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てらまち・ねっと



 1カ月ほど前、10月23日に出された最高裁判決。
 生活保護の受給者へのいじめ的な行為が時に指摘されるが、その関係で、明確にした判決。
 事件は
 ★《京都市は6年前、生活保護を受給していた男性に対し「仕事の収入を月額11万円まで増やせ」と書いた「指示書」を渡したうえで、実際には口頭で求めていた所有する車の処分に応じなかったことなどを理由に生活保護を打ち切りました。》(NHK)

 これに対する最高裁判決は次。
 ★《生活保護法62条3項に基づく保護の廃止の決定に先立ち,被保護者に対する同法27条1項に基づく指示が書面によって行われた場合において,当該書面に記載されていない事項が指示の内容に含まれると解することはできないとされた事例》

 単純に言えば、処分は理由を明確に示さなければならないとの大原則、に立つともいえる。

 最高裁はこういういい判決も出す。
 そして、来週26日は、大法廷の「参議院選挙の無効」についての判断が示される。
   ◆最高裁判決は11月26日/一票の格差で選挙無効も/「恐怖のシナリオ、ターゲットは参院か(産経)」

 ところで、今日は午前中は議会運営委員会の会議、加えて「新しい風ニュース」の作成と印刷、明日22日23日と名古屋で「選挙講座」を開くのでその資料の作成、と忙しい。
 それでも、早朝は0.5度の気温の中ノルディックウォークに出かけた。

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●“生活保護打ち切り理由は書面明記必要”最高裁
         NHK 10月23日 19時27分
生活保護の受給者が行政側が口頭で求めた指示に応じなかったことを理由に保護を打ち切ったことを巡る裁判で、最高裁判所は「受給者への指示は書面で伝えなければならず、書面に書かれていない指示を打ち切りの理由にできない」という判断を示しました。

京都市は6年前、生活保護を受給していた男性に対し「仕事の収入を月額11万円まで増やせ」と書いた「指示書」を渡したうえで、実際には口頭で求めていた所有する車の処分に応じなかったことなどを理由に生活保護を打ち切りました。

これに対し、男性は裁判を起こし、「車の処分は指示書に書かれておらず、打ち切りは不当だ」と主張していました。

これについて、最高裁判所第1小法廷の櫻井龍子裁判長は23日の判決で、「事前に指示書を交付するのは行政の恣意的(しいてき)な運用を抑制し、受給者が指示の内容を理解しないまま不利益な処分を受けるのを防ぐためだ。指示書に書かれていないことを生活保護を打ち切る理由にはできない」と判断し、男性の訴えを退けた2審に審理のやり直しを命じました。

生活保護の受給世帯数が過去最高を更新するなか、受給者の自立を促すことは行政の大きな課題となっていますが、23日の判決は、自立が見込めると判断した受給者には事前に書面という明確な形で指示を伝える必要性を示すものとなりました。

最高裁判所が審理のやり直しを命じたことを受けて男性側の石側亮太弁護士は「最高裁の判断は常識的で生活保護行政に与える影響は大きいと思う。実現不可能なことを求める行政に対して警鐘を鳴らすもので、やり直しの裁判では適切な判決になると確信している」と話しました。

生活保護の「指示書」とは
今回の裁判で問題となった「指示書」は行政側が自立が見込めると判断した受給者に収入を増やしたり生活の仕方を改善したりするよう指導するために渡す文書です。
その内容に従わなかったり、努力が見られなかったりした受給者に対しては生活保護の打ち切りや支給額の変更をすることができます。
厚生労働省によりますと、平成24年度に全国で4万444枚の指示書が受給者やその世帯に交付され、このうち3916世帯で生活保護が打ち切られたということです。
 
★  生活保護法
(指示等に従う義務)
第62条 被保護者は、保護の実施機関が、第30条第1項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養獲を委託して保護を行うことを決定したとき、又は第27条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
2 保護施設を利用する被保護者は、第46条の規定により定められたその保護施設の管理規程に従わなければならない。
3 保護の実施機関は、被保護者が前2項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。

