“猛暑だった夏も、いつしか夜の虫の音を聞く頃となりました。昨年暮れ、急に夫を亡くし、その上この暑さで、老いた身には苛酷なつらい日々でした。私には2通の大切な手紙があります。1通は父からで、27年前に亡くなる前の一時退院の時のものです。、「紗代子殿 誕生日お目出度う。今年は洋菓子はやめます。その代わりとして券を入れてあります。旅行の足しにしてください」。券はお札でした。入院中にわずかな年金からためたお金です。もったいなくて封筒に入れたままです。
もう1通は2年前、夫からです。「紗代ちゃん、84歳誕生おめでとう。これが最初で最後になるかもしれないかも? 結婚62年 良くこれまでありがとう 2021年1月2日」と茶封筒の表に書かれ、中にお小遣いが入っていました。今まで直接手渡しで「好きな服や化粧品の足しに」と祝ってくれたのに、手紙は初めてのことでした。
父にしろ、夫にしろ、心から愛されていたことに、いつも以上に胸を打ちました。2通の手紙に因縁のようなものを感じ、大切に保管しております。夫との「2人で米寿を元気で迎えよう」との約束はかなえられませんでした。私が頑張って米寿を迎えられた時、仏前に赤飯を供えられるようにと、心から願ってます。”(10月15日付け中日新聞)
愛知県高浜市の主婦・加藤さん(86)の投稿文です。お父さんとご主人から、亡くなる少し前の手紙です。こんな手紙を娘や妻に出すのだろうか、ボクに信じられないくらいの話である。内容もさることながら、紗代子殿、紗代ちゃんと言う呼び方もにもビックリである。そういう家族関係だったのだ。これはもう家系ではなかろうか。
こういう文を読むと、ボクの至らなさ、と言うか優しさに欠けていることを思う。妻は毎日のように、何かの不調を言っている。今こそ、もっと優しくせねばと思う。妻とは人の話をしながら、自分達は夫婦が揃っていることをありがたく思う話がよく出る。2人揃っている今こそである。生、老、病、死、人間4苦の内3つはこれからである。これからが本番である。心がけたい。
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