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奈良の食文化研究会、第9回地域再生大賞にノミネート!(奈良新聞「明風清音」第9回)

2018年10月16日 | 明風清音(奈良新聞)
紹介するのが遅くなってしまった。先月(9/19付)奈良新聞の「明風清音」欄で私が紹介させていただいたのは、特定非営利活動法人「奈良の食文化研究会」(瀧川潔理事長)だった。ちょうどいいタイミングで、同会は今年度の「第9回地域再生大賞」(共同通信社と全国の地方新聞社が主催)にノミネートされた。
※トップ写真は、同会が現代風に再現された「春日はくたくうどん」

ノミネートされた団体の中から今後、大賞(1団体)、準大賞(2団体)、ブロック賞(6団体)、特別賞(2~3団体)が選ばれるが、最低でも「優秀賞」は受賞できる。授賞式は来年(2019年)2月だ。47NEWSのサイトによると、

奈良の食文化研究会(奈良市)
特定非営利活動法人奈良の食文化研究会は、「奈良にうまいものなし」とまで言われ、本来の美味しさを持つ奈良の食のことが知られていない現在、歴史文化の深さからくる「和食の発祥の地」とも言える奈良の食文化を研究し県内外に発信している。主な活動として郷土料理の発掘と研究、地域の料理講習、食文化に関する講演会、食文化に関するイベントの主催、PRイベントへの参加などを行なっている団体である。


今年で発足から22年。親子料理教室などの食育活動を地道に展開されるとともに毎月1回、奈良新聞に「新 大和の食模様」を連載されている。この掲載記事はこれまでに2回、『出会い 大和の味』(正・続)として出版されている。このような息の長い活動は、なかなかマネできないことである。では、記事全文を紹介する。

特定非営利活動法人「奈良の食文化研究会」(理事長 瀧川潔さん)のことは、本紙連載の「新大和の食模様」でよくご存じだろう。毎月第3水曜日の掲載なので、本欄に私の原稿が載るのと同じ日になる。8月は「黒米カレー」が登場していた。同会は平成8(1996)年に発足し、13年に法人化。今年で発足からはや22年になる。当初の発起人には、大学教授や研究者、栄養士、酒造元などの名前がずらりと並んでいる。現在の瀧川理事長は、市民生活協同組合ならコープのもと理事長だ。

同会の定款の「目的」には「郷土料理を発掘・研究し、それらを多くの人々に伝え広めることで、奈良の食文化の歴史及び伝統の継承と普及を図る」「郷土料理を活かした現代人にとって正しい食生活のあり方を創造するための研究を進め、その成果を広く人々に伝える」とある。これは大切な活動である。

同会はかつて『奈良発の食文化』誌を発行されていた。創刊号は平成8年12月発行で、そこで医師で春日大社宮司だった故葉室頼昭氏はこんな興味深い話をされている。同じ化学構造のビタミンCでも、天然のものはそのまま消化・吸収されるが、人工のものは異物として、解毒するために肝臓へ回る。「天然のものは構造ではなくて『気』なんだと思う」「神道では神様にお供えしたものを、すぐその場でいただくんです。お供えしたものには、神様の『気』が入るから、それをいただくと神様のお力が身体に入るというわけです」。

同会はこれまでに本紙の連載記事を収録した『出会い大和の味』正続2冊を奈良新聞社から刊行されている。そこには「生駒の田ゴイ」「御杖村のカボチャのいとこ練り」「香芝の赤エイの煮こごり」「川西町のお盆の刺鯖(さしさば)」「川上村のでんがら(餅)」など、奈良県の伝統料理や行事食がたくさん紹介されていて、これはさしずめ『食の大和国風土記』である。

瀧川さんは本書で大安寺に伝わる精進料理「伽藍坊(がらんぼ)鍋」を紹介されている。榧(カヤ)の実からとれる榧油を使った湯豆腐料理である。菊菜や三つ葉の入った湯豆腐の鍋に榧油を少量落とし、もみ海苔をかけていただく冬場の料理だ。榧油は大安寺と縁の深い高野山から取り寄せる。榧油は厳冬期でも凍らないので、高野山では燈明に使われているそうだ。榧の実は炒って食べたことがあるが、榧油はやはり香ばしい風味がするのだろうか。そういえば大安寺の仏像には榧材のものが多い、何か関係があるのだろう。

同会は平成26年9月、平安時代の貴族の日記をもとに、春日大社でふるまわれたうどんのルーツ「餺飥(はくたく)」を現代風に再現してイベントで提供し、話題となった。餺飥は、お土産用の乾麺を市販すべく準備中だ。近年は食育に注力され、今年も「大和のパエリア」「きな粉雑煮」「奈良の味噌」などの親子体験教室を開催するという。

瀧川さんは「日本人の食生活は戦後の高度成長期以降に一変しましたが、最近は健康面・栄養面で伝統料理が見直されています。私たちは過去に思いをはせ、伝統料理・郷土料理の良さを生かした復活・創造に取り組み、その成果を食育に活かしていきたいと願っています」。奈良の食文化研究会の今後の展開に、大いに注目しよう。


「新大和の食模様」は今も連載中なので、また3冊目、4冊目の『出会い 大和の味』も刊行されることだろう。奈良の食文化研究会さん、「日本の食文化のルーツ」といわれる奈良の「食」を大いにPRしてください!


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