一昨日の自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の控訴審判決、全国に衝撃が走った。
政府は、裁判所のいったこと、と知らないふり。
「典型的な蛇足判決。裁判所による重大な越権行為。裁判官が個人的心情を述べているだけ」(=井上薫弁護士)
当初から加わっているものの具体的には何もしてこなかったので、ここでは私の経験として裁判長に関することにふれる。
青山邦夫裁判長を前向きに評する意味で。
控訴審は、「青山邦夫裁判長」(一昨日は、異動のため高田健一裁判長代読)。
この青山邦夫裁判長は、岐阜地裁で私が本人訴訟でいろんな行政を始めたころの民事2部の裁判長でなじみ。
行政に対して厳しかった。県議会の旅費の条例の問題をテーマにした住民訴訟では、法廷で裁判長が県側代理人に厳しく問いただし、代理人は汗を拭き拭き答えていたこともある。ただ、悪い条例でもその条例が違法でない以上、訴えは棄却するという裁判所の姿勢を示された。当然とはいえ、勉強になった。
情報公開では、こちらの訴えを認めて新しい判例も作ってくれた。
可児市の電子投票無効訴訟(可児市の知人の市民らが本人訴訟で提訴して進めたので私も最初からフォローした)では、青山裁判長は選挙無効の判決を出し、最高裁もそれを追認した。
弁護士からは、「いい判決を書くことで定評」とは聞いていた。
高裁の青山裁判長の他の判決を見ていて、たとえば医療訴訟で賠償額を増額したりと原告サイドの事情に理解のある人だと感じていた。
行政訴訟をたくさんやっていると、「いい判決」をもらっても最高裁でひっくり返る判決がある。だが、青山裁判長の判決は「最高裁でもひっくり返らない判決」という印象をもってきた。
もちろん、一つずつの訴訟の結論と裁判長の人柄とは関係ないと考えた方が無難。
そういう意味で、今回の名古屋高裁の違憲判決は、より意義深い。
以下では、次の3つを紹介する。
運動サイドの声明 「日本国憲法、とりわけ憲法9条がなければ出されることのない判決である。この判決は、平和を希求する市民が日本の平和憲法の力を活かした結果産みだしたものである」
判決要旨、
日弁連の声明 「ここにあらためて政府に対し、判決の趣旨を十分に考慮して自衛隊のイラクへの派遣を直ちに中止し、全面撤退を行うことを強く求める」
続編は4月21日のブログ
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●自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の会/トップページ
■控訴審で違憲判決が出ました
■経過
■訴状
●控訴審で違憲判決を承けて訴訟の会と弁護団が出した声明 2008年4月17日の声明
声 明
第1 画期的な違憲判決である
2008年4月17日、名古屋高等裁判所民事第3部(青山邦夫裁判長、坪井宣幸裁判官、上杉英司裁判官)は、自衛隊のイラクへの派兵差止等を求めた事件(名古屋高裁平成18年(ネ)第499号他)の判決において、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国の武力行使と一体化したものであり,イラク特措法2条2項,同3項,かつ憲法9条1項に違反する」との判断を下した。
加えて,判決では,平和的生存権は全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であるとし,単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではないとし,平和的生存権の具体的権利性を正面から認めた。
判決は、理由中の判断で、自衛隊がイラクへ派兵された後の4年にわたって控訴人らが主張してきたイラク戦争の実態と自衛隊がイラク戦争の中でどのような役割を果たしているかを証拠を踏まえて詳細な認定を行い、イラク特措法及び憲法9条との適合性を検討した。その結果、正面から自衛隊のイラクでの活動が違憲であるとの司法判断を下したものである。
この違憲判決は、日本国憲法制定以来、日本国憲法の根本原理である平和主義の意味を正確に捉え、それを政府の行為に適用したもので、憲政史上最も優れた、画期的な判決であると評価できる。判決は、結論として控訴人の請求を退けたものの、原告らを始め日本国憲法の平和主義及び憲法9条の価値を信じ、司法に違憲の政府の行為の統制を求めた全ての人々にとって、極めて価値の高い実質的な勝訴判決と評価できるものである。
