意思による楽観主義のための読書日記

面白きこともなき世を面白くするのは楽観力、意思に力を与えるのが良い本 *****必読****推奨**閑なれば*ムダ 

ハンニバル・ライジング(下) T・ハリス ***

2012年04月28日 | 本の読後感
日本人のために書かれたようなハンニバルの生い立ちである。

上巻の冒頭に掲げられていたのは水墨画、それは宮本武蔵が描いたという。ハンニバルは両親とミーシャを殺した相手を次々と葬っていく。キリスト教的博愛の精神とは相容れない、武士道の精神と仇討を美徳とする考え方にハンニバルは共感したのであろうか。戦争で両親が死に、ゴロツキでナチスに協力した男たちに目の前で妹を惨殺され荒廃した精神を持った少年に、日本的な心を教えたのはレクター伯爵の日本人の紫夫人、それは正しかったのだろうか。紫夫人は殺人を犯すハンニバルを身をもって正常な世界に引き戻そうと体を張って必死で誘惑するがハンニバルは応じない。「ミーシャと約束したのだ」というのだ。

紫夫人は源氏物語の紫式部が描く「紫の上」から来ていると思われる。小説の中でも紫の上と光源氏が交わす歌や小野小町、俳句、和歌、生花、書道、水墨画が紹介される。水墨画をハンニバルが描くのも紫夫人の影響であり、永の字八法という書道の教えも、ハンニバルの描く水墨画の署名として出てくる。欧米の一般読者は解説なしに理解できるとは思えないが日本人読者ならスーっと入ってくるのは当然であり、日本人向けというのはこうした背景である。

ハンニバルが亡くなったミーシャに復讐を誓う言葉。「この世に神は存在しないという事実に僕は心の平安を見出している。」無神論者で、仇討ちを美徳とする日本の武士、赤穂浪士たちの心にも通じる。しかしハンニバルの異常性はこうした武士道精神とも一線を画する異常性と野蛮性を秘めているようだ。医学を学ぶハンニバルは無意識の向こう側にあって、記憶として呼び戻せないミーシャ殺害の場面を、殺害者の顔と名前を思い出すために、薬剤を自分で注射することで取り戻そうとする。壮絶な精神と復讐心である。

ハンニバルはのちの物語で人肉食を嗜好するが、それは妹を食らったゴロツキへの復讐と、ゴロツキのグルータスから明かされた事実、ハンニバルも妹のミーシャの肉を食べさせられていた、ということからも来ているようだ。しかしそれは先祖から受け継いだ血でもあった。ハンニバルの生い立ちに秘められた凶暴性と教養、医学知識、そして武士道など日本文化への傾倒、これが本書読者には明かされる。



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ハンニバル・ライジング(上) T・ハリス ***

2012年04月26日 | 本の読後感
「羊たちの沈黙」のハンニバルの生い立ちを書いた。

レスター伯爵はリトアニアの貴族、ナチスの進撃はこの地にも迫ろうとしていた。危険を察知した伯爵は妻や二人の子供たちを避難させようとした。居宅は城だったが、避難先は狩猟小屋、伯爵やコックたちはナチスに殺されたが、家庭教師や夫人に守られて9歳のハンニバルと幼い妹のミーシャは3年半の年月を隠れて過ごした。しかし、反転攻勢をかけたソ連軍とドイツ軍の争いはレスター伯爵の家族を見逃さなかった。12歳のハンニバルと妹だけが生き残ったが、ナチスへの協力者であるゴロツキ達はこの子供たちを放って置かなかった。

ゴロツキ達はミーシャをハンニバルの目の前で殺してなんと食べてしまったのだ。ショックを受けたハンニバルは記憶を失い、言葉も失ってしまった。戦争が終わってハンニバルを救い出したのはレスター伯爵の弟のロベール伯爵とその妻で日本人の紫夫人だった。しかしそのロベール伯爵も、紫夫人とハンニバルが市場でゴロツキにちょっかいを出されて馬鹿にされたことを聞きつけて、仕返しにいったところを逆に命を落とす。ハンニバルは再び大きなショックを受けるがそのためか言葉を取り戻す。

