寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2617話) 弁当

2018年05月21日 | その他

 “私が中学生の時、家の隣に駐在所ができ、本署勤務で駐在業務も兼務する刑事さんが赴任されました。この方は私が高校生のころ、本署勤務のみになり、市の中心部につながる幹線道路沿いに転居されました。
 高校に通うのに私を含め皆その道路を通りました。警察署は市の中心部に近い幹線道路沿いにあり、月に一度か二度、刑事さんの奥さんに、「夫に弁当を届けてほしい」と頼まれました。私が家の前を通るころを見計らって、門の前で呼び止め弁当を渡されます。届けるだけなら別に何とも思わないのですが、嫌なのは届け先が警察署だということです。
 ちょうど通学の時間帯。多くの男女高校生が自転車で登校しているときです。署の前に自転車を止め、中に入っていく姿を変な目で見られているような気がします。友達からも「おまえ、何か悪いことをして、警察に呼び出されたのか」などと言われました。内心では、その奥さんに「もう少し早く起きて、出勤に間に合うよう、弁当を作ればいいのに」と思ったものでした。
 そんな忘れもしない思い出のある、その刑事さんの長女が、今の私の妻です。”(5月3日付け中日新聞)

 愛知県春日井市の生方さん(男・75)の投稿文です。小説のように思いがけない結末に、嬉しくなって紹介した。人生、何がどうなってどうなるか分からないもの、人間万事塞翁が馬である。ひょっとして刑事さんの奥さんは、こうなることを願って仕組まれたのではないか、聞いてみたいものだ。いや、読むほどにそんな気がしてくる。月に1、2度である。何も隣の高校生に頼むことはない。届ける方法はいくらでもある。奥さんにしてみれば、してやったりではなかろうか。
 人の出会いは全く面白い。思い出せばいろいろあるが、ボクの最近の出来事を紹介してみる。ボクは今年度から千秋歩こう会の役員を務めている。支部長がボクの他に3人いる。ところがこの3人の配偶者、又本人が妻の以前からの知り合いであったのだ。一人の人の奥さんは公民館役員で、もう一人の奥さんはPTA役員で、もう一人は女性で本人だが、その人とは料理教室で一緒であったのである。そこへ遅がけにボク一人がのこのこ加わるのである。こんなことを知れば当然のようにすぐ親しくなる。まさに女房の功績である。これも出会いである。誰が仕組んだのか知らないが、人生の妙である。生方さんも仕組まれたのである。奥さんか、神様か知らないが・・・・。


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