第2 自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の意義
1990年の湾岸戦争への自衛隊掃海艇派遣以降、自衛隊の海外活動が次々に拡大され、その間、全国各地で絶えることなく自衛隊の海外派兵が違憲であるとする訴えを市民は提起し続けてきた。しかし、裁判所は一貫して司法判断を避け、門前払いの判決を示し、憲法判断に踏み込もうとしなかった。
しかし、今回のイラクへの自衛隊の派兵は、これまでの海外派兵とは質的に大きく異なるものであった。第一は、アメリカ、ブッシュ政権が引き起こしたイラク戦争が明らかに違法な侵略戦争であり、自衛隊のイラク派兵はその違法な侵略戦争に加担するものであったということである。第二は、自衛隊のイラク派兵は、日本国憲法下においてはじめて「戦闘地域」に自衛隊が展開し、米軍の武力行使と一体化する軍事活動を行ったことであり、これは日本がイラク戦争に実質的に参戦したことを意味しているという点である。この裁判は、このような自衛隊のイラク派兵が、日本国憲法9条に違反し、日本国憲法が全世界の国民に保障している平和的生存権を侵害していると原告らが日本政府を相手に訴えたものである。
日本政府は国会でもイラクで自衛隊が行っている活動の詳細を明らかにせず、実際には参戦と評価できる活動をしている事実を覆い隠し、本訴訟においても事実関係については全く認否すら行わない異常な態度を最後まで貫いた。国民には秘密の内に憲法違反の自衛隊派兵の既成事実を積み重ねようとする許しがたい態度である。
私たちはこの裁判で、自衛隊の活動の実態を明らかにするとともに、日本政府が国民を欺いたままイラク戦争に参戦していることを主張、立証してきた。そしてまた、日本政府が立法府にも国民にも情報を開示しないまま、米軍と海外で戦争をし続ける国作りを着々と進めている現実の危険性を繰り返し主張してきた。そして、今、行政府のこの暴走を食い止めるのは、憲法を守る最後の砦としての役割が課せられている司法府の責任であることを強く主張をしてきた。
第3 憲法と良心にしたがった歴史的判決
本日の高裁民事3部の判決は、原告の主張を正面から受け止め、イラク派兵が持つ歴史的な問題点を正確に理解し、憲法を守る裁判所の役割から逃げることなく、憲法判断を行った。
判決は、憲法9条の規範的意味を正確に示した上で、航空自衛隊が現実に行っている米兵の輸送活動を,憲法9条が禁止する「武力行使」と認定し、明らかに憲法に違反していると判断した。
我が国の憲法訴訟は、違憲判断消極主義と評価されるような政府・国会の判断に対する過剰な謙抑により、憲法の規範性が骨抜きにされつづけ解釈改憲とすら評される事態を進めてきた。自衛隊の違憲性については、過去に長沼ナイキ基地訴訟第一審判決(札幌地裁昭48・9・7)で、自衛隊を違憲とした判断が唯一見られるだけで、それ以後、自衛隊及びその活動の違憲性を正面から判断した判決は一つとして見られない。ましてや、高裁段階の判断としては、本日の名古屋高裁民事第3部の判決が戦後唯一のものである。憲法と良心に従い、憲法を守り、平和と人権を守るという裁判所の役割を認識し、勇気をもって裁判官の職責を全うした名古屋高裁民事第3部の裁判官に敬意を表するものである。
本判決は、我が国の憲法裁判史上、高く評価される歴史的判決として長く記憶されることになるであろう。
イラクへの自衛隊派遣を違憲とした本判決は、現在、議論されている自衛隊の海外派兵を前提とする様々な活動について、憲法違反に該当しないかどうかについての慎重な審議を要求することとなる。憲法との緊張関係を無視して違憲の既成事実を積み重ねるためにイラク特措法を制定し、国会での審議すら実質上無視するような政府の姿勢は厳しく断罪されなければならない。この判決を機に自衛隊の存在とその活動について憲法の立場から厳しいチェックがなされなければならない。
また、この判決は、この裁判の原告となった3000名を超える市民(全国の同種訴訟に立ち上がった5500名を超える市民)が声を上げ続けた結果、産み出されたものである。日本と世界の市民の平和を希求する思いがこの判決を産み出したのである。
さらに、日本国憲法、とりわけ憲法9条がなければ出されることのない判決である。この判決は、平和を希求する市民が日本の平和憲法の力を活かした結果産みだしたものである。
日本国憲法の価値を示す画期的な判決として、この判決を平和を願う全ての市民とともに喜びたい。
第4 自衛隊はイラクからの撤兵を
我が国は三権分立を統治原理とし、かつ法の支配を統治原理としている立憲民主主義国家である。
