脳の働き 平成25年4月5日
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心理療法を施す際、心身一如の立場を正確に主張するために、
脳の働きの理解は不可欠だとする。
1. 大脳皮質
2. 視床下部
3. 脳幹部
4. 脳幹網様体
などが主な働きをする重要部位となる。
大脳皮質は、新しい皮質と古い皮質にわかれる。
新しい皮質~人間の知性の座といえる。
物事を知覚、判断、思考、行動に移す働き。
前頭葉で人間が主体的に独創的に生きる他の意思、計画、情操、
創造を司る。
古い皮質~本能の座 と呼ばれる。
食欲、性欲、集団欲、欲望の快感や不快感、怒りと恐れ、記憶など
人間が生命を維持するための、必要不可欠な基本的心の働きを司る。
間脳の中の視床下部~内臓の働きをコントロールする自律神経や
ホルモンの中枢。
古い皮質が、上部からこの視床下部をコントロールして、本能や情動の
働きが内臓の働きに影響を与えていることも、こうした、構造から
頷けるのだ。
心と身体を結び付けていると仮定する大きなポイントであると
池見博士はしている。
間脳の下位にある、脳幹部に、呼吸器、心臓などの内臓の働き、
唾液の分泌、筋肉の緊張度の支配、原始的中枢があつまっている。
視床下部を含む、間脳以下の脳幹部は、生命の座。
命を保つために必要な自然的要求に応じる場でもある。
中脳から延髄にかけて脳幹網様体賦活系(
のうかんのうようたいふかつけい)と呼ばれる、
網の目のような組織について。
ここから、大脳皮質への目覚め信号が送られているらしい。
こうした能の各部の働き、統合された働き、それらは、各部分の
脳の力関係に支配されるという。
それぞれの脳の各部位の目覚め度によって、個性的な脳の働きが
生まれて来るのだろう。
人間の五感の感覚 は、それでは脳の中でどのような働きを
しているのだろうか?
網様体 から、新しい皮質へ、視床下部から 古い皮質へ、
それぞれ刺激の信号が送られている。
大脳皮質 に 活を入れ、目覚めさせる働きをしているのが、
眼から入る光、耳から入る音、皮膚の感覚、筋肉の収縮により
刺激、そして、内臓で感じる空腹感などだと、池見博士は述べている。
さて、こうして、脳の働きをみてみると、心の働きと関連ある部位は
脳幹 で生命を維持するための自然的欲求と 古い皮質からの
本能的欲求、新しい皮質から生まれる、人間的な欲求と知性の
バランス、新しい皮質と古い皮質に活をいれる網様体
であるといわれる。
人間が植物のようにただ生きているためには、脳幹から下だけ
あればよいということになり、動物のように本能のままに
生きるのなら、古い皮質から下があればいいということになる。
はたして 理論と実際は、そうであるのかどうか?
脳 の分析によって、魂 というフィールド を
網羅することは難しい。
脳の構造とその働きのみによって、心とは何かを、
定義することは難しい。
池見博士は、そうした意味から、心の3つの働きを、
上に述べた、脳の部位と関連して、以下のように、分類している。
1・脳幹と古い皮質で営まれる心の働きを“こどもの心”と
名付けている。
子供、child の頭文字をとって、Cの心とする。
Cの心の営みで重要な意味をもつ事象として、
ホメオスターシスとふれあいがあるという。
前者ホメオスターシスとは何か?
それは、外部の環境が変わっても人体の内部環境がそれによって、
変わることがないよう、常に一定の 安定した状態を維持する
”生体の巧妙な働き”を意味する。
例をだせば、健康な人間の体温は36度から37度で
安定して保たれている。
夏には、皮膚血管が拡張して、発汗することにより、
体温を発散させて、冬になれば、皮膚の血管は収縮して、
体温の発散を防ぐという自己調節が無意識に行われている。
脳の働きの中で 自律神経とホルモン中枢の 脳視床下部が
その役割を果たしているという。
後者、ふれあい の意味はというと、食欲、性欲、集団欲の
本能的な欲求の一つ。
集団欲といわれる、集団生活を基盤とする生活体系を保とう
とする働きをさす。
続く・・・
池見 酉次郎(いけみ ゆうじろう)博士について:、
大正4年(1915年)6月12日 - 平成11年(1999年)6月25日)
日本の心身医学、心療内科の基礎を築いた草分け的な日本の医学者。
旧制福岡中学(現福岡県立福岡高等学校)、九州帝国大学医学部卒業。
戦後、アメリカの医学が日本に流入した際、心身医学の存在を知る。
昭和27年(1952年)にはアメリカミネソタ州のに留学し、帰国後、日野原重明、
三浦岱栄らと共に昭和35年(1960年)日本心身医学会を設立し、
初代理事長になる。
翌昭和36年(1961年)九州大学に国内最初に設立された精神身体医学研究施設
(現在の心療内科に当たる)教授に就任し、内科疾患を中心に、
心と体の相関関係に注目した診療方法
を体系化、実用化に尽力した。
九州大学医学部名誉教授、自律訓練法国際委員会名誉委員長、
日本心身医学会名誉理事長、
国際心身医学会理事長、 日本交流分析学会名誉理事長などを歴任。
著書に「心療内科」、「セルフコントロールの医学」などがある。
平成11年(1999年)6月25日肺炎のため、福岡市内の病院で死去。84歳。
参考)
”セルフ・コントロールの医学” s・57年9月1日 日本放送出版協会
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