本の魂web

中学生のための読書通信。おもしろい本を紹介中。

本の人気ランキング・・・第2期

2005-07-27 08:31:35 | Weblog
 第2回目の読んだ本の調査の結果は下の表のようになりました。表の数字はその本を読んだ人数です。
 1位は『@ベイビーメール』で17人の人が読みました。31人の中で半数以上の人が読んでいるのですからすごい人気です。それ以外にも山田悠介さんの本はみんな上位に入っています。
 石田衣良(いら)さんの『池袋ウエストゲートパーク』も読んでいる人がジワジワ増えてきています。
 また、星新一さんの本と『コミック版プロジェクトX』は相変わらず根強い人気があります。
 『ダーリンの頭ン中』はベストセラーの『ダーリンは外国人』の関連マンガです。内容は英語と外国人とのカルチャーギャップについての話でかなり勉強になります。マンガとはいえ少し難しい内容なのですが、たくさんの人が読んでくれたので入れてよかったと思います。
 一方、思ったよりも読んだ人が少なかったのは、『ヒロシです。2』と『両さんの人体大探検』でした。どちらもこのごろ本箱で見かけません。どこかにしまいこまれているのでしょう。
 本箱の本は私が多くの生徒に読んで欲しいと思って買ってきているのものです。そして、これらの本を読みたくて待っている人もきっといるはずです。
 本箱の本を家に持って帰って読んでもいいのですが、読みおわったらすぐに戻すようにしてください。他の人に迷惑をかけないようにしてください。

人数 タイトル
⑰ @ベイビーメール
⑭ トリビアの泉5・6・7
⑭ 8.1
⑭ リアル鬼ごっこ
⑬ Aコース
11 パズル
⑩ コミック版プロジェクトX液晶 
⑨ 親指さがし
⑨ ダーリンの頭ン中
⑨ コミック版プロジェクトXカップヌードル 
⑧ 池袋ウエストゲートパーク1~5・外伝
⑧ コミック版プロジェクトX青函トンネル
8 あいのり恋愛の教科書
⑦ ボッコちゃん
⑦ お願い!名前を呼んで!
7 おはなしちびまる子ちゃん2・3・4
⑦ あそこの席
6 呪怨1・2
6 夏の庭
⑥ コミック版プロジェクトX名神高速 
⑥ コミック版プロジェクトX魔の山大遭難
6 いま、会いに行きます
5 ももこの話
⑤ ヒロシです2
5 ハンター×ハンター1~3
⑤ クリック
⑤ Fコース
⑤ 下弦の月
④ 妖精配給会社
4 名探偵に挑戦1・2
④ 未来イソップ
④ 世にも奇妙な物語・北川悦吏子の特別編
4 四日間の奇蹟
④ 下妻物語
4 もものかんづめ
4 ポプラの秋
4 ファインディングニモ
4 デルトラクエストⅡ1~3
4 デルトラクエスト1~8+ガイド
4 サルヂエ
4 さくらえび(さくらももこ)
④ おのぞみの結末
③ 大笑いのプロジェクト×
3 世にも奇妙な物語・小説の特別編
3 小説・金田一少年の事件簿1~4
3 怪盗クイーンの優雅な休暇
3 ワンピース珍獣島のチョッパー王国
3 ワンピース千年竜伝説
③ リロアンドスティッチ
③ はまじと9人のクラスメート
3 3年B組金八先生第7シリーズ
② 盲導犬クイールの一生
② 盗賊会社
② 中田語録
② ボンボンと悪夢
2 ジャイアンツ塾
2 NARUTO白の童子
2 NARUTO滝隠れの死闘
① 両さんの人体大探検
① 殺人鬼の放課後
1 鋼の錬金術師跳べない天使
1 鋼の錬金術師3
0 時刻表の楽しい読み方
329

