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てらまち・ねっと



 裁判員制度が始まって、テレビのアナウンサーの言葉が少し変わったように感じる。
 「・・・によると」と情報の出どころが説明されている。

 とはいえ、それ以外にあまり感じない。

 いちおう、各報道機関は「報道ガイドライン」を作り、公表している。
 「基本線」なので、少し長いけど、抜粋して記録しておこう。

 ところで、裁判員の「守秘義務の撤廃を」という意見がある。
 ジャーナリストの江川紹子さんは「評議内容が表に出ないと3年後に予定されている制度見直しができない。守秘義務は今すぐなくすべきだ」とする。

 作家の佐木隆三さんは「世論調査によると、市民の裁判員への参加意欲が低い。評議の内容を漏らしたら罰せられる守秘義務が影響している」とする。

 私も「おおむねの守秘義務は無用」と思う。

 それと、法廷の様子の公表・報道の仕方も問題になっているらしい。

 「裁判員法は裁判員が特定できる情報の公表を禁じているためで、他の裁判所にも影響を与えそうだ。ただ、こうした表現の制約には『憲法が定める裁判の公開原則から逸脱するのでは』との声がある」という。


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●裁判員事件で認否非公表 「予断与える」と大阪地検
        西日本 2009年05月27日 01:19
 大阪地検は26日、裁判員裁判の対象となる覚せい剤取締法違反(営利目的の輸出入)罪などで、中国人の男2人を起訴した。同地検が対象事件で起訴したのは初めてだが、認否については「予断を与える」と明らかにしなかった。

 裁判員裁判では「記者発表情報が裁判員の判断に影響を与えかねない」との慎重意見が捜査当局側に根強いが「当局にとって都合の悪い情報を開示しなくなる」と懸念する法曹関係者も多い。

 起訴を受けて記者会見した大阪府警と大阪税関も「捜査上、認否は答えられない。地検からの指示だ」と認否を明かそうとしなかった。

 起訴されたのは警備員梁奇輝(41)と、無職張嘉逸(24)の両被告。起訴状によると、梁被告らは5日、香港から関西空港に到着した際、ポリ袋に小分けした覚せい剤を靴の中に隠し、日本に密輸したとしている。

 ●裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針/日本新聞協会
      日本新聞協会/声明・見解/2008年1月16日
 重大な刑事裁判の審理に国民が参加する裁判員制度が2009年5月までに実施される。刑事司法の大きな転換期にあたり、日本新聞協会は、同制度下における取材・報道に関する指針をまとめた。我々は、本指針を踏まえて、公正な裁判と報道の自由の調和を図り、国民の知る権利に応えていく。

 裁判員法の骨格を固める段階から、裁判の公正を妨げる行為を禁止する必要があるとして、事件に関する報道を規制するべきだという議論があった。これに対し我々は、そのような措置は表現・報道の自由を侵害し、民主主義社会の発展に逆行するもので到底認めることはできないと主張してきた。

 刑事司法の目的のひとつは事案の真相を明らかにすることにあり、この点において事件報道が目指すところと一致する。しかしながら、事件報道の目的・意義はそれにとどまるものではない。事件報道には、犯罪の背景を掘り下げ、社会の不安を解消したり危険情報を社会ですみやかに共有して再発防止策を探ったりすることと併せ、捜査当局や裁判手続きをチェックするという使命がある。

 被疑事実に関する認否、供述等によって明らかになる事件の経緯や動機、被疑者のプロフィル、識者の分析などは、こうした事件報道の目的を果たすうえで重要な要素を成している。

 一方で、被疑者を犯人と決め付けるような報道は、将来の裁判員である国民に過度の予断を与える恐れがあるとの指摘もある。これまでも我々は、被疑者の権利を不当に侵害しない等の観点から、いわゆる犯人視報道をしないように心掛けてきたが、裁判員制度が始まるのを機に、改めて取材・報道の在り方について協議を重ね、以下の事項を確認した。

 ▽捜査段階の供述の報道にあたっては、供述とは、多くの場合、その一部が捜査当局や弁護士等を通じて間接的に伝えられるものであり、情報提供者の立場によって力点の置き方やニュアンスが異なること、時を追って変遷する例があることなどを念頭に、内容のすべてがそのまま真実であるとの印象を読者・視聴者に与えることのないよう記事の書き方等に十分配慮する。

