浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

佐藤眞によるカンタータ「土の歌」

2008年01月14日 | 日本國の作品
混声合唱と管絃樂の為のカンタータ「土の歌」は僕にとって、わが國の合唱作品の素晴らしさを知った最初の作品だった。原爆への怒り、人間の愚かさへの嘆き、それでも人間を許す大地の寛容、神の慈悲への感謝などが感動的に歌い上げられる。今日は、久しぶりに、岩城宏之指揮東京響と東京混声合唱團の演奏で聴いてゐる。

この大作の終曲は、有名な「大地讃頌」であるが、コーラス部の指導者の中には、この作品が原爆に関係する歌であることすら知らないで指導してゐる先生も居て驚かされる。カンタータ第1曲目の「農夫と土」の最後に高らかに響くホルンのモチーフは、終曲「大地讃頌」のエンディングにも登場する。神の慈悲と人間の叡智により、人と大地の平和な関係へと回帰していくかのやうだ。

今、この大作を地球温暖化問題と重ねて聴くと、人間とは所詮もぐらもちだと痛感させられる。しかしながら、今度ばかりは天も地も愚かな人間を許さないかも知れない。我が子たちの世代には明るい未来は無いのだ。我が家では、可愛そうだから子供は生むなと、我が子に言い聞かせてゐるのだ。
 「文明の不安よ 科学の恥辱よ 人智の愚かさよ」
僕は、この詩の意味を、以前よりも重く受け止めてゐる。

ところで、随分前のことだが、この作品をどうしても演奏したく思ひ、佐藤氏宅を訪れ、自筆譜をお借りしたことがあった。今でもそのコピーを大切に持ってゐる。芸大のオケを連れて行くので一緒に演奏しませんか、とまで提案していただいたことを懐かしく思ひ出す。芸大退官後もお元気にしておられるだらうか。

盤は、VictorのCD VDR-5083。

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