『がんばっていきまっしょい』  作者 敷村良子   発行 幻冬舎文庫   価格 400円

2005-07-20 07:32:45 | Weblog
 7月5日から始まったドラマ「がんばっていきまっしょい」の原作です。1997年に田中麗奈さん主演で映画化されたので知っている人もいるかと思います。四国の松山にある高校の女子ボート部を舞台にした小説です。悦子という少女の3年間の恋と友情とボートの物語です。
 20年前、高校入学を控えた15歳の悦子は、ある日夕方の海で、逆光にきらめくボートを見た。その美しい風景に感動した悦子は、入学した高校で女子ボート部を作ってしまう。といってもたった一人である。男子部に混ぜてもらい練習を始めるが、そこには幼なじみで天敵の関野ブーがいた。
 必死の勧誘でなんとかメンバーは5人そろったものの、全員運動部未経験者の初心者ぞろい。初の大会でもどうしようもない惨敗を喫してしまう。さらに「お嬢さんクルー」などとバカにされ「このままじゃやめられない」とみんなの気持ちは1つになった。悦子たちはボートに全力で打ち込み始めた。

 タイトルの「がんばっていきまっしょい」は悦子の通う松山東高校伝統の掛け声です。ここ一番というときに、この掛け声で気合を入れています。小説のクライマックスの2年目の大会のときの掛け声は印象に残ります。読みながら一緒に声をかけたくなりました。
 今の皆さんは、中学校2年生の青春まっただ中。悦子と同じように部活に打ち込んでいる人も多いです。しかし、中だるみでいまいちやる気が出てこないという人もいるかもしれません。もったいないと思います。青春時代はわずが数年のことです、

『夏と花火と私の死体』 著者 乙一   出版社 集英社文庫    価格 419円

2005-07-15 06:27:03 | Weblog
 新進気鋭のホラー&ミステリー作家、乙一(おついち)さんのデビュー作です。
 この話は、幼い兄妹と死体の4日間の物語です。
 9歳の夏休み、五月は木の上から突き落とされて死にます。幼なじみの健と弥生の二人の兄妹は、五月の死体をあちこちに隠しますが、そのたびに大人に見つかりそうになります。幼い兄妹は無事に死体を隠し通すことができるでしょうか。
 といったストーリーです。ほんとうにハラハラドキドキするサスペンスです。ピンチの連続に手に汗にぎります。
 また、何といってもこの小説のポイントは、この作品の語り手が五月ちゃんの死体だということです。タイトル通り「わたしの死体」が物語の中心、主人公になっているのです。だからといって五月が幽霊になっているわけではありません。あくまで1個の死体として冷静に淡々と出来事を語っていきます。とても変です。五月の語り口は奇妙で違和感があって気持ち悪いのですが、それがどうにもおもしろいのです。
 のどかな田舎に住む小学生の日常生活にいきなり少女の死体が入り込んだという落差の激しさもすごいです。さらに、死体を主人公にするというすごいアイディア。それがこの『夏と花火と私の死体』の魅力です。
 このすごい小説を乙一さんは16歳のときに書いています。まさに天才。驚異の新人です。その後もホラーだけではなく、いろいろな小説を次々に発表し、ベストセラー作家になっています。
 この本と一緒に乙一さんのミステリー小説『GOTH』上下巻も入れました。これもとてもスリリングな小説です。今後も乙一さんの小説をクラスの本箱にどんどん入れていこうと思っています。ぜひ、読んでみて下さい。

★夏には怖い話をどうぞ★

2005-07-14 06:39:13 | Weblog
 期末考査も終わり、いよいよ夏休みが近づいてきました。
 夏休みには毎年、映画やテレビでホラーものや怖い話が上映されます。2年3組で大人気の山田悠介さんのホラー小説『8・1』『あそこの席』『@ベイビーメール』もこの夏に映画が公開されるそうです。
 夏に怖い話を見たり聞いたりするのは、昔からの行事で、日本の伝統文化と言ってよいものです。
 江戸時代にはテレビや映画はありませんが、芝居や落語、講談といった芸能がありました。江戸の町のあちこちに芝居小屋や寄席があり、庶民の一番の娯楽でした。そして、夏になると毎年、幽霊の出てくる芝居、落語、講談、つまり怪談を上演していたのです。
 皆さんは『四谷怪談』という話を知っていると思いますが、これは江戸時代に実際にあった事件を元にした有名な怪談です。映画やドラマにもなっていますが、元々は日本の伝統的な芝居である歌舞伎の人気作品でした。また、有名な怪談に『牡丹灯籠』という話がありますが、これは中国の怪談が日本に伝わって作られた落語の怪談でした。(落語の中にはおかしいギャグの話だけでなく怪談もあるのです。)
 日本の夏はとても蒸し暑いものです。クーラーなどなかった江戸時代の人々はこの暑さをまぎらわすために、怪談を聞いてぞーっと背筋を冷やそうと思っていたのです。
 そのころの習慣が今でも残っていて、夏になるとホラー映画や怖い話のテレビ番組が上映されるわけです。また、遊園地でも夏にはおばけ屋敷が賑わいます。暑さしのぎには怖い話というのが今の日本人に伝わる伝統文化になっているのです。
 さて、そんなわけで今回の本の入替えで我が学級の本箱にも怖い話の本やホラー小説を大量入荷しました。これらの本を読んで暑い夏を乗り切って下さい。

