愛と自由に満ちた幸福な生活は公平であるべし、人権・平等・平和が生きる人の権利

原理  愛 ・公平・自由
原則 人権・平等・平和
命をつなぎ、知識を伝へ発展した文化・科学
人々の想いを伝承

内村鑑三 後世と来世 生命誌絵巻

2014年11月17日 | 思想
NHK こころの時代で 内村鑑三のことば2 現世と後世 が放送されました。
 キリスト者であり、「Representative Men of Japan 」明治四十一年、「代表的日本人」英語での著作で有名ですが、
「後世への最大遺物」が最も読まれたらしい
青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/cards/000034/files/519_43561.html
 「桶職」おけしょく
が紹介されました。http://www004.upp.so-net.ne.jp/kawanago/ESS111.HTM

 内村鑑三の言う 後世はキリスト教での来世ではなく、自分が亡くなった後の現世のことです。


後世への最大遺物 抜粋
 われわれの生涯の解釈から申しますると、この生涯はわれわれが未来に往く階段である。ちょうど大学校にはいる前の予備校である。もしわれわれの生涯がわずかこの五十年で消えてしまうものならば実につまらぬものである。私は未来永遠に私を準備するためにこの世の中に来て、私の流すところの涙も、私の心を喜ばしむるところの喜びも、喜怒哀楽きどあいらくのこの変化というものは、私の霊魂をだんだんと作り上げて、ついに私は死なない人間となってこの世を去ってから、もっと清い生涯をいつまでも送らんとするは、私の持っている確信でございます。

 私がドレほどこの地球を愛し、ドレだけこの世界を愛し、ドレだけ私の同胞を思ったかという記念物をこの世に置いて往きたいのである、すなわち英語でいう Mementoメメント を残したいのである。こういう考えは美しい考えであります。私がアメリカにおりましたときにも、その考えがたびたび私の心に起りました。

 われわれが死ぬまでにはこの世の中を少しなりとも善くして死にたいではありませんか。何か一つ事業を成し遂げて、できるならばわれわれの生まれたときよりもこの日本を少しなりともよくして逝きたいではありませんか。
 私は金のためにはアメリカ人はたいへん弱い、アメリカ人は金のためにはだいぶ侵害されたる民たみであるということも知っております、けれどもアメリカ人のなかに金持ちがありまして、彼らが清き目的をもって金を溜めそれを清きことのために用うるということは、アメリカの今日の盛大をいたした大原因であるということだけは私もわかって帰ってきました。


 内村鑑三はアメリカの金持ちが私財を投じて社会に還元することを是とし名誉とする文化、遺すべきはお金、キリスト教文化の寄付が日本ではその風潮が少ないことを論じていません。キリスト教者がお金を稼ぐことを奨めています。そして、お金が稼げないならば他に次世代のために、この世に残すものがある、人々に役立つ事業、Mementoメメント 、思想があると。

 ビル&メリンダ・ゲイツ財団、2000年設立の世界最大の慈善基金団体(マイクロソフト会長夫妻)及び2006年にはウォーレン・バフェットの300億ドルにのぼる寄附により規模が倍増 「全ての生命の価値は等しい」が慈善団体の理念 wikiより

 私が関心を持ったのは内村鑑三がキリスト教で現世はかりそめの世界であり、天国が終の棲家と考えていることを知ったことです。
 今日の生命化学の進化、JT生命誌研究館 生命誌絵巻 マンダラ<ゲノムが貫く時間と階層>https://www.brh.co.jp/about/emaki.html#mandara 
 すべての生物は38億年の歴史をもつ:現存生物はその細胞内のゲノムに38億年の歴史を抱え込んでおり、それを読み解くことで誕生し、育ち、暮らしています。
 1930年(昭和5年)73才没の鑑三にとっては天地逆転の驚愕です。来世を考えるより以前から、現世では 前世は38億年前より誕生し、後世はこれからも続くと。
 個人の生命は世代交代することで永遠の生命という現実。神と人間では無く、人間と人間、人間と自然の関係が思想の中心とする必要に迫られています。

「後世への最大遺物」の冒頭で山陽の詩が紹介
「十有三春秋、逝者已如水、天地無始終、人生有生死、安得類古人、千載列青史」
 じゅうさん しゅんじゅうあり、ゆくもの すでにみずのごとく、てんち しじゅうなく、じんせい せいしあり、いずくんぞ こじんにるいす、せんざい せいしにれっす


桶(おけ)職
 我は唯(ただ)桶を作る事を知る、そのほかの事を知らない、
 政治を知らない宗教を知らない、ただ善き桶を作る事を知る。

 我はわが桶を売らんとて外に行かない、人はわが桶を買わんとてわがもとに来る、
 我は人の我に就いて知らんことを求めない 我は唯家にありて強き善き桶を作る。

 月は満ちて又欠ける、歳は去りて又来たる、世は変り行くも我は変らない、
 我は家に在りて善き桶を作る。

 我は政治の故を以て人と争はない、わが宗教を人に強(し)ひんと為ない、
 我はただ善き桶を作りて、独り立ちて甚(はなは)だ安泰である。



 現在の日本では新自由主義の下、お金を稼ぐことが勝者であり正義とし、稼げないのは敗者とする生存競争意識が激しくなっています。真面目に働く文化の衰退は銭ゲバの餓鬼を推奨することになります。それはアメリカ、日本、中国など世界中に見られますが、消費は美徳、消費欲求をあおるマスコミ宣伝の弊害。日本の賃金は上げて貰うものとする考えの弊害が生じています。

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