5月8日(水)、京都市内の祇園や木屋町界隈に行く。鴨川に架かる四条大橋から八坂神社や東山方面を見る。京都東山の山々のなんと新緑の季節の植生の豊かなこと。さまざまな色あいの新緑・新葉が見える。日本海と太平洋などの暖流に囲まれた近畿地方の京都は、雨にも恵まれ、温帯気候帯としての植物や樹木の種類が豊かで、みずみずしく さまざまな色合いの新緑・新葉が見られる。高瀬川沿いを歩くと、「鴨川をどり」(5月)のポスターが貼られていた。
比叡山の麓の琵琶湖が望める「滋賀県大津市仰木」という「里山」に写真アトリエに住む写真家の今森光彦さんが、「私はかって若い時は豊かな自然を求めて、インドネシアやマレーシァ、ニューギニアなどの熱帯地方にばかり行って写真の撮影をしていた。しかし、植生(植物の種類)の豊かさは、温帯地方の日本の方がはるかに熱帯や亜熱帯よりも豊かであることに数年して気がつきはじめた。」と言っていたのが印象に残っている。「里山」という言葉をつくったのは今森さんだが、彼は温帯地方の自然の豊かさに気がつき始めてから滋賀県や京都府などの自然を精力的に撮影し始めたようだ
私も亜熱帯地方の中国福建省に長年暮らしていて、亜熱帯よりも温帯である日本の本州の自然の豊かさに、改めて気がついた一人でもある。
祇園白川石畳を歩くと、新緑が濃くなり始めて「緑の木陰」をつくっている。紫陽花の葉も大きくなり始めていた。アオサギが数羽、白川に降り立ち餌を探していた。白川に架かる「辰巳(たつみ)小橋」のたもとで、50ccのカブバイクに大きな箱型のリヤカーをつけている乗り物の横で休んでいる人がいた。リヤカーの色彩はあでやかで、小さな家のようだ。「日本一周中です」と書かれてあった。その人に話を聞いてみた。年齢は65才とのこと、私より1つ下だ。これから沖縄を目指して本州・四国・本州・九州、そして沖縄に向かう途中だと言う。屋根のあるリヤカーの中で寝泊まりをすると話していた。
中国にも日本にも「二十四節季(せっき)」がある。1年12カ月間を24の季節の節(せつ)にわけたものだ。中国でインターネットをしていると、この二十四節季がよく表示されてくる。「今天 立夏」という具合である。中国人にとって二十四節季は日本人以上に身近なものなのかもしれない。二十四節季は次の通りである。
春の季節
①立春(りっしゅん)2月4日[春の始まり(春の気始めて立つ)] ②雨水(うすい)2月18日[雪が雨に変わり、氷が融けて水になる。(氷雪融け雨水温む)」 ③啓蟄(けいちつ)3月5日[冬ごもり中の虫が目を覚まし姿をあらわす。(冬ごもりの虫声を啓く)] ④春分(しゅんぶん)3月20日[昼と夜の時間が同じ。(春の最中夜昼半分)] ⑤清明(せいめい)4月5日[清浄明潔の略といわれ、南東風が吹く春のよい季節。草木の芽が出る。(草木晴明風光明媚)] ⑥穀雨(こくう)4月20日[穀物を育てる雨が降り、芽を出させるという意味。(百穀春雨に閏う。)
夏の季節
⑦立夏(りっか)5月5日[夏の始まり。東洋暦では立夏から立秋の前日までを夏、西洋暦では夏至から秋分の日までを夏としている。(夏の気が初めて立つ)] ⑧小満(しょうまん)5月20日[植物が育ち繁る。"麦生日"と呼ばれ、晴天であれば麦がよく熟すると言われている。] ⑨芒種(ぼうしゅ)[雑穀の種まきをする時期。田植えの時期に入る。梅雨めいてくる。] ⑩夏至(げし)6月21日[昼間の時間が一番長くなる。] ⑪小暑(しょうしょ)7月7日[梅雨が明ける。] ⑫大暑(たいしよ)7月23日[暑さが最高になる。]
秋の季節