三権の一つであり、かつ高等裁判所が下した司法判断は、法の支配のもとでは最大限尊重されるべきである。行政府は、立憲民主主義国家の統治機関として、自衛隊のイラク派兵が違憲であると示したこの司法判断に従う憲政上の義務がある。
私たちは、日本政府がこの判決に従い、直ちにイラクからの自衛隊の撤退を行うことを強く求める。
私たちは、今日このときから、この違憲判決を力に、自衛隊のイラクからの撤退を求める新たな行動を開始するとともに、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」し、「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」した日本国憲法の理念を実現するための行動を続けるものである。
2008年4月17日
自衛隊イラク派兵差止訴訟の会
自衛隊イラク派兵差止訴訟弁護団
●自衛隊イラク判決理由の要旨 判決要旨PDF 700KB
1 自衛隊のイラク派遣の違憲性について
(1)自衛隊の海外活動に関する憲法9条の政府解釈は,自衛のための必要最小限の武力の行使は許されること,武力の行使とは,我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうことを前提とした上で,自衛隊の海外における活動については,①武力行使目的による「海外派兵」は許されないが,武力行使目的でない「海外派遣」は許されること,②他国による武力の行使への参加に至らない協力(輸送,補給,医療等)については,当該他国による武力の行使と一体となるようなものは自らも武力の行使を行ったとの評価を受けるもので憲法上許されないが,一体とならないものは許されること,③他国による武力行使との一体化の有無は,ア 戦闘活動が行われているか又は行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係,イ 当該行動の具体的内容,ウ 他国の武力行使の任に当たる者との関係の密接性,エ 協力しようとする相手の活動の現況,等の諸般の事情を総合的に勘案して,個々的に判断されることを内容とするものである。
(2)そして,イラク特措法は,このような政府解釈の下,我が国がイラクにおける人道復興支援活動又は安全確保支捷活動(以下「対応措置」という。)を行うこと(1条),対応措置の実施は,武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならないこと(2条2項),対応措置については,我が国領域及び現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為)が行われておらず,かつ,そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる一定の地域(非戦闘地域)において実施すること(2条3項)を規定するものと理解される。
(3)政府においては,ここにいう「国際的な武力紛争」とは,国又は国に準ずる組織の間において生ずる一国の国内問題にとどまらない武力を用いた争いをいうものであり,戦闘行為の有無は,当該行為の実態に応じ,国際性,計画性,組織性,継続性などの観点から個別具体的に判断すべきものであること,全くの犯罪集団に対する米英軍等による実力の行使は国際法的な武力紛争における武力の行使ではないが,個別具体的な事案に即して,当該行為の主体が一定の政治的な主張を有し,国際的な紛争の当事者たり得る実力を有する相応の組織や軍事的実力を有する組織体であって,その主体の意思に基づいて破壊活動が行われていると判断されるような場合には,その行為が国に準ずる組織によるものに当たり得ること等の見解が示されている。
(4)しかるところ,認定できる事実によれば,平成15年5月になされたプッシュ大統領による主要な戦闘終結宣言の後にも,アメリカ軍を中心とする多国籍軍は,ファルージャ,バグダッド等の各都市において,多数の兵員を動員して,武装勢力の掃討作戦等を繰り返し行っており,掃討作戦の標的となった各武装勢力は,海外の諸勢力からもそれぞれ援助を受け,その後ろ盾を得ながら,アメリカ軍の駐留に反対する等の一定の政治的な目的を有していることが認められ,相応の兵力を保持して組織的かつ計画的に多国籍軍に抗戦し,その結果,民間人や兵員に多数の死傷者が出ており,多国籍軍の活動は,単なる治安活動の域を超えたものとなっている。
