天真寺日記

天真寺の日々を綴ります

姜尚中さん and 森達也さん ピーストーク

2007-09-13 18:17:20 | 宗教
2001.9.11アメリカ同時多発テロの七回忌法要「終わらない戦争の世紀 あの日以降、奪われたすべてのいのちに捧ぐ」が築地本願寺で開催されました。

はじめに七回忌法要が執り行われ、
宗派を超えた20人の僧侶による重誓偈・般若心経・慈悲教などのお勤めがありました。



その後、姜尚中さん・森達也さんのお二人によるピーストーク。
「終わらない戦争の世紀」をテーマにご講演を頂きました。

最初に司会の松本さんより「追悼とは追って悼むこと」。
亡き人の幸せを祈るのではなく、普段忘れている痛みを思い起こす。
痛みを我が身に刻み込むこと。

と、追悼のこころについてのお話からstartです。





講演を聞いていて、想像力の欠如、考えることをしなくなった私たちへのメッセージではないかと感じました。

たとえば、テロリストといえば巨大な悪のネットワークを連想する。
しかし現実には、貧困、差別、経済的な苦境、失業、市民社会の中できっちりとした権利すら与えられない、自由平等な社会で人間として扱われない実態があり、その絶望の中からテロに走っているといいます。

また、北朝鮮といえば悪者。
しかし、そこには泣きも笑いもする普通の人々が生きています。

お話を伺ううち、さまざまな事件がおこるたびに、その背景を見ずに短絡的に受け入れている私が見えてきました。





こんな森さんの話もありました。

私たちは、殺人を犯す人は相当な悪人である、と思っている。
しかし実際は、アウシュビッツ収容所に行き、そしてオウム事件を通して感じたことから言えば、凶暴凶悪だから人を殺すのではなく、普通の人が人を殺すことがあるということ。

アウシュビッツでは、収容所長はマイホームパパで、アットホームな日常を送りながら同時にユダヤ人を大虐殺していたのです。

なぜそんなことができるのか?

善意、正義、優しさ、大儀が潤滑油に燃料になると、人は人を簡単に殺す。
何のこだわりなく人を殺せる。
それが、今のアメリカであり、あらゆるところで止まることなく起きている戦争ではないか。
被害者の悲しみに思いをはせながら、同時に加害の記憶にも思いをはせなければ連鎖は止まらないと思う。

この負の連鎖を止めるためには「なぜこんなことをしたのか?」という視点が大切であるとお話下さいました。

メディアから伝えられてくる情報を何気なく鵜呑みにしている私には重い言葉でありました。

それにしても、姜尚中さんと森達也さんお二方の人気ぶりには驚きました。

姜尚中さんは初めてお会いしたのですが、クールな口調そして、説得力のある話しぶりには感服です。
始まる前から多くの人がお集まり下さり、最終的には、300人以上の方々とともに七回忌法要をお勤めすることができました。

私は雑務の担当だったのですが、皆さんにお焼香をしていただくのにいっぱいいっぱいになっていました。

最後に、なぜ7回忌法要が執り行われたのか。
それは亡き人を偲ぶとともに、同じ過ちを繰り返さないためにじっくりと考え、亡き人の思いを心に刻むことが大切だから。

私も有り難い時間をともにさせていただきました。

(龍)