 ▽被疑者の対人関係や成育歴等のプロフィルは、当該事件の本質や背景を理解するうえで必要な範囲内で報じる。前科・前歴については、これまで同様、慎重に取り扱う。

 ▽事件に関する識者のコメントや分析は、被疑者が犯人であるとの印象を読者・視聴者に植え付けることのないよう十分留意する。

 また、裁判員法には、裁判員等の個人情報の保護や、裁判員等に対する接触の規制、裁判員等の守秘義務などが定められている。我々は、裁判員等の職務の公正さや職務に対する信頼を確保しようという立法の趣旨を踏まえた対応をとる。

 改めて言うまでもなく、公正な裁判はメディア側の取り組みのみによって保障されるものではない。裁判員等の選任手続き、裁判官による裁判員等への説示、検察官および弁護人の法廷活動、そして評議の場において、それぞれ適切な措置がとられることが何よりも肝要である。

 加盟各社は、本指針を念頭に、それぞれの判断と責任において必要な努力をしていく。                      以 上


●裁判員制度5月スタート 新たに『事件報道ガイドライン』 記事の書き方を見直し
        東京 2009年2月15日
 事件・事故の報道に携わる記者たちの新しい「海図」が出来上がった。
東京新聞(中日新聞社)の「事件報道ガイドライン」。
・・

『情報の出所の明示』 『逮捕容疑の明確化』重視
 ガイドラインは、事件・事故担当の編集局次長、社会部長、社会部デスク、事件担当キャップ、整理部デスクらが中心となって約一年間にわたる協議を重ねて作成した。

 冒頭の「事件報道の指針」では、「捜査の監視」や「犯罪の実態を伝え、警鐘を鳴らすこと」など、事件・事故を報じる意義や、現状への批判に言及。
記者一人一人が、冷静で客観的な報道を心掛けるよう求めた。

 その上で「捜査段階の取材と報道」「裁判段階の取材と報道」など個別のテーマについて検討。それぞれの改善点を示した。

 中でも重視したのは「情報の出所の明示」「逮捕容疑の明確化」などの点。これまでは捜査当局からの情報なのか、独自取材の情報なのか判然としない場合があった。今後は可能な限り、情報の出所を明示していく。

 ただし、非公式の取材のケースなどで「取材源の秘匿」が守れない恐れがある場合は、「取材源の秘匿」を優先する。

 「逮捕容疑」については、これまでは余罪など容疑以外の捜査情報も混在して書くことがあったが、逮捕容疑とそれ以外の情報を峻別(しゅんべつ)することにした。

 容疑者側の主張を書くことも重視。特に否認している場合は、可能な限り、容疑者側に取材し、その主張を書くよう求めている。

本紙ガイドラインの概要
【「情報の出所」を明示する】
 事件・事故についての情報は、圧倒的に捜査当局に取材したものが多いが、そこには主観や誤導が入り込む可能性がある。弁護側に取材したものも同様にバイアス(偏り)がかかっている恐れがある。

 特に事実関係に争いがあるケースでは、互いに自らに有利になるよう情報提供することも考えられるが、情報源があいまいなままでは、読者はそうした「前提」を意識して読むことができない。

 今後は、読者に判断材料を提供するため、「○○署によると」「□□容疑者の弁護士によると」といったふうに可能な限り情報源を明示していく。

【「逮捕容疑」は区別して書く】
 逮捕容疑について、これまで本紙は「調べでは、~した疑い」などと書いてきた。しかし、この書き方だと、書かれていることが逮捕容疑なのか、ほかの捜査情報を含むのか明確ではない。

 読者の中には「新聞社の調べ」と誤解している人もいた。今後はそうした誤解を防ぐため、「逮捕容疑は、~としている」「~とされる」などと明示し、逮捕容疑の内容に絞って書くことにした。書類送検や短い記事の場合は「容疑は、~としている」「~とされる」などとする。

【「否認」の主張は必ず盛り込む】
 容疑者が逮捕容疑について認めているか否認しているかは、読者が事件の内容について判断する上で、重要な要素となる。
・・・、情報源を明示した上で、認否を明らかにする。

【「現行犯逮捕」でも断定しない】
 現行犯逮捕のケースでは、これまで「強盗の現行犯で、○○容疑者を逮捕した」といった書き方をしてきた。しかし、痴漢冤罪(えんざい)事件など、現行犯で逮捕されても「犯人」とは限らず、裁判で無罪となることもある。