現在のイラクでは,イラク攻撃後に生じた宗派対立に根ざす武装勢力間の抗争がある上に,各武装勢力と多国籍軍との抗争があり,これらが複雑に絡み合って泥沼化した戦争の状態になっているものということができ,また,多国籍軍と武装勢力との間のイラク国内における戦闘は,実質的には平成15年3月当初のイラク攻撃の延長であって,外国勢力である多国籍軍対イラク国内の武装勢力の国際的な戦闘であるということができる。
したがって,現在のイラクにおいては,多国籍軍と,国に準ずる組織と認められる武装勢力との間で,一国国内の治安問題にとどまらない武力を用いた争いが行われており,国際的な武力紛争が行われているものということができる。
特に,首都バグダッドは,平成19年に入ってからも,アメリカ軍がシーア派及びスンニ派の両武装勢力を標的に多数回の掃討作戦を展開し,これに武装勢力が相応の兵力をもって対抗し,双方及び一般市民に多数の犠牲者を続出させている地域であるから,まさに国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為が現に行われている地域というべきであって,イラク特措法にいう「戦闘地域」に該当するものと認められる。
(5)しかるところ,航空自衛隊は,アメリカからの要請を受け,平成18年7月ころ以降,アメリカ軍等との調整の上で,バグダッド空港への空輸活動を行い,現在に至るまで,C-130H輸送機3機により,週4回から5回,定期的にクウェートのアリ・アルサレム空港からバグダッド空港へ武装した多国籍軍の兵員を輸送していることが認められる。このような航空自衛隊の空輸活動は,主としてイラク特措法上の安全確保支援活動の名目で行われ,それ自体は武力の行使に該当しないものであるとしても,現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為の重要な要素であるといえることを考慮すれば,多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支壊を行っているものということができる。したがって,このような航空自衛隊の空輸活動のうち,少なくとも多国籍軍の武装兵員を,戦闘地域であるバグダッドへ空輸するものについては,他国による武力行使と一体化した行動であって,自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない行動であるということができる。
(6)よって,現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は,政府と同じ憲法解釈に立ち,イラク特措法を合憲とした場合であっても,武力行使を禁止したイラク特措法2条2項,活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し,かつ,憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。
2 平和的生存権について
(1)控訴人らの主張する平和的生存権は,現代において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立し得ないことからして,全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であるということができ,単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない。
(2)法規範性を有するというべき憲法前文が「平和のうちに生存する権利」を明言している上に,憲法9条が国の行為の側から客観的制度として戦争放棄や戦力不保持を規定し,さらに,人格権を規定する憲法13条をはじめ,憲法第3章が個別的な基本的人権を規定していることからすれば,平和的生存権は,憲法上の法的な権利として認められるべきである。
(3)そして,この平和的生存権は,局面に応じて自由権的,社会権的又は参政権的な態様をもって表れる複合的な権利ということができ,裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味における具体的権利性が肯定される湯合があるということができる。例えば,憲法9条に違反する国の行為,すなわち戦争の遂行,武力の行使等や,戦争の準備行為等によって,個人の生命,自由が侵害され又は侵害の危機にさらされ,あるいは,現実的な戦争等による被害や恐怖にさらされるような場合,また,憲法9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には,平和的生存権の主として自由権的な態様の表れとして,裁判所に対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請求等の方法により救済を求めることができる場合があると解することができ,その限りでは平和的生存権に具体的権利性がある。
