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 福井地方裁判所が、福井県高浜町の関西電力高浜原発3、4号機の再稼働禁止を命じた。原発の運転を即時に差し止める初の司法判断。
 申立人の代表は、ずっと以前から一緒に勉強会などをやってきたり、選挙の応援などにも行ったことがある、親しい福井県敦賀市議の今大地(こんだいじ)晴美さん。
 日本一の原発の町・敦賀市、つまり原発がらみの仕事、恩恵を受ける人が多い中で、「原発反対」をいうことの大変さは容易に想像できる。
 しかも、今度の日曜日が自らの選挙の告示なのに大変なこと。
       ⇒  はるみのちょっとTea-time /高浜仮処分決定の長い1日 2015-04-14

 ともかく、全国初の司法判断を確認した。「NPJ(憲法・人権・秘密保全法制を中心に情報発信を行う市民メディア)の判決要旨を要約してみる。
 ブログの後半には、それより長めの要約。その次には、福井新聞の判決要旨(分かりやすい見出しになっているから)を記録しておく。

 ★NPJ《1 基準地震動である700ガルを超える地震について
基準地震動を超える地震はあってはならない・・・しかし、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来している・・・本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。》

 ★NPJ《2 基準地震動である700ガル未満の地震について
本件原発の運転開始時の基準地震動は370ガルであったところ、・・・新規制基準の実施を機に700ガルにまで引き上げられた。原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げるという対応は社会的に許容できることではない・・・基準地震動である700ガル未満の地震によっても冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険が認められる。》

 ★NPJ《3 冷却機能の維持についての小括
日本国内に地震の空白地帯は存在しない・・基準地震動を超える地震が高浜原発には到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険である。》

★NPJ《4.使用済み核燃料について
深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない》

 ★NPJ《5 被保全債権について
本件原発の脆弱性は、①・・②・・③・・④・・という各方策がとられることによってしか解消できない・・・原子力規制委員会が策定した新規制基準は上記のいずれの点についても規制の対象としていない。・・・地震が人間の計画、意図とは全く無関係に起こるものである以上、かような規制方法に合理性がないことは自明である。・・・新規制基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。しかるに、新規制基準は上記のとおり、緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠くものである。》

★NPJ《6 保全の必要性について
本件原発の事故によって債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、また、原子力規制委員会の設置変更許可がなされた現時点においては、保全の必要性も認められる。》

 分かりやすい。
 このブログの関連記事は、
 ★2015年3月13日 エントリー ⇒ ◆高浜原発差し止め 月内判断か 福井地裁/反原発住民、差し止め期待

 ★2014年5月22日 エントリー ⇒ ◆大飯再稼働、差し止め命じる 生存と電気代、同列許さず/(巨大)地震が来ない根拠はない )

 なお、ブログの4月14日のアクセス数は、「閲覧数 4361」「訪問者数 1392」だった。

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●高浜原発の再稼働認めず 福井地裁が仮処分
       2015年4月14日 夕刊
 福井県や京都府などの住民ら九人が関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、福井地裁は十四日、住民側の主張を認め、再稼働差し止めを命じる決定を出した。原発の運転差し止めを認める仮処分決定は全国で初めて。仮処分はすぐに効力が生じるため、関電の異議申し立てなどで決定が覆らない限り、二基は再稼働できない。

 高浜3、4号機をめぐっては、原子力規制委員会が今年二月、再稼働の前提となる原発の新規制基準に適合していると結論。関電は福井県の地元同意などを経て、早ければ今年十一月の再稼働を目指していたが、司法が原発の稼働を止める形となる。今回の判断で計画の見直しを迫られるのは必至で、審査を担った規制委のあり方が問われる可能性もある。

 裁判長は昨年五月に福井地裁で大飯原発3、4号機(同県おおい町)の差し止め判決を言い渡した樋口英明氏。四月一日付で名古屋家裁判事に異動したが、福井地裁の判事務職務代行の辞令を受け、今回の決定を出した。関電側は異議を申し立てるとみられる。

