吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

ポップコーン

2021-04-08 12:16:00 | 日記
さっちゃんが、施設の行事で行われたゲームの賞品で
大きな袋に入ったポップコーンを持ち帰りました。

何日も何日も何日も、毎日食べても4〜5日はかかるほどの量です。

ポップコーンの袋をドヤ顔で渡してくれたさっちゃんは
とっても可愛らしかったです。

ポップコーン。

亡くなった母を映画に誘うと、母は必ずポップコーンを買っていました。

「ポップコーン」がうまく言えなかった母は
カウンターで、前半の「ポップ」を省略して
「コーンくださいっ!」
と、照れを隠すように、大きな声で言っている声と横顔を、今でもはっきりと覚えています。

映画を見るのは大抵午前中で、一緒にランチをして解散していたので
大病をした後、食欲が落ちてしまった母に
「お昼ご飯が食べられなくなっちゃうよ」
と言っても、絶対にポップコーンを買っていたので
結局、母が抱えたポップコーンを2人で食べながら、映画を観ていました。

母が少しずつ色々なことが出来なくなって、記憶がこぼれるようになっていたのに
私たち家族は、歳をとったせいだろうくらいに考えて
あまり真剣に受け止めてはいませんでした。

待ち合わせの場所に、待ち合わの時間の少し前に
間違いなくやってきた母。

どんな気持ちで、どれほどの不安を抱えて、あの場所に来てくれたのだろう。

ポップコーンは、ほんのり塩味で、バターの香りが優しくて、とても美味しい。
指先が油まみれになるけれど、構わない。

そんなこともあろうかと、ちゃんとウェットティッシュも用意してきた。

沢山の映画を観て、何度もランチをして、死ぬほどポップコーンを食べた。

たかが、ポップコーン。
されど、ポップコーン。

私のポップコーンの思い出は、美味しくて少し切ない。