居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

年の瀬銭湯行脚、ありがとう清心温泉

2017-12-24 16:08:34 | 銭湯
暫し携帯も使えない所への出張が終わり、漸く帰ってきた。
その出張の帰りがけに鹿児島県は志布志に立ち寄る機会があった。
フリーな時間は殆ど取れなかったが、することは一つだよな。
携帯で付近を検索して見つけたのが安楽温泉である。

7時過ぎに漸く仕事が終わり、取るものも取り敢えず駅に向かう。
日豊本線に続き九州東側を走る日南線の終着駅、志布志の駅前はお世辞にも栄えてるとは言い難い。
複合らしいスーパーと何件かの飲食店の明かりが見えるがタクシーがいない。
いつもならば歩いて行く距離なのだが、電話で確認したところ21時までしか営業していないらしく、歩いて30分は少し忙しない。
幸い駅前道路を渡ると飲み屋街の入口にタクシー乗り場があり、近くですみませんがと安楽温泉までお願いした。

岡留蒲鉾本舗という薩摩揚げの店に併設されているのが安楽温泉。
レジ閉めるから早くと急かすおかみさんに入浴料金400円を払い、ついでに薩摩揚げも買っておく。
ハモ天とすり身のコロッケ、コーンをまぶして揚げた薩摩揚げの3つで485円。
高いように思うが、コーン揚げが200円以上するらしい。
値札つけといてほしいな。

タクシーの運転手さん情報で鍵の掛かるロッカー等は無いそうなので、財布と携帯を預けようとおかみさんに言うと「仕舞っておくから、そこに置いておいて」とレジ後ろの机を示されたので置いておく。
その机のすぐ隣にあるドアをはいると細長い通路にでる。
入って直ぐに貴重品ロッカーがあるが、一つ残らず鍵が故障しているところが愛嬌である。

奥側のドアが男湯の脱衣場の入口だ。
脱衣場は二間四方程の空間で、置かれているのは長椅子と脱衣籠、そして籠を置く棚位のシンプルな空間である。
トイレは有るようだが、詰まるので使用禁止の様で、通路にあるトイレを使用してくれと貼り紙がある。

もそもそと服を脱ぎ脱衣籠を棚に収めていざ浴室へ。
浴室は二間幅の奥が三間位で、中央にドンと浴槽が構える。
入口側半分くらいは透明なので普通の湯かと思いきや水風呂であった。
奥側の少し広い浴槽には赤茶けた色の湯が湛えられており、温泉浴場であることを主張している。
天井まできっちり続いた仕切り壁の入り口側に一坪程のサウナが設えてある。
先客は二人居り、一人は温泉浴槽に浸かり、もう一人はその浴槽の横で寝ている。
一瞬倒れているのかと思ったが、大事な所は隠れており相客も騒いでないので流す。
カランはシャワー付きで10程。
身体を流して早速温泉に浸かることに。
赤茶けた湯は強くは匂わないが、何となく黒湯に近いような気もするし、硫黄の用な気も微かにする。
温度はそんなに熱くなく、のんびり長湯するには良いのかも知れない。
水風呂との仕切り部分に天井からパイプが降りて来て、源泉の湯を出してる様だ。
然程熱くはないのだが結構暖まったので水風呂でクールダウン。
ついでにサウナも覗いておくが、特に言及する特徴は無かった。
温泉浴槽と水風呂を行ったり来たりする内に、相客の一人は上がり寝ていた人も起きてまた風呂に浸かる。
その相客が源泉のバルブを捻り、量を増やすと浴槽の温度が上がって来た。
成る程、ここでは客が好みの温度に調整できるのか。
その相客も上がり最後の一人となって、更に10分程温泉を堪能して上がった。

着替えて蒲鉾屋の方のカウンターに戻ると、おかみさんはまだレジ締めの途中で、俺の財布と携帯は俺が置いた位置から微動だにしていなかった。
おいおい、仕舞っておくとかそういうのは無いの?
まあ元より多くない中身も減ってはいなかったので流す事にする。

駅方向へ戻る道すがら、スーパーで発泡酒を一本ゲットし薩摩揚げを噛じりつつぐびりと。
薩摩揚げは物凄く旨いが、発泡酒が不味い。
ケチらずビールにしとけば良かった。
まあ後は飲みにも行かず弁当買って帰りましたが。

さてさて年の瀬と呼ばれる時節になり、恒例の岡山での仕事が始まった。
岡山と言えば残念なニュースがあった。
11月3日、清心温泉にて火災が発生し、銭湯清心温泉は消失した。
番頭さんは一時入院したものの、既に退院されているとの事である。
街の社交場所として休業から復活し、銭湯に関わる者に取って希望の光条であった清心温泉は正式に廃業となった。
しかしその灯りは消えても、その志は残っているに違いないと、公式ブログを見る度に思う。