(指導及び指示)
第27条 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第1項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

● 判決の要旨
平成25(受)492 事件名  損害賠償等請求控訴,同附帯控訴事件
裁判年月日 平成26年10月23日 法廷名  最高裁判所第一小法廷 判決 結果 破棄差戻

原審裁判所名 大阪高等裁判所 原審事件番号  平成24(ネ)128  平成24年11月9日

裁判要旨
 生活保護法62条3項に基づく保護の廃止の決定に先立ち,被保護者に対する同法27条1項に基づく指示が書面によって行われた場合において,当該書面に記載されていない事項が指示の内容に含まれると解することはできないとされた事例

● 判決 全文
 平成25年(受)第492号 損害賠償等請求控訴,同附帯控訴事件
 平成26年10月23日 第一小法廷判決

主 文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由
上告代理人石側亮太の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)
について
1 本件は,生活保護法に基づく保護を受けていた上告人が,その居住地を所轄
する京都市伏見福祉事務所長(以下「処分行政庁」という。)から,生活保護法施
行規則19条により書面によって行われた同法27条1項に基づく指示に従わなか
ったとの理由で同法62条3項に基づく保護の廃止の決定(以下「本件廃止決定」
という。)を受けたことにつき,本件廃止決定はその指示の内容が客観的に実現不
可能なものであるから違法であるなどとして,被上告人に対し,国家賠償法1条1
項に基づく損害賠償を求める事案である。

2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 上告人は,昭和61年以降,自宅において,取引先から受け取る白地の反
物に手描きで柄を付ける手描き友禅の請負業務(以下「本件請負業務」という。)
に従事している。

(2) 上告人は,平成6年,小型自動車を代金約100万円で購入し,現在に至
るまで本件請負業務等に使用している(以下,これを「本件自動車」という。)。
- 2 -
(3) 上告人は,平成8年1月5日,処分行政庁に対し,生活保護法に基づく保
護の開始の申請をし,処分行政庁は,同月23日,保護の開始の決定をした。処分
行政庁は,上記の決定に当たり,事業用資産として本件自動車の保有を認めること
とした。

(4) 上告人の収入は,必要経費を除き,平成8年1月の時点で月額約13万円
であったが,同12年以降はおおむね月額約2万円ないし6万円であった。

(5) 処分行政庁は,平成18年5月24日,上告人に対し,生活保護法27条
1項に基づく指示を記載した書面として,「指示の内容」欄に「友禅の仕事の収入
を月額11万円(必要経費を除く)まで増収して下さい。」と,「指示の理由」欄
に「世帯の収入増加に著しく貢献すると認められたため平成18年2月以降自動車
の保有を容認していたが既に3箇月が経過したものの,目的が達成されていないた
め。」と,「履行期限」欄に「平成18年7月末日」とそれぞれ記載した書面(以
下「本件指示書」という。)を交付して,同書面による指示(以下「本件指示」と
いう。)をした。

(6) 処分行政庁は,平成18年9月1日,上告人に対し,決定の理由を「指導
・指示の不履行」と記載した書面を交付して,本件廃止決定をした。

3 原審は,要旨次のとおり判断して,本件廃止決定に違法はないとして,上告
人の請求を棄却すべきものとした。
(1) 処分行政庁は,上告人の収入の大幅な減少により,事業用資産として本件
自動車の保有の継続を認めることが困難になったため,上告人に対し,本件請負業
務で増収を図るか又は本件自動車を処分するかのいずれかの対応を採るよう再三口
頭で指導し,上告人はその指導の内容を理解していたこと等に加え,本件指示書に
- 3 -
記載された指示の理由も併せ考慮すると,本件指示は,上告人が本件自動車を事業
用資産として保有し続けることを前提としてされたものであり,その指示に係る増
収を達成することができない場合でも,本件自動車を処分すれば直ちに保護の廃止
がされるものではないことも含んだものであったといえる。

