浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

アントン・カンパー シューベルトのロンド

2007年05月19日 | 提琴弾き
シューベルトの室内樂は実に心に優しく響く。独奏提琴と絃樂四重奏の為のロンドといふ珍しい曲がある。ブログ1周年の記念すべき日もいつの間にか過ぎてしまったが、今宵はロンドを聴きながら、月の中冬季限定とともに、久々にゆったりとした時間を過ごしてゐる。

この美しい作品はA-B-A-C-A-Bの変則的なロンド形式で構成されてゐて大変親しみやすい。独奏提琴を務めるのは維納フィルに在籍したアントン・カンパーで、維納コンツェルトハウス絃樂四重奏團を結成して30年に亘り活躍し、2度の来日で往年のファンには忘れられないLPも多数あることと思ふ。

こういった演奏を聴いてゐると世の中の喧騒を忘れさせてくれる。ゲーテに歌曲を送り酷評され、失意の只中にあるとは思へないほど純粋で美しい作風だ。だから、余計に哀しい。

取り上げたウェストミンスターの名盤復刻は音質の良さもあり、いずれの盤も素晴らしい芸術の香り高き録音ばかりだ。

盤は、Westminster UCCW-1016。


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