今回の岡山での仕事で土日を利用して広島と往復する道すがら、まだまだ未訪の銭湯を抑える事にした。
手始めは遥照山温泉、国道2号線から少し北に離れ、山陽自動車道鴨方インターから3キロ程と場所的にはそれほどハードルは高くないようにも思えるが、営業時間が午前9時から午後4時という普通の銭湯にない営業時間だった。
昼前に広島を出て、一風呂浴びて寮に戻るという計画を立てたが西から雨雲が迫りつつあるらしく天気は今一つ。
雨は降っていないものの雲は低く、いつ降り出してもおかしくない状態だったが何とか県境を越えるまではもった。
2号線を離れ、遥照山への県道に入ったところでポツリと降りだしたが、程なく到着。
取り敢えず写真を撮って、雨が酷くなるようならば風呂は諦めて次回にするかと思ったが、レインスーツもあるにはあるのでさっさと一風呂浴びることにした。
さっさとと書いたが、何せ5時間近くバイクに乗る格好である。
上も下も5枚の重ね着に加えて、リストバンドやネオプレンのソックス等脱ぐだけでも大変である。
何とか一通りロッカーに押し込んで、浴室へ。
円形に近い建物の一部が浴室になっており浴槽が一つ、カランは壁際に別れて10個弱。
ラドン泉らしくお湯は無色。
カランで身体を流し、浴槽へ浸かる。
少し温めだが、冷えていた体に心地好い。
少し長湯をして体を暖めたあと、脱衣場でしっかり頭を乾かしてまた重ね着。
レインスーツの着用を覚悟して外に出るが、止んでいたので取り敢えずそのまま出発。
猫や狸を見かけたりしながら、山道を駆け降りて一路寮に向かう。
最後の30分小雨に降られたが、何とか無事に寮に着いた。

さて、寮で土日を過ごす時は、昼飯は岡山周辺でうどんやラーメンを食いに行くことが通例だが、その帰り道で清心温泉を見に行った。
正面玄関側の壁と焼鳥スペースは残っている感じだが、少し横に回ると屋根部分の炭化した梁が見える。
いずれは取り壊されて、新たなる街の風景となるように変わって行くのだろうが、その前に見ることが出来た。

夕方岡山で仕事が終わり、その足で広島に向かう場合は尾道の寿湯が定番だったが、以前のブログにも書いたように休業されている。
ちなみに明るい内に尾道を通った時に寿湯の建物は現存しているのを確認済みである。
他に確認に行った銭湯の類いは、忠海の石風呂温泉岩乃屋。
同じく忠海の旭湯こと吉田浴場。
そして岡山では西大寺の柳湯の3軒。
岩乃屋は母屋の旅館を改装している模様。
忠海東町の吉田浴場はミクシィのトピックで情報を得た所だが、まったくのノーマークだった。
住宅街の中に煙突こそ無かったものの、銭湯部分の建物はしっかりと残っており、良い雰囲気を醸し出していた。
西大寺の柳湯は清心温泉を見たその続き、折角なので西大寺駅前のサンドイッチハウスマミーでウェスタンサンドを一つ持ち帰りした後に立ち寄った。
入り口脇に銭湯横を流れる川に続く雁木があるのは、関西の激渋銭湯で見た通り。
建物も綺麗で今も営業しているかの様な佇まいであった。

休業の寿湯に代わりに選んだのが福山のだいご湯である。
実は福山には友人がおり、スーパー銭湯系は殆ど行っているがレトロ系は未発掘だったのだ。
折しも寒波が襲来しかなり着込んでいても末端からじわじわと寒さが体に凍みて行く。
時間が悪かったのか、鋼管道路の大渋滞に巻き込まれ漸くだいご湯前に辿り着いた時はすっかり冷えきった所だった。
関西の激渋銭湯である程度の予備知識は持っていたものの、実際入ると面食らう程の変わり種であった。
両脇にショーケースがある間口に男女別の入り口はあるが中は繋がったロビーの様な造り。
そしてロビーの奥にこちら側を向いた番台があり、その両脇にカーテンが下がりその奥が脱衣場だ。
脱衣場は縦に細長く、外壁側にロッカーが並んでいる。
例の如く重ね着をロッカーに押し込んで、いそいそと浴室へ。
浴室の引戸正面はいきなり壁があり仕切り壁側にオフセットして奥に続く。
仕切り壁入口側に謎のドアがあるが今は使ってないようだ。
仕切り壁側に浴槽、オフセットした外壁にカランが6個位。
奥壁にサウナの入口があり、事前に得た情報ではその奥に水風呂があるそうだ。
取り敢えず身体を流し、いつもはあまり入らないサウナに入る。
一坪強のサウナの壁は小石タイルが貼られ渋い雰囲気だ。
暖かくなってきた所で奥の水風呂スペースを見聞。
半露天なので結構寒いがサウナから直行なら丁度良いのか。
水風呂にさっと浸かってサウナに戻ると相客が増えていたので浴室へ戻り浴槽に浸かる。
黒いタイルで縁取られた深浅の浴槽は少し熱めで心地好い。
ゆっくり暖まり、体の芯が暖かくなった所で上がり、汗をかかないようゆっくり着替えて暇した。
しかし偶々そういう時間帯だったのか、30分程の入浴だったが相客の彫物率が8割越えは初めてである。
後はどこかでラーメンでも食べて2時間掛けて帰るだけ。

こんな感じでこの寒さの中、銭湯行脚を続けています。
後はうどんラーメン行脚もネタが貯まってきたからそろそろ書かないとな。


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