居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

年明けからの風呂と酒と麺と

2018-01-23 23:36:50 | 日記
岡山の仕事も落ち着きを見せ、しばらく経った所で最近の話を書いておこうか。

まずは風呂の話。
冬至に福島温泉に柚子湯に入りに行ってきた。
折しも寒波が襲来し気温はかなり低い。
寮から福島温泉まではバイクで30分弱掛かるのでしっかり防寒してバイクに乗る。
帰宅ラッシュの時間帯故に車は多く、小一時間掛かって漸く福島温泉にたどり着く。
駐車場の隅にバイクを止めて、暖簾を潜る。
福島温泉の内装の描写は以前も書いたので割愛。
早速服を脱いで浴室へ。

ふわりと薫る柚子の匂いを楽しみつつ、先ずは身体を流す。
同じ時間に入って来たお爺さんはかなり足が悪いらしく、自分用の高い椅子を持参している。
転んだりしないかと冷々しながら、身体を流し終え柚子湯へ浸かる。
ふぁー、これで後は南瓜でも食えば完璧か。

常連さんたちと他愛ない会話を交わしながら、柚子湯を堪能していると引戸ががらがらと開き一人のデブが入ってきた。
先に断って置くが、俺は体型だけで人を評価しない。
なのに敢えて蔑称を使用する理由はこのデブのここからの行動にある。
先ずシャンプーや石鹸の類いは持参せず、持ち物はタオル一本。
他のお客さんに「シャンプーとか置いて無いんですか?」と聞いているが、番台で買うとかそう言う積もりは一切無いようだ。
この時点で既に蔑称が頭に浮かんでいるが敢えて黙す。
デブは取り敢えず湯で身体を流すつもりなのか、カランに向かうも何と足の悪いお爺さんが置いていた椅子を勝手に使いだす始末。
銭湯でのマナーを論じ始めると、大概結論は「郷に入っては…」で終えるしかないというのが俺的な結論だが、カランの場所取りも云うに及ばず。
混んでいる銭湯ならば、なるべく置きっ放しにしないで隅などに置くが、空いているなら敢えてカラン前に残して上がり湯をそこで使うこともある。
しかし人が置いてあると分かるものを勝手に触るのは、明らかにしてはならない事と思う。
この時点でデブ認定して、注意したお爺さんに切れようものなら俺が前に出る所だが、デブは身体を流すのもそこそこに湯船に浸かり、タオルを湯船に浸けるなどやらかした挙げ句、さっさと出て行った。
ったく、マナーも知らねんだったら二度と町の銭湯来んな。
少しやさぐれた気分を柚子湯でゆっくり散らしてから上がり、寮に帰るまではどうせ飲めないのでフルーツ牛乳を堪能。
しっかり身体を乾かし、代わって番台に座っていたおかみさんに挨拶して暇した。

さてさて気を取り直して2軒目の銭湯は少し離れて尾道市因島最後の銭湯となってしまった寿湯。
因島は極稀に仕事で訪れる事があるのだが、宿泊する所が遠かったので今迄殆ど街に出たことがない。
しかし今や銭湯マニアとなった俺に少々の距離など障害にならぬ。
寒波の中、30分歩こうが我は行く。
グーグル先生のお陰で全く迷うことなく寿湯に到着。
便利な世の中になったものですな。

細い路地の入り組んだ商店街と住宅街が混ざったような土生の町に寿湯はある。
通り沿いの建物脇には薪が高く積まれていて、銭湯であることをアピールしているかのようである。
引戸の様なスイングドアの入口を開けて入店。
靴を脱いで下足棚に突っ込み、脱衣場の椅子に座っていたおかみさんにお金を渡す。
外壁側に木製ロッカーが並んでいるが、2、3個開けてみたが常連さんの荷物が入れっ放しのようで、しかも鍵が使えそうな所もないので脱衣場真ん中に並んで置いてある脱衣籠を使うことにした。

浴室は三間×三間半位の広さで仕切り壁真ん中辺りに縁の厚い浴槽。
仕切り壁側に洗面器が積める程の段になっているのが珍しいか。
お湯は循環ではないようで入浴剤の緑色。
カランで身体を流そうとしたが中々お湯が出て来なかったので、汲み湯で一通り身体を流し、髭を剃ろうとカランに向かい暫くすると漸くお湯が出始めたがこれが熱い。
お湯少しに殆ど水を足して漸く使える温度だ。
さてさて浴槽に浸かるとしよう。
汲み湯で大分お湯が減っていたのだが、常連さんが大カランを開けてお湯を足してくれている、成る程。