(2) 本件指示の内容を上記(1)のように解すると,月額11万円(必要経費を除
く。以下同じ。)への増収は,本件自動車を保有し続けるために求められるものに
すぎないから,仮に上記の増収が著しく困難であったとしても,本件自動車を処分
すれば本件指示に従ったことになるので,本件指示の内容が客観的に実現不可能又
は著しく困難であったとまではいえない。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。

(1) 生活保護法62条1項は,保護の実施機関が同法27条の規定により被保
護者に対し必要な指導又は指示をしたときは,被保護者はこれに従わなければなら
ない旨を定め,同法62条3項は,被保護者がこの義務に違反したときは,保護の
実施機関において保護の廃止等をすることができる旨を定めている。そして,生活
保護法施行規則19条は,同法62条3項に規定する保護の実施機関の権限につ
き,同法27条1項の規定により保護の実施機関が書面によって行った指導又は指
示に被保護者が従わなかった場合でなければ行使してはならない旨を定めていると
ころ,その趣旨は,保護の実施機関が上記の権限を行使する場合にこれに先立って
必要となる同項に基づく指導又は指示を書面によって行うべきものとすることによ
り,保護の実施機関による指導又は指示及び保護の廃止等に係る判断が慎重かつ合
理的に行われることを担保してその恣意を抑制するとともに,被保護者が従うべき
- 4 -
指導又は指示がされたこと及びその内容を明確にし,それらを十分に認識し得ない
まま不利益処分を受けることを防止して,被保護者の権利保護を図りつつ,指導又
は指示の実効性を確保することにあるものと解される。このような生活保護法施行
規則19条の規定の趣旨に照らすと,上記書面による指導又は指示の内容は,当該
書面自体において指導又は指示の内容として記載されていなければならず,指導又
は指示に至る経緯及び従前の指導又は指示の内容やそれらに対する被保護者の認
識,当該書面に指導又は指示の理由として記載された事項等を考慮に入れることに
より,当該書面に指導又は指示の内容として記載されていない事項まで指導又は指
示の内容に含まれると解することはできないというべきである。

(2) これを本件についてみるに,前記2(5)のとおり,本件指示書には,指示の
内容として,本件請負業務による収入を月額11万円まで増収すべき旨が記載され
ているのみであり,本件自動車を処分すべきことも指示の内容に含まれているもの
と解すべき記載は見当たらないから,本件指示の内容は上記の増収のみと解され,
処分行政庁が上告人に対し従前から増収とともにこれに代わる対応として本件自動
車の処分を口頭で指導し,上告人がその指導の内容を理解しており,本件指示書に
も指示の理由として従前の指導の経過が記載されていたとしても,本件自動車の処
分が本件指示の内容に含まれると解することはできないというべきである。


5 以上のとおり,原審の前記3の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らか
な法令の違反がある。論旨はこれと同旨をいうものとして理由があり,原判決は破
棄を免れない。

そして,生活保護法27条1項に基づく指導又は指示の内容が客観的に実現不可
能又は著しく実現困難である場合には,当該指導又は指示に従わなかったことを理- 5 -
由に同法62条3項に基づく保護の廃止等をすることは違法となると解されるとこ
ろ,本件指示については,その内容が,本件請負業務による収入を月額11万円ま
で増収すべきことのみであることを前提に,客観的に実現不可能又は著しく実現困
難なものであったか否か,すなわち,本件指示に従わなかったことを理由にされた
本件廃止決定が違法となるか否か,また,仮に本件廃止決定が違法となる場合に,
これが国家賠償法上も違法と評価されるか否か等について審理を尽くす必要があ
る。そこで,以上の各点について審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこ
ととする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 横田尤孝 裁判官
白木 勇 裁判官 山浦善樹)


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