紫夫人はハンニバルとパリに移り住み、ハンニバルは医学生として学ぶことになる。



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業火 パトリシア・コーンウェル ***

2012年04月25日 | 本の読後感
競走馬を20頭も飼っている大金持ちのケネススパークスの農場で火事があった。競走馬は何万ドルもする高級馬、そしてバスルームでは身元不明の女性が死んでいた。死体の顔は傷だらけ、そしてスパークスはロンドンへ飛んだばかりだったという。検視官のケイ・スカーペッタが謎解きをする検視官シリーズ第9作である。そして殺人犯として収監されているキャリーからスカーペッタの恋人でキャリーを逮捕に追い込んだFBIのプロファイラーベントンのもとにキャリーからと思われる謎のメッセージが届く。キャリーは監獄にいてどうやってメッセージを送りつけたのか。

スカーペッタの相棒はマリーノ、離婚歴がある男性警部、スカーペッタに気があったが、ベントンとの関係があって、今ではスカーペッタの貴重な相棒である。ルーシーはスカーペッタの姪でATF(アルコール、タバコ、爆発物の捜査局)に勤務する女性で、昔キャリーと女性同士の恋仲であったため、キャリー逮捕では大変傷ついた。焼死体が見つかった火事の事件捜査し始めると、キャリー脱走の知らせが舞い込んだ。スカーペッタとベントン、そしてルーシーは姿が見えないキャリーの存在に恐れを抱く。キャリーは何年もの牢獄生活の中で3人に仕返しをしようと入念に計画を練っていたに違いないと。

そして同じような火事は連続して起きる。焼死体はいずれも美貌の持ち主であったという。そしてベントンがキャリーの手にかかり死んでしまい、スカーペッタとルーシーは深い悲しみと恐怖のどん底に落ち込んでしまう。キャリーの思う壺だと、スカーペッタとルーシーは姿を見せないキャリーに迫る。

一気に読めるサスペンス小説であり、パトリシア・コーンウェルファンなら必読である。



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ゴッホは欺く(下) ジェフリー・アーチャー ****

2012年04月21日 | 本の読後感
ゴッホの絵はロンドンからブカレスト、東京、NYC、ロンドンとどう動いたのだろうか。よく考えないと分からない。

悪徳銀行家フェンストンに対抗するため、アンナはアラベラに手を貸すことにした。アンナの故国ルーマニアでの初恋の人であり、父の戦友でもあった美術教授アントン・テオドレスクに助けを求める。ここに一枚噛むのが日本での鉄鋼王ナカムラ。アントンの教え子で、天才的な絵を描く画家の卵が名画の複製画を描いてフェンストンや読者の目をくらます。

概してアメリカ人が貪欲で、日本人とイギリス人が歴史を重んじる紳士淑女、というステレオタイプで描かれている気もするが、筆者の絵画や美術への思い入れと知識は相当なものと推察できる。

フェンストンに雇われたのが元体操の女子選手で人殺しのオルガ・クランツという筋書きなのだが、ここはルーマニアという国を悲しく書きすぎなのではないか。

しかしストーリー展開はさすがジェフリー・アーチャー、息もつかせず最後のページまで読ませてしまう。



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ゴッホは欺く(上) ジェフリー・アーチャー ***

2012年04月17日 | 本の読後感
2001年9月11日、アメリカの貿易センタービルには2機の航空機が突入したが、その前日、イギリスでは貴族で伯爵夫人のヴィクトリア・ウェントワースが借金についての手紙を妹のアラベラに書いていた。その時、殺人者がヴィクトリアの部屋に侵入、喉を書ききられたヴィクトリアは即死した。犯人はヴィクトリアの左耳を切り取って、アメリカの銀行家フェンストンの送ったのだが、その次の日、左耳を切り取ったゴッホの自画像もウェントワース家からアメリカのフェンストンに向けて送り出された。