(以下は、ここでは見出しのみ)
3 控訴人らの請求について
(1)違憲確認請求について(関係控訴人についてのみ)
(2)差止請求について(関係控訴人についてのみ)
ア 民事訴訟としての適法性
イ 行政事件訴訟(抗告訴訟)としての適法性
(3)損害賠償請求について
4 控訴人天木直人に特有の損害賠償請求について
以 上
●名古屋高裁自衛隊イラク派遣差止訴訟判決に関する会長声明 会長声明集 Subject:2008-04-18
昨日、名古屋高等裁判所は、いわゆる自衛隊イラク派遣差止訴訟判決において、航空自衛隊がアメリカからの要請によりクウェートからイラクのバグダッドへ武装した多国籍軍の兵員輸送を行っていることについて、バグダッドはイラク特措法にいう「戦闘地域」に該当し、この兵員輸送は他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない行動であると判断した。そして、憲法9条についての政府解釈を前提とし、イラク特措法を合憲とした場合であっても、この兵員輸送は、武力行使を禁じたイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同法同条3項に違反し、かつ憲法9条1項に違反するとの判断を示した。
そのうえで判決は、原告個人が訴えの根拠とした憲法前文の平和的生存権は、全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利であり、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではなく、憲法上の法的な権利として、その侵害に対しては裁判所に対して救済を求めることができる場合がある具体的な権利であると判断した。
当連合会は、自衛隊をイラクへ派遣することを目的とするイラク特措法について、これが国際紛争を解決するための武力行使および他国領土における武力行使を禁じた憲法に違反するおそれが極めて大きいものであることにより反対であることを明らかにしてきた。そのうえで、自衛隊の派遣先がイラク特措法が禁じる「戦闘地域」であることも指摘し、繰り返しイラクからの撤退を求めてきた。
当連合会は、このたびの名古屋高等裁判所の判決について、当連合会のかねてからの主張の正しさを裏付けるものであるとともに、憲法前文の平和的生存権について具体的権利性を認めた画期的な判決として高く評価するものである。ここにあらためて政府に対し、判決の趣旨を十分に考慮して自衛隊のイラクへの派遣を直ちに中止し、全面撤退を行うことを強く求めるものである。
2008(平成20)年4月18日
日本弁護士連合会
会長 宮 誠
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今回のイラク派遣の違憲判決は私としても誠に革新的なものだと認識しております。
この国に憲法9条がありながら、その当たり前だと考えられる違憲判決を得るまでの苦難の道を想像しますと、不思議な事に少し残念な気持ちにもなりますが・・・
私としては今回の背景に、多くの国民の見えぬところで、てらまちさんをはじめ多くの方々の無報酬による政府と行政に対する追求があったからだと言うことを認識しております。
そのうえで考えた時、今後の私自身が原告になっている住民訴訟の展開に希望が持てる反面、そこまで真理を求める必要があるのか・・・
と、少し不安でもあります。
私が考えるにこの真理を追究すること自体が、藝術活動と何ら変わらないのだとも思って、あるいは信じて不安を拭い去るつもりです。
>誠に革新的なもの
⇒ほんとうにそうですね。
>違憲判決を得るまでの苦難の道を想像しますと、不思議な事に少し残念な気持ちにも
⇒そういわれると、確かに、国民の側が苦労しなければいけないなんて妙な話ですね。
とはいえ、歴史というのは、そういう要素が多いですけど。
>今後の私自身が原告になっている住民訴訟の展開に希望が持てる
⇒自信と期待をもって臨みましょう。
>反面、そこまで真理を求める必要があるのか・・・と、少し不安でもあります