 再稼働をめぐる審尋では、住民側は「福島事故のような危険が万一にもある原発の是非について判断するべきだ」と主張した。関電側は「危険が内在するのを前提に、顕在化しないように管理できるかを判断してもらいたい」などと反論。審尋は三月十一日に結審したが、関電側は「審理が十分に尽くされていない」などとして、樋口裁判長ら裁判官三人の交代を求める忌避を申し立てていた。

 原発の新規制基準は東京電力福島第一原発事故後を受けて策定された安全指針。規制委のこれまでの審査で、高浜3、4号機のほか、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が新基準を満たしているとされた。

 川内3、4号機でも周辺住民が運転差し止めを求める仮処分を申し立てており、鹿児島地裁は今月二十二日に可否の決定を出す予定。

 <高浜原発> 1~4号機全てが加圧水型軽水炉(PWR)で、事故のあった東京電力福島第一原発(福島県)の沸騰水型軽水炉(BWR)とは異なる炉型。3、4号機はいずれも出力87万キロワットで、1985年に運転を始めた。70年代半ばに運転を始めた古い1、2号機(ともに出力82万6000キロワット)について、関電は40年を超える運転延長を目指し、3月に原子力規制委員会に審査を申請した。

●高浜再稼働差し止め、原告「最高の内容」 自治体反発も
          朝日 2015年4月15日
 「原子炉を運転してはならない」。福井地裁は14日の仮処分決定で、福井県高浜町の関西電力高浜原発3、4号機の再稼働禁止を命じた。原発の運転を即時に差し止める初の司法判断に、申し立てが認められた住民らは喜びにわいた。一方、再稼働に期待する地元自治体からは反発の声が上がり、戸惑いが広がった。

高浜原発再稼働を差し止め 福井地裁が仮処分決定
 仮処分決定が申立人側に伝えられた直後、申立人代表で福井県敦賀市議の今大地(こんだいじ)晴美さん(64)らが、福井地裁の入り口から笑顔で駆け下りてきた。

 「司法はやっぱり生きていた!!」。勢いよく幕を掲げると、関西や九州などから駆けつけた約150人の支援者から「おめでとう」「よく頑張った」と歓声と拍手がわいた。弁護団共同代表の河合弘之弁護士は、「最高の内容」とひときわ大きな声をあげた。

 申立人らは近くの会場で記者会見に臨み、「最大の特徴は(福島原発の事故後に原子力規制委員会がつくった)新規制基準の不備を厳しくつき、無効性を明らかに宣言したこと」とする声明文を読み上げた。河合弁護士は「原発の規制基準を作り直すところから出直せというのが裁判所のメッセージだ」と指摘した。同じ弁護団共同代表の海渡雄一弁護士は「宝物のような決定だ」と笑顔を見せた。

 「喜んでくれていると思う」。申立人副代表を務める大阪府高槻市の水戸喜世子さん(79)は、記者会見で夫の遺影を掲げ、声を震わせた。芝浦工業大教授だった夫の巌さんは「脱原発」の草分けとして知られ、各地の訴訟で「原発事故は広い範囲に被害を与える」と証言してきた。

 水戸さんは福井地裁が昨年5月に関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じた裁判の原告でもある。樋口英明裁判長が判決で「原発の危険性の本質、その被害の大きさは福島の原発事故で十分に明らかになった。危険性の判断を避けることは裁判所の責務の放棄だ」と述べたことに胸を打たれ、中国語や韓国語などに翻訳してネットで発信した。

 しかし、関電は判決を不服としてすぐに控訴。再稼働に向けて手続きを進める姿勢が許せず、今回の仮処分の申立人になった。「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」。元京都大助手で物理学者でもある水戸さんは力を込める。

