次の週末20日から彼岸の入り
秋の彼岸を、のちの彼岸とも言うらしい。
本当に月日の巡りが早い。
夏が好きな私。
家族でエアコンを嫌うため、こと創作に関しては向いてないようで、さすがにはかどる季節になった。
まさに、芸術、文化の秋到来。
だが、やはり一抹の淋しさがある。
今年も、夏は確実に去り、また季節が巡るのだ。
20代まで、未来は永遠に続くもんだと思っていた。
森絵都も、益田ミリもそんなこと言っていたっけ?
能天気な私は30代になり、ようやく自分にとっての未来が有限であることに気付く。ああ、なんたること。
40代はまさにジェットコースターに乗っているよう。
先輩に聞く。
50代、さらに巡りは加速する感覚だそうだ。恐ろしいことだ。
池波正太郎の言葉を思い出す。
人は生まれながらにして、死に向かっている。
なるほど、ゴールに近付くほどに、その真実に向き合うようにできているのだな。
この日曜は目映いばかりの秋の空。
朝起きて閃く!
そうだ、墓参りに行こう。父から言われていたことだけど。。
江戸川を越える車窓から、入道雲が見えた。
去り行く夏と、秋の風を同時に感じる。
地元浅草から上野、日暮里とお寺と墓に囲まれているのだが、我がご先祖は遠くにいらっしゃる。
おひーさまと言われた、祖母が建てた墓。
彼岸前に同じことを考える人は多いようで、快速電車と平行する一般道は上下とも渋滞していた。
電車&ランで正解だ。
長男と軽装で走る。
そこで着いたお墓の姿がこれ。
ふんだんな雨と猛暑が雑草を繁茂させた。
ビフォー ↓
栄養がいいのか、いつも以上に根が深い。
人の執念と怨念もまた深い。
無口なお墓に向き合うと雄弁に何者かが語る。
地の底まで伸びたような根っこ、掘っていると、得体の知れない黒い虫、白い蛆がわんさかと涌いてくる。
黒いの、白いのが太陽を浴びて干涸びる前に、蟻の軍隊が襲ってきた。
虫が大嫌いな長男がぎゃーぎゃー言いながら、そんでも頑張った。
で、アフター ↓
3時間の格闘だ。
墓石の合間から伸びる雑草やススキを根こそぎ掘った。
お牛さんに牧草だよと差し上げたいくらい積もった雑草の山。
ゴミ捨てまでも3往復。
見上げると、皮肉のような好天。
日焼けも亡き人への供養だろう。
あっちっち。
ライターで火傷しそうになって火をつけた。
お線香の煙がむくむくと上っていく。
天上のご先祖様に、家族の近況を報告した。
【面影を苅るも生やすも彼岸花】哲露
高台にあるお墓。
こうして眺めると、案外素晴らしい景観なのだな。
長時間しゃがんで作業したせいで腰が痛い。
手を洗い、お墓のある高台から坂を下る。
リラックスしてRUNをして、躰をほぐしていく。
近くの高校の運動場の広さに感動する長男。
彼は今日のこと、憶えているのだろうか。
大学へ入ればもっと快適な環境が待っているのだよ、とその背中にそっと呟く。
お腹が空いたというので、冷やし茄子蕎麦というのを啜った。
茄子があと一人分という。私はもりそば。
食欲すら失せた私には、冷水が一番のご馳走だ。
帰りの電車、母からのメールで、センター模試があったことに気付く。
前日は財布を落とした。
おじいさん、おばあちゃん、ご先祖さま。
みんな元気で頑張って生きています。
ボクはおばあちゃんがいたあの町を書いてるよ。
どうかおいらたちを見捨てず、見守ってくださいまし。
合掌