 そこで今後は、現行犯逮捕の場合でも通常の逮捕と同様に「強盗の疑いで、○○容疑者を現行犯逮捕した」などと「疑い」を付け、あくまでも「容疑」がかけられた段階であることを明らかにするようにした。

 ただし、衆人環視の中で起き、逮捕された容疑者の犯行であることがはっきりしている場合は、これまで通りの表記とする。

【「余罪」や別件逮捕 明確に区別】
・・・ そこで、今後は逮捕容疑と余罪の見立てを明確に区別し、まず逮捕容疑を書き、その後、情報の出所を明記した上で、容疑以外について書くことにした。
 「余罪」という言葉は、既に罪があることが前提となるので原則として使わず、例えば「警視庁によると、○○容疑者は『ほかにも百軒以上に盗みに入った』と供述している」などとする。

 別件逮捕も同様で、・・・

【「無罪推定」の原則を尊重】
・・・ だが、刑事司法の原則は「無罪推定」。容疑者らを犯人と断定できない段階、特に否認しているケースでは、犯人視した報道は避けなくてはならない。
 仮に当事者が犯行を認めている場合でも、不当におとしめることは許されない。近所の人の憶測を裏付けなしに記事にしたりせず、情報の出所を示して、信頼できる情報を節度を持って書く。

【前科・前歴は必要性を吟味】
 ・・・

【「起訴事実」は「起訴内容」とする】
・・・これまでは「起訴状によると~した」と断定的に書いてきたが、裁判員に予断を与えたり、憲法で定める「公平な裁判を受ける権利」に影響を与えたりする可能性があった。

 このため、今後は「起訴状によると~としている」「~とされる」といった書き方に改め、あくまでも検察側の主張であることを示す。同様の理由で「起訴事実」という表記は「起訴内容」とした。

【双方の主張のバランスに配慮する】
・・・今後は、検察側の冒頭陳述や論告を検察側の主張にすぎないことを明確にし、「主張した」「指摘した」といった表現にとどめる。弁護側の冒頭陳述や最終弁論についても相応に報じ、双方のバランスに配慮する。

【見出しで予断を与えないようにする】
 「見出し読者」という言葉があるように、見出しの影響力は大きい。・・・見出しについても「情報の出所明示」など、なるべく原稿と同じ原則を適用。見出しにより、予断や偏見が生じないよう戒めている。

【写真でも不当におとしめない】
・・・あえてふてぶてしく見えるような写真を選んだりしない。

【誠意もって被害者に取材】
 被害者側の取材は、事件の本質に迫るためにも、捜査当局の情報を検証する意味でも重要だと考える。

 一方で、事件で苦しむ被害者・遺族を傷つける「二次被害」は絶対に起こしてはならない。・・・

 被害者側が参加した裁判などで、被害者らが被告に感情的な言葉をぶつける場合があるが、記事にする際は、被告を不当におとしめないようにする。

人権報道進める好機に 社会部長 佐藤敦
     (略) 

●産経/裁判員制度と事件報道ガイドライン
      産経 2009.2.20 22:48
 産経新聞社は今年5月の裁判員制度スタートに向けて、「事件・裁判報道のガイドライン」を作成した。裁判員に過度の予断を与えないために、事件・裁判報道のあり方について注意点をあらためて喚起する内容で、記事・見出しの編集上、順次適用を開始している。

 ガイドラインは「事件・裁判報道の目的・意義」を示したうえで、被疑者、被告を「犯人視」しない報道を基本姿勢としている。
 供述内容をはじめとする捜査情報については、「できる限り出所を明示する」ことで、情報の位置づけを明確にしたうえで、供述の変遷などに配慮し「記事の書き方の工夫」を求めている。

 被疑者や被告のプロフィル報道については、事件の本質や背景を理解するうえで、必要な範囲を個別に判断する。
 また、裁判員裁判の報道については、(1)裁判員、補充裁判員の個人情報は原則報じない(2)裁判終了後の裁判員経験者らの個人情報の報道は本人の意向を尊重する-などに留意する。

●NHK/「裁判員制度開始にあたっての取材・放送ガイドライン」について
    NHKのガイドライン
(報道資料). 平成 20 年 12 月 24 日. N H K. 「裁判員制度開始にあたっての取材・放送ガイドライン」について. 来年5月に始まる裁判員制度に向けて、NHKは事件報道などの指針となる. 「裁判員制度開始にあたっての取材・放送ガイドライン」を ...