9月11日、フェンストンの美術コンサルタントを務めるアンナ・ペトレスクは、フェンストンから解雇通告を受け事務所のあった貿易センタービルを出る寸前、飛行機がビルに突っ込んだ。アンナは事務所のあった86階から命からがら逃げ延びたが、フェンストンも早くにビルを出て無事だった。アンナはコンサルタントとしてウェントワース家に公正なアドバイス、つまり、ゴッホの自画像を売りに出せば借金を返せる、という忠告をしたのだが、それが馘首の原因だった。フェンストンの企みを知ったアンナは、イギリスのウェントワース家にヴァージニアを訪れることを決意、親友でフェンストンの秘書ティナの助けを得て、航空機の発着が規制されるなか、カナダ経由でイギリスに飛んだが、ヴィクトリアは殺されたあと、しかしその妹アラベラに状況を説明して、一度送り出されたゴッホの自画像を取り戻すため、ヒースロー空港の保税倉庫に足止めになっていた絵画にたどり着き、これをまんまと取り戻す。そして、故郷のブカレスト、そして美術愛好家ナカムラのいる東京と舞台は飛ぶ。

アンナを追うのは、フェンストンに雇われた殺し屋の女性とFBIの捜査官であった。ここまでが上巻。



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林望のイギリス観察辞典 林望 ***

2012年04月15日 | 本の読後感
イギリス好きの筆者が「辞典」としてあいうえお順に付けられたタイトルについて解説するが、イギリスのすべてを語れるはずもない。タイトルは次のようになっている。

挨拶、秋、アスプレイ、ヴィクトリア朝、運河、エスカレーター、縁、煙突、往復割引、丘、音楽、、、という具合である。ひどい雨降りの日のイギリス人紳士の挨拶、なんでも売っているというアスプレイというロンドンにある王室ご用達の店のこと、ロンドンの地下鉄にある木のエスカレーターは火事の原因になったため鉄製になったという。朝9時半を過ぎると割引になる往復チケットは、今ではワンデイカードとなり一日乗車券となった。イギリスの音楽の層の厚さはロンドンに暮らしてみればわかる、バレー、オペラ、交響楽、ミュージカル、民族舞踊、独唱、合唱などが格安のお値段で鑑賞できるし、普通の人達が自分でも楽器を演奏することもしばしばであるという。

こうして、次々のテーマを語っていく。階級、ガウン、家屋、カマンベール、休憩、靴、クラシックカー、クリスマス、グレイズ、工場、紅茶、合理主義、午後、骨董市、コンサート。これがカ行。サマーハウス、サンデイランチ、正月、小学校、条件、女子学生、水道、スティルトン、ストークリー、節約、宣誓、戦争博物館、戦利品、これがサ行。そして最後はロンドンである。ロンドンに一度でも行ったことのある人なら懐かしいテーマに巡り合えると思う。



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スズメバチの巣 パトリシア・コーンウェル ****

2012年04月15日 | 本の読後感
警察官と新聞記者がボランティア警官のラブストーリーを書いたアメリカっぽいお話。ディテール記述が面白く、登場人物のそれぞれの人称で語られ、猫の目からも描かれる。舞台はノースカロライナ州最大の都市シャーロット、別名”スズメバチの巣”、女性で辣腕の50歳を少し超えた警察署長ジュディー・ハマー、もう一人も女性で42歳の美人署長補佐バージニア・ウェスト、そして24歳で大学卒業後新聞記者になった将来有望な男性のアンディ・ブラジル、この3人が主人公。プロットは街で起きている連続殺人事件であるが、謎解きが主眼ではない。

警察署長のハマー、夫は若い頃は魅力的だったが今は食べ過ぎて太ってしまい、街では有名な妻の評判を落としかねないダメ男セス。ハマーは部下に信頼が厚く正義感に溢れているため、ブラジルも憧れを抱く。ウェストはすれ違うと振り返りたくなるほどの美人だが独身、救急隊員のレインズと時々は付き合うが惚れてはいない。そしてボランティアで警官の経験をするという触れ込みでペアで巡回パトロールをするようになったブラジルのことが段々気になる存在となるが18歳も年下であり、最初は相手にしない。ブラジルは年老いてボケが進行した母と同居しているがウェストに独立することを勧められる。考えてみたこともなかったことだが、それもひとつの選択肢だと考えるようになる。ブラジルはウェストと一緒に行動するうちに惹かれるのだが、彼もそれを行動にはつなげない。