 弁護団の中には表情を引き締める人もいた。福井地裁前で喜ぶ支援者らの輪にいた地元の笠原一浩弁護士(39)は「戦いはこれから」と話した。

●「川内も続けば国動く」 22日の鹿児島地裁判断に原告側期待
         日経 2015/4/15
 関電高浜原発の運転を差し止めた福井地裁の決定を受け、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働差し止めを求めた仮処分を申請している住民側の弁護団は14日、記者会見した。団長の森雅美弁護士は「川内でも続けて同じ判断が出れば、国の原発政策を見直す大きな要素になる」と語った。

 「原発なくそう!九州川内訴訟」原告団・弁護団は声明で「福井地裁の科学的・理性的な判断を高く評価する」と言明。基準地震動を超える地震や冷却機能の維持、使用済み核燃料などに関する福井地裁の判示は川内原発にも当てはまるとした。鹿児島地裁は仮処分の可否の決定を22日に出す予定だが、「川内原発1、2号機についても(高浜原発と)同様の判断が下されることを確信する」としている。

 停止中の川内原発は再稼働に向けた原子力規制委員会による新規制基準への適合審査を昨年9月に終え、地元の同意も得た。九電は7月の1号機再稼働を目指している。

 鹿児島地裁への仮処分申請では(1)地震対策が十分かどうか(2)火砕流による危険性の有無(3)避難計画の実効性――が争点になっている。

●【高浜原発仮処分】 東電、九電などの他の原発訴訟に影響も 
       産経 2015.4.14
 福井地裁による関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転差し止めの仮処分決定は、ようやく具体化の兆しが見えてきた原発再稼働のハードルとなることが懸念される。福井地裁の仮処分決定が、各地で係争中の原発をめぐる同様の訴訟にも影響し、地元自治体などの再稼働への反発が強まる可能性もある。(宇野貴文)

 脱原発弁護団全国連絡会のホームページによると、原発をめぐる同様の訴訟は全国で二十数件が係争中。東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)をめぐっても、新潟地裁で運転差し止めを求める訴訟が起こされている。

 柏崎刈羽原発の再稼働に対しては、新潟県の泉田裕彦知事も「福島第1原発事故の検証を優先すべきだ」として慎重な姿勢を崩していない。

 原子力規制委員会は司法判断と関係なく、原発が新規制基準に適合しているかを審査する考えを示している。ただ、審査をクリアできたとしても、地元同意が得られなければ、再稼働はできない。

 東電は昨年12月、平成26年度に当初計画を4割以上上回る8370億円のコスト削減が実現できる見通しを示し、27年中は電気料金の再値上げを見送ると宣言した。

 今後は、通常2カ月程度かかる火力発電所の定期点検を、1カ月以内に短縮することなどによりコスト削減を強化する方針だ。しかし、柏崎刈羽原発の再稼働が遅れれば、28年以降に電気料金の再値上げを迫られる可能性がある。

原発を持つ電力9社のうち、原発依存度が高い関電と九州電力、北海道電力を除く6社は、27年3月期連結決算で最終黒字を計上する見通しだ。昨年秋以降の原油安で燃料費の価格は下落傾向にあり、火力発電の高効率化や、液化天然ガス(LNG)よりも燃料費が安い石炭火力の稼働増などによるコスト削減効果を見込む。

 しかし、原発を再稼働できなければ経営の抜本改善は難しい。最も再稼働に向けた準備が進む九電川内原発1、2号機(鹿児島県)の場合、再稼働で月200億円の収益改善効果をもたらすとされる。

 原発の再稼働が遠のけば、電気料金の再値上げが現実味を帯び、国民負担が一段と増す恐れがある。

●【続報2】関電は制裁金を払って再稼働する可能性も!? 高浜原発差止仮処分弁護団・只野靖弁護士に聞く
     IWJ Independent Web Journal 岩上安身責任編集 -
 福井地裁は4月14日、関西電力・高浜原発3、4号機(福井県)の運転止し止めを求めた仮処分申請で、再稼働を認めない決定を下した。仮処分で原発の運転を禁止する決定は異例。全国で初となる。