2004年に読んだ本のベスト5

2005-07-08 18:04:39 | Weblog
 2004年は前年に続き読書に力を入れた1年でした。2つの目標を掲げ、がんばってきました。1つは「1日1冊読了」。これは年に365冊読むということではなく、毎日本を読み切るという目標です。1日2冊読んだ日もあってので、年計で536冊になりました。
 さらに「年間10万ページ」という目標を掲げがんばりました。536冊で101472ページを読みました。
 どちらの目標もきちんと達成できてよかったです。
 他に2004年で変わった部分は、小説をけっこう読んだということです。これまで私はノンフィクション読みで、小説はあまり読んでいませんでした。読書会の課題の小説だけだったという年もあったかもしれません。今年は中学生の読書指導をがんばってきました。そのため、中学1年生に推薦するための本を探すために、小説、特にティーンズ小説を読んでみました。数えてみると55冊で全体から見るとほんの1割くらいのものなのですが、こんな数の小説を読んだのは高校生のとき以来だと思います。というわけで、今年はベスト5に小説が2つも入りました。
        
1『ジェノサイドの丘 ルワンダ虐殺の隠された真実』 全二巻
 フィリップ・ゴーレイヴィッチ  柳下毅一郎訳 WAVE出版 1600円
 1994年中央アフリカの小国ルワンダで起きたフツ族によるツチ族への大量虐殺についてのルポルタージュです。ほんの10年前におこった最悪な出来事です。
 人口800万人の国で約100万人もの人が殺されました。虐殺が始まる前、殺人者と犠牲者は隣り合って暮らしていました。そして、ある日虐殺が始まると、殺人者たちは山刀とクギを打ち込んだバットを手に、隣人たちを殺していったのです。
 この本には、虐殺を生き延びた人の証言を多数載せています。体験談なのにあまりに異常な話なので、理解できません。小説よりシュールな世界に思えました。
 そして、国連をはじめとする国際社会はみなルワンダでジェノサイドが起こっていることを知っていました。しかし、介入したくないため、100万人もの人を見殺しにしたのです。
 国際社会で大国が、他国の人権侵害を糾弾したり、人道的な支援を与えたりしています。それらの行動はあくまでも自国の利害にそっての行動であり、利害がなければ罪なき人々がどれほど虐殺されようともかまわないということが明らかになりました。そして、我々もルワンダの人々を見殺しにした一員だということが最悪です。
 ルワンダでは、内戦による難民たちも帰還し、復興への努力が続けられています。ジェノサイドの責任者たちへの裁判も行われています。しかし、国民のほとんどすべての人が虐殺にかかわっていて、そのすべてを裁くことはできません。今、殺人者と被害者が隣り合ってごく普通に暮らしています。この歴史上でもかつてない状況の中でルワンダの人々は生きています。そして、相変わらず国際社会は無関心のままなのです。
    
2『帝都東京・隠された地下網の秘密1・2』 
      秋庭俊   洋泉社   1=1900円 2=1600円
 驚きの内容の本です。戦前に国防上の理由で東京の地下には網の目のようにトンネルが掘られていて、現在の地下鉄はそれを再利用したものにすぎない。というものです。
 私はこういう「陰謀本」は好きですし、特に毎日のように利用している地下鉄にまつわる話なので、とても興味深く読めました。説得力もあり、本当のことだと思える部分がたくさんありました。ただ、トンネルに関係した人がたぶん何万人もいたはずなのに秘密にできるのかが疑問なところです。

