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意思による楽観のための読書日記

文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点 鈴木薫 ***

高校の世界史で習ったのは「四大文明」だったが、本書ではそれらを現代まで続く5つの文明に分類、分類基準を使われている文字としたのがポイント。中国、日本、朝鮮は漢字圏であるが、西ヨーロッパと南北アメリカ、アフリカ南西部がラテン文字圏、東欧とロシアを東欧キリル文字圏、インド・南部アジアが梵字圏、中東・北アフリカをアラビア文字圏とする。

古代エジプトで使われていたヒエログリフ文字はフェニキア文字、アラム文字などを経て、現在ではアラビア文字として残り、バリエーションが多いが多くのムスリム文化圏で使われる。楔形文字は消滅しているが、そのバリエーションであるアラム文字は梵字として残り、南アジアなどに、ヒンドゥー・仏教文化圏で使われている。フェニキア文字はその後のギリシャ文字、エトルリア文字に取り込まれ、その後ラテン文字として西欧キリスト教圏で、一部はギリシャ・キリル文字として東欧正教圏で現在でも広く使われている。漢字は広くはないが中華圏、朝鮮半島、日本列島に残り長く使われている。

文字文化は、宗教、数字、暦、占星術などで体系化され、文字文明圏ごとに独自の進化をたどる。結果的には、家族の単位、長子相続と均等相続、専制と独裁、官僚制度、組織形態にまで影響を及ぼす。

衣食住には居住地域の自然環境も大いに影響する。遊牧民・狩猟民・定住民、都市と城壁、後宮とハーレム、衣食文化、ターバンとヒジャーブ、箸食と手指食・ナイフ・フォーク食、食の禁忌、醤油と魚醤、唐辛子、米食と麦食などの文化的相違を生み出した。

大航海時代以降はこうした文明同士が交流を始め交錯し始める。日本とオスマン帝国では近代化の第一歩として、民法を制定したが、日本では儒教的価値観、トルコではムスリム的価値観と、宗教的縛りの違いからその制定では大きな違いが出た。

現代のグローバリゼーションの波の中、各文明は相互に影響を受け合い、科学と宗教、思想と倫理のせめぎ合いの中で、勢力拡大と相互緊張をはらみながら生き残りを模索する。本書内容は以上。

衣食住文化は住環境もさることながら文字文明圏と一致する、という主張は頷ける部分が多い。家族制度やタブー、宗教の影響を大きく受けてきたためである。地球単位で人類の文明を見たときに、今までがまだ急速発展第一段階にすぎず、これからは地球レベルで安定するための第二段階であり、その安定的進化のためには、人間による大事故などの問題や戦争・衝突による終末的終焉を避けるためにも、創造的なイノベーションと同時に、文明内と文明同士のフィードバックの仕組みが重要であるという。グローバル化進展・相互理解とナショナリズム高揚は表裏一体、文字や文化の異なる文化圏同士の相互理解を進める人類の知恵が試されるのだろう。
 

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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