 裁判長は昨年5月にも福井地裁で大飯原発3、4号機(同県おおい町)の差し止め判決を言い渡した樋口英明氏だが、今回の決定は昨年のものと何が違うのだろうか。浜岡原発運転差し止め訴訟の弁護団の一人、只野靖弁護士に聞いた。
  
 諫早湾干拓訴訟 1日45万円の制裁金
「今回の決定は出るべくして出た」福井地裁が基準を鋭く批判

 只野弁護士は、IWJの取材に対し、「今回の決定は出るべくして出た」との見方を示す。

 「改めて前年5月の大飯原発に対する差し止め判決よりもさらに深化していて、関西電力の高浜原発だけではなく、国の新規制基準の在り方をするどく批判しているところが新しい点」

 福井地裁の決定文は・・・

判決結果を覆すまで、関電は再稼働はできない

 続けて只野弁護士は、昨年5月の大飯原発差し止め訴訟との違いについて、「本訴で勝っても、ただちに効力は発揮しない。しかし、仮処分で決定が出るということはただちに効力が生じるということだ」と述べ、「決定を電力会社が覆すまでは、事実上、運転はできなくなった」と話した。

 2014年5月21日、大飯原発3、4号機をめぐり、住民らが関電に運転の差し止めを求めた裁判で、福井地裁は「生存を基礎とする人格権は憲法上の権利であり、法分野において最高の価値を持つ」と述べ、「大飯原発の安全技術と設備は脆弱なものと認めざるを得ない」と地震対策の不備を認定し、運転差し止めを命じていた。関電は判決を不服として控訴。現在も裁判は続いている。

「お金を払えば別」再稼働への抜け道!?
 関電が控訴したことで再び係争中となり、大飯原発は法的には再稼働が許される一方、仮処分で運転差し止め判決が下された高浜原発はそうは行かない。しかし、「抜け道」もある。

 「お金を払えば別ですけどね」と只野弁護士はいう。

 「ようするに、お金を払ってでも経済的にペイすると思えば、関電は高浜原発を動かすでしょう。

諫早湾干拓訴訟 1日45万円の制裁金
・・・ つまり、制裁金の支払いに応じる方がメリットがあると関電が判断すれば、再稼働することもあり得る。しかし、只野弁護士の見立てによれば、原発停止により、一基あたり1日1億円の損害が発生していると主張している関電に対し、福井地裁は、これを上回る制裁金の支払いを命じる可能性が高い。

 関電は福井地裁の決定を受け、「誠に遺憾で到底承服できない」と、速やかに不服申し立ての手続きをとる方針を表明。福井地裁には「合理的な由なく審理を終結した」と批判するコメントを出している。
(取材・ぎぎまき 記事・ぎぎまき、原佑介)

●NPJ訟廷日誌
     NPJ訟廷日誌 2015年4月14日
    NPJ-News for the People in Japanは憲法・人権・秘密保全法制を中心に情報発信を行う市民メディアです

【速報】高浜原発再稼働差止め仮処分福井地裁決定要旨全文を掲載します
「新規制基準は緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない」

平成26年(ヨ)第31号 高浜原発3、4号機運転差止仮処分命令申立事件
主文
1 債務者(関西電力)は、福井県大飯郡高浜町田ノ浦1において、高浜発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2 申立費用は債務者の負担とする。

理由の要旨

1 基準地震動である700ガルを超える地震について
基準地震動は原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

しかし、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来している。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず債務者の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。
・・・・

2 基準地震動である700ガル未満の地震について
本件原発の運転開始時の基準地震動は370ガルであったところ、・・・更に新規制基準の実施を機に700ガルにまで引き上げられた。原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げるという対応は社会的に許容できることではないし、債務者のいう安全設計思想と相容れないものと思われる。

