既報の「放射線による後遺症」の引用文献によれば、原爆によって生成された放射性物質(放射能)からの放射線として、(1)一分以内に到達した「初期放射線」、(2)きのこ雲にふくまれて上昇し、黒い雨、黒いすす、放射性微粒子になって降った「放射性降下物からの放射線」と(3)「誘導放射線」(爆心地に近いところでは、地上の残留放射性物質(中性子線をあびて放射性をもった土や建物など)からの放射線)が分類されています。今回の原発事故による放射線対策の現状に係る記載を調べました。
<放射線対策の現状>
今回の原発事故の放射能対策を既報のエアロゾルに係る調査で得た知見をもとにして、個人的に対比してみました。
(1)初期放射線対策
初期放射線による外部被曝は原子炉周辺では基本的にありえません。原子炉周辺から飛び散って、敷地、プール、水溜りなど周辺に蓄積している目で見える大きな漏洩物質粒子(エアロゾルは0.001~100μmの微粒子)に対しては、所定の保護具(防毒マスク、手袋、作業着など)による完全防護が必要と想われます。
TV解説によれば、原爆の核燃料(ウラン)量は64kg、一方、原発は3000~4000kgと言われています。もし、再燃焼して爆発すれば、初期放射線による被曝災害は想像を絶するものと想われます。
(2)放射性降下物からの放射線対策
周辺環境中にエアロゾルとして飛来して、フォールアウト(ドライデポジション(乾性沈着))したものに対する対策
既報のチェルノブイリ原発事故に係る「放射能物質の粒子径」によれば、「・・・チェルノブイリ由来の放射性核種を含むエアロゾルの平均粒径は131I,137Cs,103Ru<<90Sr<239,240Puという順序で大きくなることが分かった。 この内、131I、137Cs及び103Ruの平均粒径はサブミクロンであった。また、131I、137Cs及び103Ruの3核種の場合、0.43μm以下に全体の放射能の50%が存在し、粒径の増加とともに急速に放射能が減少する分布を示した。・・・」<<続きを見る>>
今回の原発事故による初期の漏洩放射性物質エアロゾル(ヨウ素(I)、セシウム(Cs)など・・・詳細組成は不詳)は海、河川、水道水、田畑、農作物、家畜飼料などへ沈積しています。
また、正規の冷却システムの復旧ができないため、原爆(大火事)が起こらないように原子炉を応急的に給水冷却しています。
・水蒸気を出さなくすることが緊急の抜本対策。
・極度な汚染が認められた田畑の復旧方法として、
チェルノブイリ救援・中部HPによれば、
http://www.chernobyl-chubu-jp.org/pg156.html
2006年「ナロジチ再生菜の花プロジェクト」例のような中長期対策必要と思われる。
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エアロゾル吸引による後遺症対策として、
今なお発生している水蒸気中(小火事(ぼや))に少量?含有していると想われる放射性エアロゾルを吸引しないように、花粉症、インフルエンザと同様、放射線強度の高い警戒地域では外出時に所定の防護マスクを着用することが必要と想われる。
既報のエアロゾルの粒子径、形の調査から、花粉の粒子径は約30~100μmφであり、放射性微粒子はインフルエンザウィルス程度の約0.01~1μmφ。<<続きを見る>>
海に流出した漏洩放射能性物質もフォールアウトと同様とみなされ、魚介類が吸引しないように海水の清浄化が望まれる。
既報の水中の放射性物質の除去の調査から、RO(Reverse Osmosis)の技術は、半透膜を使って浸透圧とは逆に大きな圧力をかけて「逆浸透」を起こさせて水を濾過するものです方法が有力と想われる。<<続きを見る>>
(3)残留放射性物質からの誘導放射線対策
残留放射性物質とは新語時事用語辞典によれば、
「・・・核分裂しなかった放射性物質や、あるいは、土壌や建物の成分そのものが中性子線を浴びて核分裂を生じ、放射能を帯びるようになったものが、残留放射性物質となる。
残留放射性物質の種類によって半減期は異なり、場合によっては短期間のうちに無害な水準まで放射能が弱まるが、残留放射性物質そのものが除去でされるまで超長期的に放射線が放出され続ける場合もある。・・・」
上記(2)との区別が難しいが、基本的には、今回の原発事故では周辺の土壌、建物など中性子線による被曝はなく、誘導放射線の影響はないと想われる。また、核分裂しなかった放射性物質の漏洩もないので、誘導放射線による被曝対策は不要か?
⇒既報の「エアロゾルに係る記載の整理」で感じた下記の問題点を調査する予定です。
「・・・ヨウ素、セシウム化合物の存在実体は不詳です。それ以上に不詳なのは、大気中に漏洩している微粒子からなるヨウ素、セシウム化合物の組成はどのようなものか?水溶性なら、原子炉冷却中の水に溶けて、全部が汚染物として、海、地下に流出しているはずですが、・・・。 チェルノブイリのエアロゾルの粒子の放射性降下物として測定されていることから、不溶性のヨウ素化合物、セシウム化合物として存在しているのか?・・・」