その他の登場人物はよくあるタイプの象徴であり、人聞きが悪いことはしたくない市長、街のチンピラババ、娼婦のポイズンとそのヒモでカボチャ頭の人殺しなど、3人の主人公を引き立てる存在。同性愛者、殺人事件、窃盗、警官の不正など現代アメリカの姿がそのまま書かれている。殺人事件の謎解きを期待すると当てが外れるが、警察小説が好きで、銃や巡回パトロールのディテールが知りたいなら期待通りである。読んでいてブラジルに気持ちが入ってくるとラストは納得である。



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捨て童子・松平忠輝(下) 隆慶一郎 ***

2012年04月10日 | 本の読後感
家康の第六子、忠輝が生まれ、「鬼っ子」と呼ばれて家康から他家に預けられて青年となり、75万石の大名になる。家康は忠輝を高く評価するが、徳川幕府二代目将軍となっていた兄の秀忠との確執から、家康の死後直ぐに25歳と若くして改易となるまでを描く。

鬼っ子は忍者のような敏捷さを小さい時から発揮して、成長してからは南蛮人と呼ばれたポルトガル人やオランダ人から医学、ラテン語を学び、文武両道、優しい心を持つに至る。いきいきと描かれるのは鬼っ子にゾッコン惚れ込む傀儡師の人々、「道々の者」と呼ばれる誇り高き漂流民、天下に仕えるものは天皇しかいないという傀儡一族である。忠輝の生みの母、お茶阿は鋳物師の子であり、道々の者である。筆者の隆慶一郎はこうした公界に生きる人々を描くときに筆が走っている。網野善彦の影響を受けていると考えられ、異形の人物に深い関心を寄せるのである。

印象的な場面は、豊臣秀頼を忠輝がこっそり京の町に連れ出して四条河原を歩くシーンである。放浪の民や芸能の民達が元気よく精一杯生きていることを目の当たりにした秀頼は母である淀君が与えてくれた今までの人生に大きな疑問を抱くのである。これこそ人間の本来の姿であり、自由の尊厳だと。

「吉原御免状」では主人公の松永誠一郎が、後水尾院のご落胤として生まれながら、柳生一族や幕府権力をばっくにしたゴロツキから、道々の者として分類できる吉原の女郎たちを守るのだが、忠輝もおなじく、自由の民である傀儡一族とともに幕府の力、柳生一族など権力を背負った勢力には力いっぱい抵抗する。

25歳で配流の身となったあとも、生涯自由の心を持ち続けたという。登場人物は妻の伊達政宗の娘である五郎八姫、傀儡一族の雪と竹、宣教師ソテーロなどバラエティに富んでいる。テレビドラマにすれば面白そうであるが、筆者は1989年に亡くなっているのが残念。


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捨て童子・松平忠輝(中) 隆慶一郎 ***

2012年04月05日 | 本の読後感
松平忠輝は大人になり、越後福嶋藩の大名となる。その石高は慶長見聞録によれば75万石、文武両道、ラテン語やオランダ語にも通じ、ソテーロを通じて学んだ医術により、浅草で病人の治療にも当たっている。大久保長安は越後藩にキリシタンの武士たちを集め、行く行くは忠輝を抱いて天下の転覆を夢に抱いている。

江戸時代の大名には賦役や武器の保有数まで定められていた。軍役は100石につき2人から3人、75万石の越後福島藩であれば22500人と大変な人数になり集めるのも大変である。武器保有数は1万石につき鉄砲20、弓10、旗3、槍50、騎馬武士14である。福嶋藩であれば鉄砲1500丁、弓700、旗450、槍7500、騎馬武士1500となる。これだけで11250人の武士が必要となる。これを集めるのだから新たに福嶋藩をあずかることになった忠輝は途方にくれたが、大久保長安は全国からキリシタン武士を集めることで対応したのである。

この物語には「道々の者」と呼ばれる人々が登場する。傀儡子、猿回し、楽器を奏でながら説法する説教師、奇術などを見せる放下師、女芸人の歌比丘尼、こうした芸人たちも道々の者である。女郎や鋳物師、博打打ちなどさまざまな士農工商以外の旅をしながら生活するものたちの総称である。道々の者には主がない。税金も払わず使役にも駆り出されない。もちろん兵隊にも取られない。為政者たちからすればなんとか定住させて税金を取り立てたい対象である。このため、道々の者は常に時の為政者たちから迫害された。忠輝はその道々の者たちに関心を寄せていたのだ。

