寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
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(第3521話) 農は国の元

2023年07月10日 | 意見

 “先日、ようやく田植えが終わった。ほとんどのものを輸入に頼っている日本。コロナ禍と長引く戦争の中で、せめて自分たちが食べるものぐらいは、自分たちで作らないといけないのではないか、という気持ちが高まって作業を行う。しかし、田植えは大変だ。その大変さを感じてか、今年は大学生の娘までもが田植え機に乗り、家族総出で作業した一大行事であった。
 そんな中、気になる記事をネットで見つけた。水田のカエルの鳴き声がうるさいという苦情だ。確かに田んぼに水を張れば、カエルが一斉に鳴きだす。本当にびっくりするぐらいだ。でも、それが「平和の証し」だと私は感じる。
 最近は、後継者不足ということで水田を手放す人が増えている。住宅が建てば、カエルの鳴き声もなくなるが、生産高も減ってしまう。カエルが減るような農薬を撒けば、おのずと米にも影響が出る。先述の苦情を言う人は、今後いったい何を食べていくのだろうかと考えてしまう。
 いま一度、農作業を理解していただきたい。人間は食べなければ生きていけない。細い苗がだんだんと緑の葉を伸ばし、そよ風になびく。秋になると稲穂が垂れ下がる。どうか稲が育っていく過程を五感で楽しんでほしい。勿論、カエルも含めて。”(6月18日付け中日新聞)

 愛知県岡崎市のパート・岩月さん(女・53)の投稿文です。これからの日本の食糧問題は大きなものがあると思う。食糧自給率を挙げようといろいろ施策されてもなかなか上がらない。先進的に集約され、工場のような農業もある。でも農業従事者の高齢化、減少、更に田畑の減少はそれを上回っているだろう。
 ボクは都市化されてきたと言っても、まだ田畑の中に住んでいる。田は数人の専業者によって維持されているが、畑は高齢者の自家用野菜の栽培で、市場に出すようなものはほとんど作っていない。ボクがその見本である。そして、その高齢者ができなくなるともう耕作放棄地である。これが近郊農業の実態ではなかろうか。山間地も同じか、それ以上であろう。人は自分の周りしか見ていない。それがこのカエルの鳴き声がうるさいという人であろう。カエルの鳴き声が聞こえるのはまさに平和の証しである。


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