寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3258話) 声かけ

2022年01月11日 | 出来事

 “それは、娘が七人ほどの人から優しい声かけと優しい気持ちをいただいた、十五分ほどの間の出来事でした。東京ドームの最寄り駅、地下鉄の後楽園駅。祝日の午前十時ごろ、ホームに下りる階段を踏み外し、階段を下りた所で足を伸ばして座っていた。すると、電車から降りてきた三十代ぐらいのカップルが「大丈夫ですか、駅員さん呼びましょうか?」と声をかけてくれた。ただの捻挫と思っていたのと、少しは歩くことができたので「大丈夫です、ありがとうございます」と返事をした。
 優しい声かけが二分おきぐらいに繰り返され、最後の人は駅員さんを呼んでくれた。二人の駅員さんは車いすを引いて来てくれた。「大丈夫です」と立ち上がると「途中の駅でも何かありましたら声をかけてください」と言ってくださった。自力で帰ったものの、整形外科を受診したら足の小指を骨折していた。以来、外出禁止。テレワークが定着していたのが幸いだった。
 東京に住む娘が、ラインと電話で伝えてきた一部始終だ。多くの人から優しい声かけをいただき、親の私は心の中で泣いた。コロナ禍で何かと我慢を強いられる日々でも、都会の雑踏を行き交う人たちの心は、こんなにも優しいという小さなお話です。”(12月21日付け中日新聞)

 名古屋市の主婦・西上さん(74)の投稿文です。2021年9月19日の「話・話」 「(第3302話)親切の3連続」で同じような話を紹介しています。今回は7連続です。階段を踏み外し休んでいたら、15分くらいの間に7人から声をかけられた。人はこんなにも優しいのかと、感激の投稿文です。困っていても皆素通りしていく、冷たい社会になったものだと嘆く話も多い。この違いは何であろう。その時の状況による運であろうか。
 第3302話でボクの捉え方を書いているので、今回は少し見方を変えます。こうした親切を受けた時、どうすればいいのか。西上さんの娘さんはお礼だけ言って断られた。乗り物で席を譲られた時、断る話も多い。そんな歳じゃない、と言って憤慨される話もある。実は声をかける方も、かなりの勇気を持って話し掛けられているのである。状況にもよるが、ボクはできるだけ素直に受けた方がいいと思っている。その方が声をかけた方も、好意を受け入れられ気持ちが良くなる気がする。ボクは「ありがとう」と言って素直に受けることにしている。


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