は本業以外で儲けようとは思わないから、株も宝くじも買ったことがない。これからも140 円の焼き鳥を1本、また1本と地道に売っていきます」》。

昨今のデフレを追い風に、出店ペースを加速している鳥貴族であるが、考えてみると、そもそも大阪の食べ物のモットーは「安くて美味しい」だ。これを究極にまで推し進めてきた帰結が「280円均一の焼鳥屋」なのである。決して奇をてらったのではなく、むしろ大阪流食ビジネスの王道を歩んでいるのだ。



単品勝負の商売は、いつか飽きられる(寿命が来る)というリスクがあるし、とりわけ鶏肉は鳥インフルエンザという仇敵が控えている。そのリスクを社長は百も承知だろうが、企業イメージを高めたり、出店エリアを広げることがリスク分散の1つなのだろうか。
※鳥貴族のホームページ
http://www.torikizoku.co.jp/

ともあれ、2千円でこんなに満足できる焼鳥屋とは、有り難い存在である。1本90gの貴族焼と、発泡酒の大ジョッキを味わえば、森永卓郎ばりの「年収300万円時代を生き抜く智恵」も沸いてくることだろう。

明日(12/16)には西大寺店がオープンする。12/16と17には、恒例の開店記念・全品半額セールも実施される(両日のみ午後5時オープン。大混雑が予想されるのでご注意を)。ぜひいちど、鳥貴族に足をお運びいただきたい。
http://www.torikizoku.co.jp/shops/detail/161

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