吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

自転車

2011-05-16 19:24:03 | インポート
お仕事の帰りに、自宅近くのゆるやかな坂道を歩いていると
坂の上から、自転車に乗った男の子が降りてきました。
小学校の低学年くらいでしょうか。
眉間に少し皺がよった、真剣な顔をしています。
よく見ると、男の子のお腹に、小さな手が後ろから巻きついています。
小さな手の持ち主は、小さ過ぎて、男の子の身体にすっぽり隠れてしまって
「手」しか見えません。
自転車は、私の横をあっという間に通り過ぎ、坂の下に到着しました。
振り返って見てみると、男の子に「へばり付いていた」小さな手の持ち主は
小さな小さな、3~4歳くらいの、女の子でした。
くりくりした柔らかそうな癖っ毛が、風にふわふわ揺れています。
顔中の「部品」を真ん中に寄せ集めたような、しかめっ面。
男の子は、自転車が倒れないように、用心深く支えながら降りました。
そして、まだしかめっ面のまま、自転車の上に乗っている女の子に

「な?怖くなかったでしょ?怖くなかったでしょ?」
と、繰り返し尋ねました。
女の子は、しかめっ面のまま、数秒ほど動かず。
そして、黙ったまま、ゆっくりと小さく頷きました。

女の子が、実は怖かったであろうことは、一目瞭然。

男の子は、得意げな顔になって
「な?な?」
と、更に女の子に確認しました。
こくこくと、小さく頷く女の子。

「もう一度行くぞ!ついてきな!」
男の子は、自転車の向きを、坂の上の方へくるりと変えると
張り切って、自転車を押しながら、坂道を駆け上がって生きました。

その後ろを、ちょこちょこと、転びそうな足取りで付いていく女の子。

2人は兄妹なのでしょうか。
その姿がものすごく可愛過ぎて、2人乗りは危険だと分かっているのに
ましてや、自転車で坂道を下るだなんて、余計に危ないのに
私は、「スリル万点の坂道下り」を注意を止めなければならない立場なのに
…ごめんなさい、注意できませんでした。

今度見掛けたら、必ず注意をします。
だから、どうか、あの2人が、危険な目に遭いませんように。