日本歯周外科学会

日本歯周外科学会(会長:伊藤輝夫)より、会員および患者さんへの情報発信のページ

歯科インプラント手術事故を防ぐためにー歯科治療の知識を高めましょうー

2012-01-30 16:23:50 | Weblog

 近年、テレビや新聞紙上で歯科インプラントの手術事故やトラブルが多発しているとの報道がなされています。近代歯科インプラントは30~40年前から欧米を中心に器材、技術ともに開発・改良が重ねられ、生体内の親和性、生物学的安定性など、基礎的、臨床的研究が行われできました。従って、臨床医学的には、歯科インプラント治療は最新の治療法(口腔機能と審美性の回復)として、QOL(良質な生活営む)の面からして、十分満足できる医術です。すでに日本国内で、この10年間に100万人以上の人達が、その恩恵を受け、日々の健やか笑顔とともにグルメ生活と長寿を満喫されています。ではなぜ不快なミスや悲劇的な状況を招くでしょうか?
 先日の歯科インプラントに関する報道の後、インプラント治療を希望される患者さんの多くは「何処の歯科で、どの先生に診てもらったら」安心してインプラント治療がうけられますか・・・?と尋ねられることが多くなりました。では、安全に、安心してインプラント治療を受けるにはどうしたらいでしょうか? そこで、歯科受診の前に、インプラント治療について、心構えと注意点について述べます。

★ご自身のお口、歯の状態を知り、イ ンプラント治療について、歯医者任せにするのでなく、ご自身でインプラント治療はどんな治療なのか、おおよその知識を持つことです。それには患者さん用に、わかり易く、書かれた小冊子を お読みになることです。簡単な 説明書ならば、インプラント治療を行っている医院にお尋ねになられたら、多分無料で頂けると思います。「これなら安心インプラント治療」絵本をご希望の方は、052-851-4180 口腔外科専門医院 アイ・デンタルクリニックへご一報下さい。

☆安価なインプラントを宣伝している医院は注意!
 現在、我が国にで使用されいるインプラント材料は外国製です。国産メーカは数社です。性能的には、やはり開発・研究の歴史がある欧米のインプラント製品が、信頼度が高いように思われます。しかし、国産のインプラント製品も研究・改良が行なわれ、諸外国の一流の製品と遜色のない水準に達しています。しかし、輸入インプラントは高価格(為替変動の影響を受け)ですので、各医院の
使用する材料によって治療費が異なります。一般的は費用としては、インプラント埋入手術と人工歯(セラミックス、ジルコニア)ともに
30~40万円が相場のようです。これらは厚生労働省の承認を得た材料を使用した場合ですが、未承認の輸入材料は低価格で輸入されます。特に韓国製のインプラント材料は安いので、これを使用される医院でのインプラント代は安価です。インプラント費用は
保険の給付外(自費)ですので、患者さんの中には、不自由は保険の「入れ歯」より、安価なインプラントを希望される方は、選択されるのも一法ですが、未承認インプラントの性能と長持ちは、患者さんと主治医の責任に帰する・・・・と思います。


☆上手な(腕の良い)先生にかかること
 昔から「医者を選ぶのも寿命のうち」と言われています。 医者に悪いところを診てもらい、病気を治すには手当が必要になります。日進月歩の医療は専門知 識と医術(技術)の進歩を伴います。即ち、インプラント治療の最新知識を持ち、技術力のある歯 科医を探すことです。近年、内科でも外科でもデジタル化された高度で精密な検査や治療器械が使 用されますが、使い方次第で、不器用で、下手な医者にかかると、凶器に変わります。従って、現 代の医師達は最新知識だけでなく、医療器機(道具)の使い慣れ(経験)、物事に対する取り組む 姿勢、洞察力がなければ一流の臨床医にはなれません。従って、若き研修医達は日夜研鑽に励んで います。中高年の開業医や勤務医たちも、日進月歩の医療技術を収得するため、研修会や学会に参 加して勉強を重ねています。学会の認定症を習得された先生や歯学博士、医学博士をお持ちの先生は、一応信用して、良いと思います。開業医の中には学会や勉強会に参加せず、保険請求点数のみに関心を 持つ研修意欲のない歯科医には診てもらはない方が良いです。また、歯が無くなったら、新しく歯を作る治療に際し、保険の治療と上質の自費治療について,十分に説明して下さる先生は良い先生です。性急にインプラント治療をすすめる先生は・・・・問題です。

☆ 優しいだけでは、歯の治療は上手く行かない
 歯の病気(虫歯や歯周病)の初期治療は、あまり痛くありませんが、病気が進行すると難しい(やりにくい)場合があります。歯肉に注射される時や痛い歯を削る時は誰でも痛いです。先生の優しい言葉や態度は患者にとって、安心感がありますが、無愛想な先生でも、怖い顔をした先生でも技術の上手な先生は、少ない会話で、ポイントをとらえて的確な治療を完成されます。一番重要な点は、口が上手で、優しさだけで、「治療の手抜き」をする先生は最悪です。医者は病気を治すために、治療中に痛い場合は、患者さんに、そのことを伝えて病気を治すために
必要な治療を確り行うことが大切です。歯科治療は先生の技術の上手、下手が少なからず影響します。また、質の高い治療結果を得るためには、患者さんの協力も必要です。口の中の治療は苦痛です。患者と歯科医の共同作業と言っても過言ではありません。最新の歯科治療では、歯科治療に恐怖感があるか方々には
除痛法や鎮静法がありますので、担当医と十分相談したり、複数の先生と相談されては如何でしょう。