物語では家康がひょんな切っ掛けからキリシタン禁制にカジを切り、しかしキリシタンに同情的な忠輝のことは気に掛かるため船でスペインに送り出したいと工作もする。これを宣教師のソテーロや雨宮次郎右衛門たちが後ろから手助けする。忠輝は人望があり能力もあるために江戸時代を迎えようとする日本には収まりきれない人物なのだ。





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ジェノサイド 高野和明 ****

2012年04月01日 | 本の読後感
日本人が主人公だけれども、アメリカの小説のような、新人類誕生と現人類の戦い。

アメリカの大統領はバーンズ、アメリカが世界のカウボーイであり、父親に対して強い自分を見せたいというコンプレックスを持つエバンジェリカルな人物。中東で始めた戦争は泥沼化し早めの終結を試みている。あるとき、アフリカ大陸に新種の生命体が出現し、人類絶滅の可能性があるとの報告が上がってきた。1977年に提出された「ハイズマンレポート」、1.小惑星衝突などの宇宙規模の災害 2.地磁気の南北逆転など地球規模の環境災害 3.核戦争 4.疫病・ウイルスの脅威および生物兵器 5.人類の進化 である。大統領に報告されたのはこの5番目、新人類誕生の可能性であった。

アメリカCIAはスパイ傭兵を4名選抜、アフリカ大陸に出現したという新生物を殺しに向かわせるが、機密保持のために、その4人もミッション終了後は殺される運命。4名には致死率が非常に高い伝染病が発生したため、感染可能性のある部族民を数十名単位で殺してしまうという司令が与えられ、その際、人類でなく、今までに見たこともない生物を目にしたら迷うことなく殺すことと命じられる。4名のうち一人には難病の子供がいる。その子の命を救いたい、というのが傭兵応募のきっかけであった。

一方、日本の生物学大学院生の古賀研人は、突然父を亡くすのだが、その父からは死ぬ前に送られた研人あてのメールが届く。ネズミを使った新薬の研究を進め、不治の難病の特効薬を開発せよという。PCが1台、電源を入れても青い画面で立ち上がらない。そして500万円の入った銀行口座とATMカード。指示された場所にはアパートの部屋と実験用のネズミや実験器具一式があった。

アフリカ大陸に派遣された4名の傭兵、ピグミーの一族とアメリカ人生物学者ナイジェル・ピアースに出会う。そしてピアースは新生物の子供らしき生物を抱いていたのだ。4人の傭兵は新生物が無害の3歳の新人類であること、ピグミーの一人が新生物を生んだことをピアースから告げられ、CIAの司令の裏を知る。そして、ピアースはPCで日本の古賀研人と連絡をとるのだ。ピアースは古賀研人の父と生物学のフィールドワークをする間柄であり、お互いに研究情報を交換していた。そして、3歳の新人類はアキリ、難病に効く特効薬の作り方をシミュレーションするSWを日本人研究者であった古賀研人の父親に送っていたのである。そしてその研究は古賀研人に引き継がれ、傭兵の一人の子供の命を救う、という仕組みになっていた。全ては3歳の新人類がCIAや古賀研人の父をも巻き込んだプロットを組み上げていたのだ。

手に汗握るアフリカ大陸からの脱出劇、そして日本ではPCのSWを使った新薬開発、子供の命を救えるか、古賀研人の身にはCIAの手が伸びてきた。そして日本には新人類の姉で9歳になる子供エマがいることが判明、その子供こそがすべてのプロットの糸を引いていた。

アフリカ大陸、アメリカ大統領とCIA、日本の大学院生の研究者と古賀研人に協力する韓国人、そして謎の女性。最後には、アフリカ大陸からの脱出を行い、B737に乗り込んだ傭兵たちとピアース、そして3歳の新人類アキリ、エマが与えた指示通りに飛行すれば助かるとの言葉を信じる。アメリカ空軍のF22が緊急発進、バミューダ・トライアングル付近でミサイルを発射、しかし、F22もミサイルもB737を破壊できない。エマは海流、メタンハイドレートの噴出、F22の緊急発進とミサイル攻撃、すべてをシミュレーションしていたのだ。

手に汗握る展開であり、宵っ張りなら一晩で読める。



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