この上級者向けのレトロ銭湯をもう少しじっくり楽しみたい所ではあったのだが、今日はもう一つやっておきたい事があるので程々にして切り上げる。
服を着て髪が粗方乾いた所でおかみさんに礼を言って暇する。
さてもう一つの行きたい所が角打ちであるが、グーグル先生が教えてくれたある人のブログで4軒程当たりを付けてある。
北から国貞酒店、柏原酒店、新谷酒舗、木村酒舗の4軒である。
寿湯に向かう道すがら、新谷酒舗が開いてるのは確認しているが誰も中にいなかったので取り敢えず他の店を見るかと北に向かっていく。
程なく柏原酒店前に着くがシャッターが閉まっており、そのまま国貞酒店へ向かう。

すぐに角にある小さな店を見つけ、通りすぎつつ中を確認。
何人か飲んでいるようで一安心、引戸を開けて中に入る。
リーチインからビールを取り出してお金を払いつつ「飲んで行って良いですか?」と聞く。
まあ、他の人が飲んでいるのに「いや帰って下さい」とは言い辛いだろうが、そこ座って飲んでと椅子を勧めてくれた。
チーカマを追加で買い、さっくりと暇する。
締めて350円の一軒目。

一旦、海沿いの県道に出てローソンで焼鳥とゲンコツメンチ、発泡酒を一本買っておく。
これは後の角打ちが空振りに終わった時の保険を兼ねる晩飯の様なものである。

来た道のりを戻るも、新谷酒舗は相変わらず開いている様だが無人で、残る木村酒舗に期待を寄せて南下すると結構大きな酒屋が見えてきた。
店に入って行くと年配の男性3人と女性が一人飲んでいて一安心。
おかみさんらしい人が「飲んでくかい?」と声を掛けてくれる。
これですよ、これ。
こういう懐の広さが角打ちの良い所なんですよ。
一見さんお断りとか、そんな狭量な角打ちなんざ勝手にやってろってなもんですよ。
嫌も応もない、早速発泡酒を一本買って仲間に入れて貰う。
いやあ、楽しかった。
60円のミックスナッツ一袋をつまみに、華鳩の濁り酒2杯を注いで貰いおかみさんにそんなに飲んで大丈夫かと聞かれる始末。
結局閉店の7時半まで楽しく飲ませて頂きました。
今後、因島に行った時の行動がほぼ決定しました。
ここで聞いた所に依ると柏原酒店さんは閉店されたとのことでした。

さてさて少し呑み関係に逸れましたがもう一軒風呂の話。
日々風呂関係のブログを見たり、グーグル先生で検索したり、グーグルマップで探して見たり、銭湯関係のアプリをインストールしてみたりと風呂情報のアプデに余念がない所だが、直島に銭湯があると知ったのは最近の事である。
今まで直島という島の情報として知っているのは、三菱マテリアルの工場かなんかあって、玉野市の沖にあって、瀬戸内芸術祭かなんかでアートの島で売ってる位のもので、風呂があるなどと思いもしなかった。
なんかアートな銭湯があるらしく、グーグルマップでの評判は然程悪くないので、岡山で土日暇してる時に行って見るかと思い立った訳である。

直島への足は玉野市の宇野港から出てるフェリーで20分位で着くらしく午後から行っても楽勝で帰って来れる。
ということでバイクでフェリー乗り場に向かい、往復の乗船券を買い、さて次のフェリーは何分後かなと時刻表を見ると、ものの見事に1時間15分後。
一番間の長い所をピンポイントで突くのが、何とも行き当たりばったりの旅らしくもあるがここらは時間潰す様な所もねえんだよ。
結局フェリー乗り場で携帯で漫画読んで時間潰しましたよ。

さてちょっとした船旅をして、直島宮之浦港に着く。
フェリー乗り場から歩いて行くと、同じフェリーに乗ってたオヤジが背負っていたゴルフクラブの入っている袋を何も考えずに担ぎ直して下さりやがって、適当に袋に突っ込んであったクラブのグリップが俺の目の近くに当たるというアクシデント発生。
物凄く殺意が沸いたが、一応謝っては来たのでスルー。
あそこで要らん一言でも言われていたら今ここでブログなぞ書いてはいられなかっただろう。

フェリー乗り場から直島銭湯I♥湯迄は歩いても2分程。
そのネーミングセンスは如何なものかと思うが、まあ、アートだからね。
外観の写真を二枚程撮って早速中に入る。
入浴料金は510円、自販機で券を買ってフロントに渡すと今貸し切りだよと言われる。
元々銭湯があったんですか?と聞くとやはりアートでこの島を売り出す時に作ったらしい。

