意思による楽観のための読書日記

閉鎖病棟 帚木蓬生 ****

舞台は精神病院、ここにいる人々の多くは身内から厄介者扱いされ、今までの生活から引き離された人。この病院での様子を患者の視点から描いています。後で物語に登場する人のエピソードを紹介、耳が聞こえないため喋る事が出来ない昭八ちゃんは家に火をつけ村から逃げ出した過去がある。昭八ちゃんの「ゲッゲゲゲ」という言葉とそれにあわせたパントマイムを理解するチュウさん。チュウさんは声が頭に響き渡って部屋中を歩き回ったりする。チュウさんと仲のいい秀丸さん、母親を殺し死刑を執行されたが息を吹き返し、死刑は一人につき一度。お前は既に死んだ、戸籍はないと刑務所を出所した。その病院に通院している中三の島崎さん。チュウさんや秀丸さんと仲がよく、病院内のろくろ室で時間を過ごす。とても暴力的で恐ろしがられている重宗、元暴力団員で小指がなく、裁判で精神鑑定が必要だと精神病棟に入院、すぐ暴れ大声を出す。舞台は病院へと移って朝の風景が始まる。朝5時半から響きわたる勤行、ベルが鳴るや否やモップ片手に水掛けを始める男性、薬の副作用で首が捻れた人、蛇口の端から順に水を飲んでいく女性。物語としてはチュウさん脚本の演劇があり、重宗の起こした事件、それを昭八ちゃんが見つけ、急いでチュウさんの所に助けに走り、秀丸さんが動く。そしてチュウさんは退院する。物語を通して作者は優しい筆致で患者目線で描写する。決して明るい話題ばかりではないが、優しい気持ちにさせられるおすすめの一冊。
閉鎖病棟 (新潮文庫)

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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