tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

手打ち蕎麦 夢屋

2008年10月23日 | グルメガイド
10/17(金)大阪へ出張した際、昼食にそばを食べようと「夢屋」(大阪市中央区北新町)というお店に入った。

相当こだわりのあるお店だ。『美味しい店 大阪の101軒』(プラネットジアース)というガイド本には、《「産地が明確な食材を使いたいから」と、奈良市内の畑を借り、自らそばを栽培しているのだ。12月に新そばを提供するため、店の定休日の日曜は毎週畑仕事に精を出す。その情熱にも驚くが、さらに注目すべきは、そばの実を挽く石臼を作ってしまったこと》。

「奈良市内の畑」というところが嬉しい。寡聞にして市内でそば畑を見たことはないので、興味津々だ。ご主人の楠木順彦さんは、元テレビカメラマンで、ロケの合間にそば屋巡りをしておられたという。

お店は「マイドームおおさか」からまっすぐ東へ徒歩2分(中大江公園の東隣)、最寄り駅(地下鉄谷町四丁目)からは徒歩6~7分というところだ。



冒頭の写真はお昼限定の「かやく定食」980円。そばは温・冷いずれかを選べる。メニューには《弊店の蕎麦は手ごね、手のし、手切りによる純粋な手打ち蕎麦です。そば粉八割、つなぎ二割のいわゆる二八蕎麦です。大変伸びやすいので早めにお召し上がりください。また蕎麦つゆや出汁はすべて天然素材で作っています。化学調味料や酸化防止剤など添加物は一切使用していませんので、安心してお召し上がりください》とある。

早速いただいたそばは、香り高く舌触りも良い逸品だった。つゆも、いいダシが出た関東風の本格派だ。外食では、やたら塩辛い「かやくご飯」が出てきて閉口することがあるが、こちらはちょうど良い加減だった。

奥さんによると、柳生の里(奈良市)のお知り合いの休耕田を借りて、そばを栽培しているのだそうだ。ただし、それだけでは賄えないので、北海道や信州のそばも買っているという。11/2(日)には、お店も協賛する「第7回大柳生そば祭り」というイベントが開催されるそうだ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~soba/matizukuri1/ooyagyuu/08yagyuu.html

食べながら、テーブルにあった「店主のウンチク 四九」にふと目をやると、何とこれが「割り箸の話」だった。パソコンで作成された、原稿用紙6枚分(40字×56行=2360字)もの「ウンチク」である。要点を拾うと、

《最近弊店にお越し戴くお客さんの中に「マイ箸」なるものを持参する方がいる。おそらく何かのエコロジストと察する。が蕎麦屋の主は本心から「おやめなさい」と申し上げたい。全く無意味なことである》《少なくとも麺類は「割り箸」に限る。そう、割り箸は日本人の食生活の一部であり、味覚を支える重要なアイテムなのだ》。

《割り箸自体既に廃物を再利用した「エコ商品」なのである。前職のキャメラマン時代、奈良県吉野で箸製造現場を取材した事がある。高齢者の方の作業を撮影して驚いたのは「そこまで使うか」というほどギリギリまで徹底して廃材を使い切ることだ》。輸入割り箸も同様で《建築用資材が優先され、残った木っ端を再利用しているのであり、割り箸を作るため木を切り倒している国はどこにもない》。

《日頃湯水のごとく使っているコピー用紙や新聞、雑誌、ティッシュペーパー、折り込み広告など、すべての紙製品が材木消費のほとんどを占めていることにことに気づかないでいる事の方が重大だ》《どうして自分たちの大切な食文化のひとつ「割り箸」をバッシングするのか。むしろ高齢化と後継者不足で悩んでいる国内林業を救うためにも、どんどんと割り箸を割る方がいい》。

全く同感だ。このまま林野庁(木づかい運動)のHPに転載してほしいほどの力作である。特に、山村の少子高齢化問題にまで踏み込んでいるところが素晴らしい。



このお店では、そばの香りを楽しんでいただくため、杉やヒノキでなく竹の割り箸を提供されている。竹箸は先が細いので、そばの1本1本をつまむこともできる。しかも《竹の割れ目から竹繊維の破片がまれに飛び出すことがある。箸を割る時は決して蕎麦の上で割らないよう、呉々もお願い申し上げたい》という徹底ぶりである。

私は以前、「まっとうな料理店は、必ずちゃんとした割り箸を出す」と書いたことがある。割り箸にここまで気を配る「夢屋」のそばが不味いはずがない。今度は「とりそぼろ丼」や「蕎麦鍋」なども試してみたいと思っている。割り箸のウンチクはさておいても、ぜひお訪ねいただきたい。

※夢屋のホームページ
http://homepage2.nifty.com/soba-yumeya/index.html
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