基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあることは債務者においてこれを自認しているところである。外部電源と主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿である。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、その役割にふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備でないとする債務者の主張は理解に苦しむ。
・・・基準地震動である700ガル未満の地震によっても冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険が認められる。

3 冷却機能の維持についての小括
日本列島は4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震の1割が我が国の国土で発生し、日本国内に地震の空白地帯は存在しない。債務者は基準地震動を超える地震が到来してしまった他の原発敷地についての地域的特性や高浜原発との地域差を強調しているが、これらはそれ自体確たるものではないし、我が国全体が置かれている上記のような厳然たる事実の前では大きな意味を持つこともないと考えられる。各地の原発敷地外に幾たびか到来した激しい地震や各地の原発敷地に5回にわたり到来した基準地震動を超える地震が高浜原発には到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険である。

4 使用済み核燃料について
使用済み核燃料は我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼす可能性があるのに、格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められていない。使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、スタイル国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。また、使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性もBクラスである。

5 被保全債権について
本件原発の脆弱性は、①基準地震動の策定基準を見直し、基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた根本的な耐震工事を実施する、②外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする、③使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む、④使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスにするという各方策がとられることによってしか解消できない。

また、地震の際の事態の把握の困難性は使用済み核燃料プールに係る計測装置がSクラスであることの必要性を基礎付けるものであるし、中央制御室へ放射性物質が及ぶ危険性は耐震性及び放射性物質に対する防御機能が高い免震重要棟の設置の必要性を裏付けるものといえるのに、原子力規制委員会が策定した新規制基準は上記のいずれの点についても規制の対象としていない。

免震重要棟についてはその設置が予定されてはいるものの、猶予期間が設けられているところ、地震が人間の計画、意図とは全く無関係に起こるものである以上、かような規制方法に合理性がないことは自明である。

原子力規制委員会が設置変更許可をするためには、申請に係る原子炉施設が新規制基準に適合するとの専門技術的な見地からする合理的な審査を経なければならないし、新規制基準自体も合理的なものでなければならないが、その趣旨は、当該原子炉施設の周辺住民の生命、身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害が万が一にも起こらないようにするため、原発設備の安全性につき十分な審査を行わせることにある(最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決、伊方最高裁判決)。

そうすると、新規制基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。しかるに、新規制基準は上記のとおり、緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠くものである。そうである以上、その新規制基準に本件原発施設が適合するか否かについて判断するまでもなく債権者らが人格権を侵害される具体的危険性即ち被保全債権の存在が認められる。

6 保全の必要性について
本件原発の事故によって債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、また、原子力規制委員会の設置変更許可がなされた現時点においては、保全の必要性も認められる。

●高浜原発再稼働差し止め決定要旨 全文は福井新聞D刊で公開 
      福井新聞(2015年4月14日午後8時30分)
 関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを命じた14日の福井地裁の決定要旨は次の通り。

 【主文】 高浜原発3、4号機を運転してはならない。

 【高浜原発の欠陥】
 原発で発出されるエネルギーは膨大で、内部に貯留されている放射性物質も極めて多量なため、いったん発生した事故は拡大する。短時間で収束する他の技術の事故とは異なり、原発に内在する本質的な危険だ。

 地震が起きた場合、速やかに運転を停止し、核燃料を冷却し続け、放射性物質が外部に漏れ出さないようにしなければならない。止める、冷やす、閉じ込めるという三つがそろって初めて安全性が保たれる。高浜原発には冷やす機能と、閉じ込める構造に問題がある。

 【基準地震動の適性】
 原発への到来が想定される最大の地震動である「基準地震動」の適切な策定は、耐震安全性確保の基礎であり、それを超える地震はあってはならない。しかし、全国20カ所に満たない原発のうち4カ所に、過去10年足らずの間に想定を超える地震が5回到来した事実を重視すべきは当然だ。

 その4カ所と同様に、高浜原発でも過去の地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法により地震想定がなされた。活断層の評価方法にも大差はないため、高浜原発の地震想定だけが信頼できるという根拠は見いだせない。地震の平均像を基に、基準地震動を策定することに合理性は見いだしがたく、理論面でも信頼性を失っている。