掃除が行き届いた脱衣場にもあちこちにアートらしさが感じられ、センターに置かれた床机にも液晶画面が埋まってて、何か海女さんが漁にでる動画が流れてるけど、あれ中学生が見たら風呂入れなくなるよ。
ロッカーは外壁側に整然と並んでいるが、何故かロッカーの番号は整然と並んでいなくて所々入れ替わったりしている。
・・・まあ、アートだからね。

浴室は幅三間、奥行き三間半の中々立派なもので浴槽は奥壁から一間×二間半の堂々たる浴槽だ。
基本白いタイルを基調としており、掃除も行き届いているようだ。
外壁と仕切り壁にシャワー付きカランが5個づつ。
カランの押ボタンの所もアクリルの飾りが付いている。
仕切り壁の上には象が乗り奥壁上側には蛸と海女のタイル絵。
奥壁下側はガラスになって坪庭が見える。
湯気抜き天井はアバンギャルドに色とりどりのペンキで彩色された半透明の素材で浴室はその構造からかなり明るい。
入口側の壁には蓮のモザイクタイル、浴槽底には春画と写真のコラージュが1メートル×3メートル位の大きさで飾られていてその周りを小石タイルが取り巻いている。

完全貸し切り状態なので悠然と身体を流し、髭を剃り、角質落としまでのんびりとしてから浴槽に浸かる。
しかし浴槽の底にとはいえ、風呂場に春画を飾るのはどうかねえ、中学生とか浴槽から出れなくなるんじゃね?
・・・・・・まあ、アートだからね。

客が全然来ないので少し経営的に心配になるが、風呂を堪能した挙げ句、汗が引く迄脱衣場でゆっくりしてフロント前に出る。
コーヒー牛乳を飲んで暇。
グッズ等に一切興味が湧かないので、清々しいまでの切り上げの良さ。
他のアート等にも一切目もくれず一路港へ戻りフェリーの時刻表を見ると50分後。
ええ、ええ、フェリー乗り場で携帯で漫画読みました。

岡山仕事が続く間もう一つの楽しみが麺行脚である。
取り敢えず今の時点で行ったのが備中高松のおおもり、児島のいしはるうどん、福山の一丁とKAZU、そして尾道市のあるラーメン屋である。
一軒名前が出ていないことに、何かあったなと思う人は中々私の事を分かっていらっしゃる。

広島から岡山に向かう途中に寄った一軒。
尾道のラーメン屋は飯時ということもあり、どこも結構並んでいる。
その中で選んだ一軒、グーグルマップの写真を見ても結構旨そうで、然程当てにはしないが評価も低くない。
15分程並んで店に入る事ができ、チャーシュー麺大盛の食券を買って待つ。
丁度厨房からラーメンや料理が出て来るのが見える位置にいたので何とは無しに見ていると、カウンターにいた先客の女の子が蓮華を取り替えてくれと言っている。
どうやら新しいはずの蓮華に葱がくっついていたらしい。
まだこの時点では、そう云う事もあるかレベルである。
そしてその後にあったのが、定食のご飯が厨房から出て来たときに、その盛ったご飯に食券が張り付いていた。
最初は間違いで付いてるのかと思ったが、お運びの女の子は当たり前のように食券を引っ剥がしポケットに突っ込んでご飯を運んで行った。
敢えて間違った用法を用いる、こいつら確信犯だ。
どんなにラーメンが旨くても評価するに値しない。
性根が飲食店を営んで良いレベルに無い。
届いたチャーシュー麺は確かに旨かったが、同時に最低の味がした。
低評価付けてやろうかと思ったが、おそらくは最初から言葉が通じないだろうから止めた。

他の店は良かったですよ。
備中高松のおおもりは肉うどん、普通盛りでも一玉600グラムのうどんはすり鉢に入って出てくるが、美味しいのであっさりと食べれてしまった。
いしはるうどんの肉天ぷらうどんは天ぷらをつゆに沈めるとじゅっと音がするほどの揚げ立てが出てくる。
福山の一丁は今迄食べた尾道系ではかなり上位に入るし、KAZUは黒豚骨は俺的には今一つだがチャーハンが旨かった。

とまあ岡山生活を堪能している有り様でごさいます。
例年の恒例だった新春の所感は特にありません。
敢えて言うなれば色んなしがらみから解放されるのが夢で、解放されたら無理に長生きもしなくて良い位の所まで来れてます。
まあ解放されそうにはないので、今年も無為に生きるのでしょう。







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