3『ローマ人の物語1~12』  塩野七生  新潮文庫
 今年は、塩野七生さんの『ローマ人の物語』を読みました。単行本ではもうXⅢ巻まで出ていますが、私は文庫で読んでいます。文庫では今、帝政が始まったところまで進んでいます。
 この本は、史上初の世界帝国、地中海世界をすべて支配したたった1つの国ローマ帝国の通史です。ローマの歴史を時代を代表する人物に焦点を当てて書いてあるので、とても人間味がありおもしろく読めます。
 先日、NHKスペシャルでもローマ帝国の繁栄と滅亡を取り上げていました。現代の社会が滅亡への道を歩んでいると思っている人が増えているようです。そして、その滅亡を防ぐために過去の歴史でとても繁栄した国が滅亡した理由が知りたい人が多いので、今ローマが注目を集めているのだと思います。
 単行本では滅亡への坂を下っているところです。あと3年で完結する予定です。追いつくまではたいへんですが、この先とても興味ある本です。

4『坂の上の雲1~8』  司馬遼太郎  文春文庫・
 2004年は日露戦争から100周年の年です。若い時からこの本は読みたいと思っていましたが、長編なのでおっくうがっていました。今年読まなければ今後読まないだろうと思い、この夏熊本に帰省したときに読みました。帰省時に鹿児島にも足を運び、明治時代の遺跡をいろいろ見てきました。さらに、横須賀の三笠も行ってきて、本の世界にひたってきました。
 始めの方は、3人の主人公たちの人物像が描かれていて明るい話でした。その後戦争が始まってしまうと日露戦争が主役となってしまい、人物に焦点が当たらなくなったのが残念といえば残念な部分です。その分、日露戦争とはいかなる戦いだったのかについてはすごくよくわかりました。
 結局は「明治の日本は素晴らしいが戦前の日本はダメ」という司馬史観を打ち立てた本で、多くの人にそれを納得させてしまう力をもった小説だと感じました。

5『十二国記』  小野不由美   講談社X文庫・
先ほども書きましたが、2004年はティーンズ小説をいろいろ読みました。この中で一番良かったのが、『十二国記』でした。ここのところ別のシリーズを読んでいるので、まだ第1作『月の影 影の海』と第2作『風の海 迷宮の岸』しか読んでいないので、先の展開がわからないのですが、設定が実によくできていて、魅力的な作品になっていると思います。この先を読むのが実に楽しみです。

★本を読む子は学力が高い★

2005-07-01 08:07:45 | Weblog
 昨年度、東京都のすべての公立中学校の2年生を対象に、「児童・生徒の学力向上を図るための調査」という一斉テストを行いました。先日、その調査結果が発表されました。
 「読書を毎日どのくらいするか」という質問では、読書をすることがないと答えた人は全体の約40%、30分未満と答えた人の割合は全体の約35%でした。1時間以上読書をすると答えた生徒は1割もいませんでした。
 さらに、毎日の読書時間毎に、学力テストの正答率も調査したのですが、1~2時間の読書をする生徒がどの教科も正答率が高いという結果になりました。
 本を良く読む生徒は国語の学力が高いというのは当然のことでしょうが、理科や数学もよくできています。それは、どの教科も、教科書や参考書を読んで内容を理解するためには文章の読解力が必要だからです。また、テストで問題文の意味が読み取れなくては正解できるはずがありません。国語の力が全部の教科の基礎になると言われるのはこのためです。そして、その重要な読解力を身につけるには読書をするのが一番なのです。
 結果でもう一つ気づくのが、2時間以上読んでいる人は、1~2時間読んでいる人と比べて正答率が下がっていることです。部活や塾、習い事などで今の中学生はかなり忙しい生活を送っています。そんな中で中学生で毎日、2時間以上も本を読むということは、なかなか大変なことです。たぶん寝る時間や勉強時間を削って読書をしているのでしょう。これでは学力低下につながっても不思議ではありません。何事もはまりすぎ、やりすぎは良くないということです。