⇒「真理」というとらえ方もあるのでしょうが、私は「納得するため」という主観的な臨み方をしています、何事も。
>私が考えるにこの真理を追究すること自体が、藝術活動と何ら変わらないのだとも思って、あるいは信じて不安を拭い去るつもりです。
⇒前段、神崎さんがおっしゃると、良く納得できます、私には(笑)
後段、信じる気持ちがあると人は気楽ですよね。
私自身もそのように考えたいのですが・・・
>信じる気持ちがあると人は気楽ですよね。
その通りです。
この場合、信じなければプレッシャーで押しつぶされてしまいます(笑)
最悪、旭川大学の若い先生のように追い込まれます。
何か、神崎さんのおかれている状況が伝わってきそうな感じです。
トラックバックありがとうございました。
私とは考えを異にする方とお見受け致しましたが、貴殿のような方もあって初めて私の考えも存在するものと思いますので、これからも貴殿のブログの益々の発展をお祈りしております。
>私とは考えを異にする方とお見受け致しましたが、貴殿のような方もあって初めて私の考えも存在するものと思いますので、これからも貴殿のブログの益々の発展をお祈りしております。
⇒今回、いろんなブログを拝見して、いろんな考えがあるものだなぁと、再認識したところです。
それぞれ考えの違うこと自体は否定すべきではないですね。
ともかく、コメント、ありがとうございます。お互いにブログを続けましょうね。
★M.FUKUSHIMAさん、おはようございます。
>今回の判決について、一番悪い捉え方は無視することだと思います。自衛隊に対する考え方はどうであっても、今回の傍論を踏まえて、もう一度自衛隊を見直すことが、求められているのだと思います。その結果、どこに向かうのかは分かりませんが。
⇒途中を省略して、結論ありきで進めてしまったイラク問題、そのツケが自衛隊の存在の問題にまで回ってきていますね。
青山邦夫裁判長のついての記述は大変参考になりました。
憲法についての判断を避けて通るという判決が、当たり前のようになっている裁判所の空気の中で、それに一石を投じたという意味でも、胸を打たれる判決でした。
これに対しては、あくまで傍論であるとして、福田首相はじめ、航空幕僚長や高村外相などの、判決の重みを無視する発言が出ていますね。
>青山邦夫裁判長のついての記述は大変参考になりました
⇒裁判所の法廷でずいぶん馴染みでした(笑)
>裁判所の空気の中で、それに一石を投じたという意味でも
⇒同感です。
政府も真面目になってほしいですね。
自衛隊の存在自体が違憲というところから、ずいぶん遠くまで来ての違憲判決ですね。既成事実の積み上げで、九条を内部から食い破ってきた政府は許せません。
今回の判決は、ぎりぎりのところで高裁が良心を発揮したような感じを受けます。もうこれ以上逃げてはいけないと。そういう意味でも貴重な判決だったと思います。
しかし、違憲判決がひどく出しにくい政治状況を造ってきた私たち国民にも問題がありますね。政府は国民を、司法をなめきっています。福田首相たちがこの判決に左右されない旨のコメントをしていることが、それをよく示しています。
腹立たしい限りです。何とか鉄槌を下したいものです。
>ずいぶん遠くまで来ての違憲判決
>九条を内部から食い破ってきた政府は許せません
⇒感情のこもった表現ですね。
>もうこれ以上逃げてはいけないと。そういう意味でも貴重な判決だった
⇒なるほど。
>政府は国民を、司法をなめきっています
⇒ええ、今回の開き直りは著しいですね。
主権は国民にあります。
>この判決は、自衛隊の海外派遣の差し止めを求めたのに対して、裁判所が、差し止めを認めなかったというものです。
⇒日本の法体系の中での裁判所の判断として、そう思います。
>逆にいえば、司法として、海外派遣を認めたものということになります。理解されていますよね?
⇒それは違います。
日本の法体系の中で、このような事案について、今回の原告が「当事者」として裁判制度において精一杯要求したことに対して、差し止めなどいずれも法律上の根拠がないから裁判所として認める必要はないと判決したものです。
「司法として、海外派遣を認めた」というのは理解が間違っています。
>この判決をもとに、海外派遣をやめろというのは、無理があると思います。
⇒判決文の中で海外派遣は違憲といっているわけです。
原告は、あくまでも、原告として要求した原告の利益の部分に対する裁判の判決で負けたのであって、派兵という事案を憲法に照らしたときどうなのかという判断においては勝ったわけです。
原告本人の利益という形でしか裁判ができない日本の法制度に助けられたのは国側です。