☆インターネットホームページの医院広告に騙されるな
 ホームページの医院案内や紹介の目的は、 あくまでも宣伝・広告の域をでません。医院の規模、清潔さは、おおよそ分かりますが、笑顔で映っているスタッフの衛生士さんや助手の女性達、優しそうな院長先生の顔写真など、参考資料としては十分ですが、何時撮った写真か、今でも笑顔のスタッフは勤務しているでしょうか、気になるのは院長先生の経歴です。院長先生の経歴の欄には出身大学、医学博士や歯学博士さどの学歴が書いてあります。この博士号という称号は、大学卒業して大学院に入り4年間教授から与えられたテー マについて研究を積み、その新知見を学会に報告し、学術論文として発表することにより、大学の審査を得て取得されますが、優れた医療技術の有無を証明するものでありません。一般に博士号お持ちの先生の多くは「学問の場で修行」したと言う自負があり、大学を卒業して診療経験の浅いまま開業医になった先生方よりは「プライド」をお持ちですし、真面目に治療され、患者さんの質問に親切に分かりやすく答えて頂けるでしょう。一方、専門医や認定医は、それぞれの所属する学会における研修実績、症例治験例のプレゼンテーションや講演などの評価に対し証明されたものです。臨床医は生涯研修(勉強)が大切です。医療分野は日々進歩していますので、よく学会に出席して勉強される先生であるかを,貴方は見抜けますか?

☆腕の良い先生の見分け方
 これは大変難しい事です。これは近年、歯科医院が過剰で、何時でも何処でも、歯科治療を受けることができます。しかし「診てもらいたい先生」を探すのが大変です。まず、簡単な一つの基準として、「評判の良い」医院ですが、近所の評判はあてになりませ  ん。何故ならば、医院と言う職業以外に、近所のしがらみ、感情的なこと、家庭的なことや近所の 先生に自分の体の病気のことを知られたくない人がいますので、適切な評判を聞くことができませ ん。やはり、治療を受けた人から聞くのが一番良いと思います。次に、初診の際、先生との会話で、優しさ、雰囲気などから、自分と気が合うか(俗に馬が合う)など、人間的に好感が持てるか 否か?・・・。次に、患者として自分に誠意をもって治療に臨んでくれか?・・・治療計画、治療内容、費用について、わかり易く説明して頂けるか、質問に対し納得できる答えが頂けるか?・・・その結果、治療をゆだねる心構えが大切です。

☆優しいそうな先生は腕(技術)が良いか
 歯科の先生方も、いろんは価値観をお持ちの方や口下手 な先生や言葉巧みな先生もおられます。口下手だから腕が悪いとは限りません。口上手な先生、優 しそうな先生でも手荒な治療をされることもあります。大切なことは、手荒な治療と感じることが あっても、必要な治療で、手抜きのないしっかりした治療を行って頂いている・・・との思いは、 信頼感があれば辛抱できるでしょう。

☆歯の治療を皆さんが怖がる理由
 患者さんにとって見えない狭い口の中で治療が行われますので、 何をされるか恐怖と不安でいっぱいです。特に使用される器械器具は先が尖ったもの、切れる道具が殆どです。代表的ものは耳ざわりなタ ービンエンジンの音です。それに唾液を吸引する器具 やお口をあける開口器が加わり、助手の女性が一生懸命に唇を引っ張って治療の助けをします。これは治療を安全に行うために術者が見やすく、器械・器具を操作し易くするためです。もし、患者さんが顔を動かしたり、術者や助手がうっかりすると唇や頬、舌を傷つけることがあるかもしれません。患者さんは治療中、自分の歯を上手に治して頂くために、ただ耐えるしかないで しょうか。苦痛を耐えることは無いです。歯科治療は、歯科医と患者さんの共同作業です。苦しくなったら手を挙げて、先生に知らせましょう、先生と一緒に上質の治療を完成しましょう、手抜きの治療にならないように頑張りましょう。

☆歯科治療を理解しましよう
 自分の治療中を見ることができませんので、感じるしかありません。 先生の手の動きが手荒いか、しっかりした治療を行うため、力が入って手荒く感じるのか、患者さん自身解りません。その答えは、先生が治療行為中に説明があれば納得できますし、治療後、鏡を みながら何をしたか説明を受けることにより、納得できますし、それにより「歯が痛かったのは神経まで虫歯が進んでたから、歯を削って神経を抜いたのか」、「長い時間がかかった!・・・ と経験的学習できます。それにより治療への協力と今後の予防について関心が高まります。また、治療中痛くなりそうな時は、先生は「少し痛いかもしれません、痛いときは手で合図して下さい」 と指示することにより、患者さんは心の準備ができます。その結果、お互いの「信頼関係」が芽生えます。治療は患者さんと医者との共同作業です。気軽に話し合える間柄、この「信頼関係」が最大の絆です。もし患者として、その医者に対して信頼を無くしたら、すみやかに転医すべきです。