合羽橋本通り商店街
毎年文月に入ると、はじまるイベントがある
言わずと知れた、入谷鬼子母神の朝顔市と合羽橋の七夕祭りである。
あ~、浅草に夏が来たって感じ。
国際通りから昭和通りにかけての長い本通り、七夕幟が本家に負けじと壮観にたなびくのだ。
さあ、内輪に浴衣に、ベビーパウダーを鼻につけて、夏祭りに出掛けよう。
「夕涼み河童の祭り下駄鳴りて」哲露
封建時代、度々の洪水に立ち上がった合羽屋喜八が埋葬された曹源寺がある。
同人の河童の会の面々とここ2年つづけて参拝している。
そう、ここは河童大明神の見守る河童の町なのだ。
かつての新堀川を越えて様々な店が連なる。
下町風はもちろん、珍しい各国の露店も見物。
色とりどりの大道芸が世相に疲れた人々を笑顔に戻している。
女の子たちの可愛らしいフラに癒され、起き上がり河童にパンチする男の子に微笑む。
これ、ちっちゃい頃よくやったなぁ。
こんな単純なもんが楽しかったんだよね。昔も今も子供の遊びは単純がいちばん。
何もなければ、子供は安上がりの想像力で楽しめる。
懐かしいポン菓子の大音響に吃驚し、きびだんごのおじさんに少年の目が輝く。
妹の的当てをそっと覗くお兄ちゃんは、まるで昔の自分を見ているようだ。
コロッケを買い、唐揚げを食い、冷えたビールを飲む。
梅雨の干ぬ間の午後、こんな幸せはない。
夕刻になり、叩き売りが増えた。
三丁目の夕陽よろしく、JAZZをつま弾くおっさんたちがカッコいい。
料理も酒も余ってはならじと売り子の声がひびく。
歩きながら、あっちこっちと目移りしてしまうわ。
兄ちゃんの熱心さに、おもわず、釣られて買ってしまった。
残り三個のソフトクリーム。
兄ちゃん、冷ゃっこくて旨かったよ!
バイオリン弾きもいたし、こんな芸術も見られるのは、上野の森が近いから。
そう私の学んだ上野中学のお隣は、芸大なのだ。
いろんな才能がある。
それに気づき、活かすも殺すも自分次第。
羨ましいことに、若者にはチャンスと時間がたくさんある。
思う存分やって欲しい。
震災と政府間のいざこざもあり遠のいていた観光客も戻ってきた。
私が書いている横で、欧州のどっかから来たとおぼしき外国人数人が短冊に記している。
七夕の願い、理解しているのだろうか。
その真剣さ、微笑ましいことこの上ない。
こうした文化の交流と、人間同士の友好が平和につながることを祈った。
東京スカイツリーがずっと眺められる河童ストリート。
妖か忍術か、お面が一瞬に変わる大道芸に拍手が起きていた。
一年中祭りのある浅草においても、このイベントは至極愉しい部類に入る。
続けて行われたほおずき市は台風に祟られたが、売り子のお客も逞しい。
台風の隙間に、橙とオレンジの鮮やかなほおずきがジャンジャン売れていた。
来週の足立の花火は同人の大切なイベントで見れない。だが月末には隅田川の花火がある。
夏はこれから。
台風一過のあとの二重の虹が幻想的だったそうな。
さて、一番海は何時いこうか。
そんなことをつらつらと考えるのも、夏の愉しみのひとつであるな