●『裁判員制度』テレビ報道の現場は? 情報出所明示に戸惑いも
        東京 2009年6月25日 朝刊

 先月から裁判員制度が始まり、テレビの事件報道も、裁判員になりうる視聴者に過度の予断を与えないために変わったというが、具体的にどう変わったのか。八月上旬から開始される裁判員裁判を伝える上での課題は何か。西村睦生・NHK報道局社会部長と民放連報道小委員長の渡辺興二郎・テレビ朝日取締役(報道担当)に聞いた。 (近藤晶)

◆NHK報道局社会部長 西村睦生氏
 ――NHKは「裁判員制度開始にあたっての取材・放送ガイドライン」を作成した。特に留意した点は。
・・

●守秘義務撤廃 シンポで訴え 「裁判員」でマスコミ倫懇
        =2009/06/28付 西日本新聞朝刊=
 5月にスタートした裁判員制度の課題を議論しようと、報道機関などでつくるマスコミ倫理懇談会全国協議会は27日、東京都内でシンポジウム「スタートした裁判員裁判-課題は語り尽くされたか」を開いた。

 記者や市民約150人が参加。作家の佐木隆三さんが「司法の大転換期への期待と不安」と題して講演し「世論調査によると、市民の裁判員への参加意欲が低い。評議の内容を漏らしたら罰せられる守秘義務が影響している」と指摘。一方で「有罪の言い渡しに慣れている裁判官の中に市民が入ることにより、推定無罪の大原則が生かされる」と期待を寄せた。

 パネルディスカッションでは、ジャーナリストの江川紹子さんが「評議内容が表に出ないと3年後に予定されている制度見直しができない。守秘義務は今すぐなくすべきだ」と主張。日弁連裁判員本部事務局次長の岡慎一弁護士は裁判員が量刑判断まで行う点を挙げ「従来の裁判でも量刑基準は不透明。市民の不安は当然だろう」と述べた。

 龍谷大法科大学院の村井敏邦教授は犯罪報道の在り方について「裁判員に予断を与える報道は控えるべきだ」と訴えた。

●裁判員の写実描写やめて 東京地裁、メディアに要請へ
          東京 2009年6月25日 朝刊

(上)法廷画家が写実的に描いたケース 
(下)特定されないよう描いたケース

 刑事裁判の報道に伴う法廷内スケッチをめぐり、東京地裁は、裁判員裁判では裁判員が特定されないように描写するようメディアに配慮を求める意向でいることが分かった。裁判員法は裁判員が特定できる情報の公表を禁じているためで、他の裁判所にも影響を与えそうだ。ただ、こうした表現の制約には「憲法が定める裁判の公開原則から逸脱するのでは」との声がある。

 刑事法廷では、写真撮影は開廷前に限られているが、裁判長が認めれば、審理中に法廷内をスケッチすることができる。著名事件の裁判報道では、法廷画家が描いた被告や裁判官の容姿を中心とした作品が新聞に掲載されたり、テレビで放映されたりしている。

 ところが、裁判員裁判では、裁判官を挟んで座る裁判員の顔立ちや体つきもスケッチの対象となる可能性がある。その際、問題となるのは「何人も裁判員を特定するに足りる情報を公にしてはならない」という裁判員法の規定。裁判員がどこの誰かが判別できるほどリアルに描かれるようなケースが、規定違反に当たるかどうかだ。

 東京地裁は「どう対応するかは事件ごとに裁判長が判断する」との立場だ。だが、裁判長が廷内スケッチを認める場合は(1)裁判員が特定できるように描かない(2)容姿が似ていなくても写実的には描かない-の2点の配慮を求める意向という。

 似ているかどうかを問わず写実的な描写を避けるよう求めるのは、報道の受け手が「これほどリアルに描かれたら自分だと分かってしまう」と裁判員になることを不安がる恐れがあるからという。

 実際、東京都の裁判員候補者の男性(50)は「リアルな描写を見れば、自分もそう描かれるのかと不安になるはず」と語る。神奈川県の候補者の女性(32)は「自分だと分からなければいいけれど、それではイラストの意味がなくなるのでは」と冷静に分析する。

 ベテラン法廷画家(62)は「裁判員が特定されにくい描き方はある。顔を輪郭にとどめたり、着ている私服を強調したりすれば、黒い法服の裁判官ではなく、裁判員であることを表現できる」と話す。

 一方、上智大の田島泰彦教授(メディア法)は「(法廷内の様子を)写真で伝えられないのに、イラストの表現まで制限されれば裁判公開の原則を逸脱する」と指摘する。

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