⑬立秋(りっしゅう)8月7日[秋が始まる。] ⑭処署(しょしょ)8月23日[暑さが終わる。] ⑮白露(はくろ)9月7日[秋の気配が深まり、露の量も多くなる。] ⑯秋分(しゅうぶん)9月23日[春分から半年目。昼と夜の時間が同じ。] ⑰寒露(かんろ)10月8日[露が寒さで凍ろうとする。] ⑱霜降(そうこう)10月23日[霜が降りるほどに寒くなる。]
冬の季節
⑲立冬(りっとう)11月7日[冬が始まる。] ⑳小雪(しょうせつ)11月22日[雨が雪になって降る。] 21、大雪(たいせつ)12月7日[雪が雪降り積もる。] 22、冬至(とうじ)12月22日[昼間の時間が最も短い。] 23、小寒(しょうかん)1月5日[寒の入り。寒さがましてくる。] 24、大寒(だいかん)1月20日[寒さが最も厳しくなる。]
最近の中国のインターネット記事に「中国江西省棚田、毎年5月中旬に田起こしをし田に水を入れ田植えを始める。稲の成長を祈願して、田起こしの牛に赤い布を巻く。」という内容の報道が写真とともに報道されていた。江西省は福建省の西に隣接している省だ。京都府南部の山城地域では、この江西省とほぼ同じ時期の5月中旬ごろから田植えが始まる。
◆この「二十四節季]は、中国も日本も全て同じ日である。例えば「大寒」は、中国でも日本でも1月20日。おそらく中国から日本に伝わったものだろうが、もしそうだとしたら、この広大な中国のどこの地方をもとにしてこの節季がつくられたのだろう。私が6年間暮らしている中国南部に位置する福建省福州だと、「春の季節」とされる①~⑥は、ほぼ季節的に当てはまる。日本の京都に比べるとほぼ1か月以上、春も夏も早く到来する。しかし、5月から10月下旬ころまでの6カ月間、気温的には「夏の季節」なので二十四節季とはぜんぜん合致しない。
北京あたりは緯度が高く、日本の京都よりも春も夏も到来するのがやや遅い。南京と上海は比較的近く、中国中部に位置するが、このあたりの地方の季節の推移を参考にしてつくられたのだろうか。それとも、もっと中国西部の河南省の洛陽や陝西省の西安あたりの季節の推移なのだろうか。「二十四節季」について詳しく知りたくなった。
5月9日(木)、夕方には関空から飛行機で中国に向かうこの日、午前9時に歯科医に行き治療を再び受けた。歯科医院の前の畑には、タチ葵の花が何輪か開花し始めていた。この花は夏の季節の花だ。確かに京都も「立夏」といえば「立夏の季節」に入ったとも言える。
5月8日に息子の妻の美有紀さんから、私の妻あてに「母の日プレゼント」のアジサイが自宅に郵送されてきた。普通、アジサイは6月の10日あたりの梅雨入りの時期から色付き始めるが、「母の日プレゼント」のアジサイは、綺麗に色づいている。花屋さんに「なぜ5月上旬なのに、アジサイの花が開花し色もついているのですか?」と聞いたら、「気温の高い温室で栽培されているので早く開花し色づくのです」とのことだった。最近は、アジサイがよく「母の日プレゼント」に贈られることが多くなってきたとも話してくれた。
◆このブログ記事を書いている今日の5月18日、中国福建省福州は、天気予報での最高気温は34℃、最低気温は26℃。ものすごい湿気と高温の一日となった。午後3時頃 直射日光が当たる場所に気温計を置いたら45℃になっていた。そして夕方の5時半ころからスコール性の猛烈な雨が1時間ほど降り続いた。これだけの雨が降っても、午後10時、窓を開けると「熱帯夜」の気温で、「湿気」がすごい。5月5日の立夏から10日間あまりで もう完全な真夏である。