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東大寺を再興した重源上人の墓、三笠霊園に隣接した高台に/毎日新聞奈良版「ディスカバー!奈良」第104回

2019年03月14日 | ディスカバー!奈良(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、「ディスカバー!奈良」を連載している。2月28日(木)に掲載されたのは「高台から町を一望/奈良市の重源上人の墓」、執筆者は同会理事の松森重博さん。このお墓、私もお参りしたことがあるが、やや場所が分かりにくい。苦労して探し当てたことが松森さんのブログに載っているので、参考にしていただきたい。それにしても重源上人とはスゴイ人である。『日本大百科全書』によると、

重源 ちょうげん[1121―1206]
鎌倉初期の浄土宗の僧。俊乗房と号する。紀季重(きのすえしげ)の子で、重定(しげさだ)と称した。1133年(長承2)醍醐寺で出家し、密教を学ぶ。また高野山に登り、法然(源空)に就いて浄土教を研究するとともに、大峯、熊野、御嶽(おんたけ)、葛城など深山幽谷を跋渉(ばっしょう)して修行した。1167年(仁安2)入宋(にっそう)、栄西とともに天台山に登り、浄土五祖像を請来する。

1181年(養和1)造東大寺大勧進職となり、南無阿弥陀仏と号し、広く諸国を勧化(かんげ)して、建永(けんえい)元年6月5日に86歳で没するまで、平氏焼討ち後の東大寺復興の造営にあたった。その間、再三にわたり入宋するとともに、1191年(建久2)には法然を東大寺に招き、南都諸宗の学匠に浄土三部経の講義を開いたという。

また周防(山口県)阿弥陀寺、播磨(兵庫県)浄土寺、伊賀(三重県)新大仏寺をはじめ、各地に堂宇を建立するとともに、備前(岡山県)の船坂山を開き、播磨の魚住泊(うおずみのとまり)の修築、摂津(大阪府)渡辺橋・長柄(ながら)橋などの架橋、河内(かわち)(大阪府)狭山(さやま)池の改修、湯屋(ゆや)の勧進を行うなど、西大寺の叡尊(えいぞん)、極楽寺の忍性(にんしょう)に劣らず社会救済事業に尽くした。


1181年に造東大寺大勧進職になったということは、すでに60歳。この時代の60歳は相当の高齢者だ。それなのに何度も中国(宋)に渡ったり、お寺の造営やインフラ整備に尽力したというのだから、まさにスーパーマンである。ではそろそろ松森さんの記事全文を紹介する。

東大寺は創建以来、何度も火災に遭い、特に1180年の平重衡の南都焼討では大仏殿を含む多くの伽藍が炎上しました。それを目の当たりにした重源上人は諸国を回って再建の勧進をし、幾多の困難を克服して鎌倉時代に大仏殿を再建されました。運慶作とされる写実彫刻の傑作、国宝の重源上人像は東大寺鐘楼の近くの俊乗堂に安置されていて、展覧会などにもよくお出ましになられます。

ところで、重源上人のお墓はどこにあるのでしょうか。自らが開祖である北御門町の五劫院のすぐ東の道を北へ行き、右手にある三笠霊苑の急坂を登り、やや平坦になった辺りに東大寺の僧侶のお墓が並んでいます。その五輪塔のひとつが重源上人のお墓です。奈良の町を眼下に見るとても見晴らしの良いところです。

■メモ JR・近鉄奈良駅より奈良交通バス 青山住宅方面行き「今在家」下車、徒歩3分で五劫院、墓はさらに徒歩15分ほど(奈良まほろばソムリエの会理事 松森重博)。


お墓への登り坂はキツいが、ゆっくり歩けば大丈夫。ぜひお参りしてください!


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2 コメント

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Unknown (りひと)
2019-03-16 09:44:32
五輪塔好きにはたまらない写真です。
醍醐寺で法然さんとも縁があるなら最高に興味あります。お名前は聞いたことはありますがイメージがまだできていないのでいっぱい調べてみとうと思います。
大変な時代での活躍自分なりにたどってみたいと思いますね。

そう橋かけたんですね、そこに信仰と知識がないと出来ない事。おまけに自分の事ではない社会貢献の意味合いを今の公共機関の役目でもなく出来るってすごいですよね。橋の名前にも喰いつきました。長柄とその前場所と地形も調べると何か分かりそうに思いますね。
重源上人 (tetsuda)
2019-03-18 08:01:45
りひとさん、コメントありがとうございました。

> 社会貢献の意味合いを今の公共機関の役目でもなく出来るってすごいですよね。

はい。行基に始まり、空海、重源と来て、叡尊、忍性に引き継がれていきます。現代に通じる社会貢献活動ですね。

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