 【施設損壊の危険】
 基準地震動を超える地震では施設が破損する恐れがあり、その場合、事態の把握の困難性や時間的な制約の下、収束を図るには多くの困難が伴い、炉心損傷に至る危険が認められる。

 運転開始時の基準地震動は370ガルだったが「安全に余裕がある」との理由で、根本的な耐震補強工事がないまま550ガルに引き上げられ、さらに新規制基準の実施を機に700ガルになった。安全性確保の基礎となる基準地震動の数値だけを引き上げることは社会的に許容できず、関電の言う安全設計思想とも相いれない。

 基準地震動を下回る地震でも外部電源が断たれ、ポンプの破損により主給水が断たれる恐れがあることは関電も自認している。外部電源は緊急停止後の冷却機能を保持するための第1のとりでで、主給水も冷却機能を維持する命綱だ。いずれかが一定時間断たれれば大事故になるのは必然で、基準地震動を下回る地震でも双方が失われる恐れがある。主給水により冷却機能を維持するのが原子炉本来の姿なのに、主給水を安全上重要ではないとする関電の主張は理解に苦しむ。安全確保に不可欠な設備には、ふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念だ。基準地震動未満の地震によっても冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険がある。

 国内に地震の空白地帯はない。基準地震動を超える地震が高浜原発で起きないというのは、根拠に乏しい楽観的見通しに過ぎない。それは現実的で切迫した危険といえ、施設の在り方は原発の本質的な危険性についてあまりにも楽観的だ。

 【使用済み核燃料】
 高浜原発の使用済み核燃料は原子炉格納容器外の使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に多量に置かれているが、プールから放射性物質が漏れたときに敷地外に出ることを防ぐ堅固な設備はない。

 堅固な施設で閉じ込める技術は中の核燃料を外部の事故から守るという側面もあるため、使用済み核燃料プールも原子炉格納容器と同様に防御する必要がある。むき出しに近い状態になっている現状は、設置を設けるために膨大な費用が掛かることに加え、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しに基づいている。国民の安全を最優先する考え方ともいえない。

 【原発の安全性】
 高浜原発の施設や技術には、多くの脆弱(ぜいじゃく)性がある。脆弱性を解消するには1基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた根本的な耐震工事の実施2外部電源と主給水の耐震性強化3使用済み核燃料を囲む堅固な施設の設置4使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性強化―という方策が取られるべきだ。中央制御室に放射性物質が飛ぶ危険性もあり、防御能力の高い免震重要棟や、緊急時に事態を把握するための計測装置も必要だが、どちらも設置されていない。

 【新基準の合理性】
 高浜原発は原子力規制委員会の策定した新規制基準を満たしているが、安全性が確保されていない。免震重要棟は設置予定だが猶予期間があり、地震が人間の意図とは無関係に起こるものである以上、規制方法に合理性はない。周辺住民の生命に重大な危害が起きないように、十分な安全性の審査が行われるべきだ。

 基準には、適合していれば万が一にも深刻な災害は起きないといえる厳格さが求められる。現在の新規制基準は緩やかで合理性がなく、適合しても安全性が確保されたとはいえない。適合するか否か判断するまでもなく、原発から250キロ圏内に住む住民は、原発の運転によって人格権を侵害される具体的な危険があると推測される。

 【差し止めの必要】
 原発の運転差し止めによって、原子炉内の核燃料は徐々にエネルギーを失い、時間単位の電源喪失で重大な事故に至ることはなくなる。新たな使用済み核燃料の増加も防ぐことができる。運転差し止めは、危険性を大幅に軽減する適切で有効な手段だ。

 原発事故によって住民は取り返しのつかない損害を被る恐れが生じる。規制委も運転を許可しており、訴訟の結論を待つ余裕はない。現在の停止状態を維持するべきだ。


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